出産はとても大変なことで、産後のママの体や心は消耗しています。それに加えて、産後は新生児のお世話で夜もゆっくりと眠ることができないため、イライラしてしまいがちです。パートナーが育児やママの健康に対して理解がないと、イライラがいつまでもつのる原因になることもあります。今回は、そんな産後のイライラはいつまで続くのか、パートナーに原因があるのか、解消法はあるのかなどをご説明します。
産後のイライラはパートナーに原因がある?
「どうしてこんなにイライラするんだろう。出産まではこんなことはなかったのに…」と悩むママはとても多くいます。産後のママをイライラさせる原因はたくさんあり、育児中にイライラしてしまうのは、ごく普通のことです。
イライラの原因には個人差がありますが、主に次のような要因が挙げられます。
ホルモンバランスの乱れ
妊娠中は、エストロゲンやプロゲステロン、プロラクチンといったホルモンがたくさん分泌されています。しかし、出産を迎えるとエストロゲンやプロゲステロンの分泌量は急激に減少します。一方、プロラクチンも分泌量は減るものの、授乳時には一時的に増えたりします(※1)。
こうしたホルモンバランスの急激な変化が、精神的に不安定な状態を作り出すといわれています。そのため、産後は些細なことでも敏感に反応してしまって、イライラにつながってしまうと考えられます。
パートナーの行動
産後のイライラの原因でよく挙げられるのが、パートナーの行動です。特に、全く家事をしなかったり、自分ひとりで遊びに行ったりと、パートナーが育児に非協力的な場合に、イライラするという先輩ママは少なくありません。
このパートナーへのイライラが、夫婦間の愛情の冷え込みをもたらし、「産後クライシス」と呼ばれる状態に至ることもあります。
生活環境の変化
産後しばらくは、赤ちゃんのお世話にかかりっきりになります。特に新生児の場合は睡眠がこま切れで、眠ったと思ってもすぐに目を覚ますことも。抱っこしてあやす時間が長く、授乳も数時間おきにしていると、「食事さえろくにできない」というときもありますよね。
さらに、夜も授乳や夜泣きで十分に眠ることができないため、ママは慢性的な睡眠不足になりがちです。出産前の生活とはまったく違う生活サイクルになるため、体も心も新しいリズムに慣れることができず、イライラがつのるというわけです。
人間関係の変化
出産を機に、人間関係が変化することがあります。特に初産で、家系にとって初めての赤ちゃんだと、以前まではあまり連絡を取っていなかった義父母が、家を頻繁に訪れるようになるかもしれません。
また、独身の友人と話が合わなくなり疎遠になったり、そもそも友人と会う時間がなくなったりと、さまざまな形で人間関係に変化が生じます。
赤ちゃんのお世話で余裕がないだけに、それまでは気にならなかった義父母や友人の言動にカチンときて、イライラするという人も多いようです。
産後のイライラはいつまで続く?
産後のイライラは、「この時期に終わる」という目安のようなものはなく、人によってイライラが続く期間は違います。例えば、産後1ヶ月でイライラが治まったというママもいれば、産後1年を過ぎてもまだイライラしがちなママもいます。
イライラが長期間続くときには、パートナーが育児に対して非協力的なケースが多く、何もしてくれないパートナーへの不満や怒りが、長引くイライラの原因になることもあるようです。
産後のイライラを解消する方法は?
