赤ちゃんに授乳をすると、胸がチクチク痛むことはありませんか?母乳育児にはおっぱいトラブルがつきもの。チクチク程度だから耐えられないわけではないけど、病気ではないかと心配になることもありますよね。そこで今回は、授乳で起こる胸の痛みの原因と対処法をご紹介します。
授乳で胸が痛い原因は?

授乳の際、胸に痛みを感じる部分は人それぞれ。胸全体が痛む、右胸や左胸だけが痛む、乳頭部分だけが痛むなど、様々です。痛みの程度にも個人差があり、チクチクとした軽い痛みがある人から、背中まで響くような強い痛みが起きる人までいます。
それでは、なぜ授乳中や授乳後に胸が痛むのでしょうか?その原因には、以下のようなことが考えられます。
催乳の感覚による痛み
赤ちゃんがおっぱいを吸ったときに、おっぱいがツーン・キューンと感じる場合があります。これは新鮮な乳汁が生み出されるときの感覚で、人によっては痛みのように感じることもあります。
母乳を作るときの痛み
母乳がたくさん出ているママに多いケースです。母乳がたくさん作り出されるために、胸が張って痛くなります。
赤ちゃんの吸い方が上手でないための痛み
赤ちゃんが乳首を上手に吸えない場合、乳首が切れて痛むことがあります。またママの乳首が平らだったり陥没したりしている場合は、赤ちゃんが乳首を浅く吸う傾向があり、痛みが出やすくなります。
授乳で胸が痛いのは病気の前兆の可能性も?

授乳中・授乳後に胸が痛むのは、下記のように、乳腺炎や乳口炎の前兆である可能性も考えられます(※1)。
乳口が詰まった
授乳時に痛みがあるのは、母乳の出口である乳口が詰まっているからかもしれません。赤ちゃんがおっぱいを吸うときに乳首の先だけくわえると乳口に負担がかかり、乳口が塞がってしまうことがあります。
母乳が乳口に詰まって乳口炎になると、胸全体から背中にかけて強い痛みが出ます。
乳腺が詰まった
チクチクする程度の軽い痛みは、母乳の通り道である乳腺や乳管が詰まり始めているからかもしれません。「我慢できるから」と放置していると、チクチクがジンジン・ズキズキという痛みに変わり、乳腺炎になってしまうこともあります。
乳腺炎になると、胸の一部が赤く腫れて痛み、発熱や全身のだるさが伴うこともあります。「赤ちゃんのお世話をしなければいけないけれど、具合が悪くて授乳が痛い」という、大変つらい状況になってしまいます。
雑菌により炎症を起こした
赤ちゃんの唾液を通じて、あるいは傷口から細菌感染を起こして、乳腺内で炎症を起こしている可能性があります。炎症を起こしているため、胸に強い痛みを感じてしまいます。細菌の感染も、乳腺炎の原因になります。
授乳中・授乳後に胸がチクチク痛いときの対処法は?

授乳後に胸がチクチク痛む場合、催乳感覚や母乳が作られることによるものであれば問題ありませんが、前述のとおり乳腺炎の前兆のこともあります。
そのためまずは、乳腺が詰まらないように予防することが大切です。乳腺が詰まりやすいかどうかは体質にもよりますが、以下のポイントを心がけることで痛みの解消や予防につながりますよ。
おっぱいマッサージをする
授乳前だけでなく授乳後も軽くおっぱいマッサージをして、乳頭周りやおっぱい全体をもみほぐしておきましょう。
血の巡りが良くなり、母乳のつまりを解消する効果が期待できます。
こまめに授乳・搾乳する
古い母乳を乳管の中になるべく残さないようにすることも大事です。頻回授乳をしたり、搾乳器で搾乳したりしましょう。
ぬるめのお風呂に浸かりながら搾乳すると、血行が良い状態になるので絞りやすく、汚れることも気にならないのでおすすめです。
体を冷やさない
体全体が冷えていると、おっぱいの血管も収縮して母乳の流れが悪くなります。体を温かくして血の巡りをよくしておきましょう。
授乳時の抱き方を工夫する
授乳中