産後のイライラは、ちょっとした心持ちや工夫である程度は和らげることができます。具体的には、次のような方法で解消をめざしましょう。
パートナーに今の体の状態を伝える
パートナーが育児や家事をしてくれないと、「なんでやらないの!?」と感情的になりがちですが、一方的に言うだけでは夫婦関係を悪化させてしまいます。パートナーにはまず、ママの身体の状態を伝えることが大切です。
パートナーが嫌いになったわけではなく、ホルモンバランスの変化などが原因で、パートナーにイライラしがちであることを伝えてあげましょう。ママがイライラしている原因が理解できると、自然とパートナーが協力的になった、という先輩ママはたくさんいますよ。
パートナーとのコミュニケーションの仕方を変える
ママ自身もイライラしがちなことを理解した上で、コミュニケーションの仕方を変えてみましょう。パートナーも何をすればいいのかわからず戸惑っていることもあるので、やってほしいことを伝えて、多少失敗してもやってくれたことに「ありがとう」と感謝の言葉を伝えましょう。
パートナーもいざ子育てに関わると、楽しさややりがいを感じるようになります。まずはママの方から、パートナーが活躍する場を作ってあげてくださいね。
睡眠不足を解消する
赤ちゃんが時間を問わず泣くのは仕方のないことだとわかっていても、実際にお世話をしてみるとつらいものです。赤ちゃんは泣くことで、お腹が空いていることや愛情を求める気持ちを表現するので、辛抱強くあやしてあげるしかありません。
その代わり、赤ちゃんが昼間寝ているときは、一緒に添い寝してしまいましょう。
産後は家事の時間が取れなくなるので、溜まった家事を赤ちゃんがお昼寝している間にすませようと頑張ってしまいがちです。しかし、そうすると睡眠不足は一向に解消されないので、神経が過敏になってイライラも治まりにくくなります。
家事が多少おろそかになっても、まずは体力回復を優先して、赤ちゃんと一緒に寝ることをおすすめします。たった30分眠るだけでも、精神的にかなり楽になりますよ。
家事はそこそこでOKと開き直る
家事をきちんとやってきた人ほど陥りやすいのが、「家の中が片付いていないのに、祖父母が急に訪問してきた」「キッチンに洗っていない食器が山積みになっている」「ソファには洗濯物の山…なぜ片付けられないんだろう」と自分を責めるうちに、イライラしてくるというパターンです。
優先すべきは赤ちゃんのお世話と家族の食事で、それ以外はやっていなかったとしても、すぐに影響が出るものではありません。出産前とは状況が違うので、家事はできるときにやればいいのです。そして、自分ひとりですべてをやろうとしないこと。
パートナーには任せられないというママもいますが、完璧ではなくても、やらないよりはマシですし、何よりやってくれたことが嬉しいですよね。「ありがとう」と言われたらパートナーもやる気がアップして、もっと家事をこなしてくれるかもしれませんよ。
食事についても無理をしないことが大切です。赤ちゃんのお世話で手が離せないときや疲れがたまっているときは、冷凍食品やレトルト、お惣菜を上手に利用しましょう。
外出する
家の中に言葉が通じない赤ちゃんと2人きりでこもっていると、どうしてもイライラしてしまいがちです。そんなときは、気分転換のために積極的に外に出てみましょう。家の中ではイライラしていても、外に出れば、噓のように気分が前向きになることがありますよ。
児童館や地域のワークショップなどに参加してみると、同じ立場のママと出会うことができます。お互いのことを話すうちに、気の合うママ友が見つかるかもしれません。
「連絡を頻繁にとり合わなくては」と無理をして付き合おうとすると、ママ友の付き合い自体がストレスになってしまうことがあるので、「お互い都合が合ったら、またお茶でも」といったゆったりした気持ちで関係を築けたらいいですよね。
近い時期に出産した友達と連絡を取ってみるのもおすすめです。
頑張っている自分を認める
産後の生活は、イライラしやすくなる条件が揃っています。出産という大仕事によって身体も心も変化し、さらに環境も変化しているのですから、イライラするのはむしろ自然なことです。
さまざまな変化のなかでも、赤ちゃんのお世話や家事を頑張っているのですから、まずはそんな自分自身を「頑張っているね」と認めてあげてください。それだけで、心がずいぶん軽くなるかもしれませんよ。
産後にイライラしても重く考えないで
産後のイライラはもどかしいですが、多くのママが経験する普通のことです。「なんでこうなっちゃったの!」と思うより、「まぁこれでもいいか」と余裕を持った考え方を身につけると、ずいぶん楽になりますよ。
大切な赤ちゃんをきちんと育てたいと張り切るのは、当然の親心です。しかし、それでママが体調を崩してしまっては、赤ちゃんのお世話もままならなくなってしまいますよ。自分の時間を作り、適度に息抜きしながら、育児を楽しんでいけるといいですね。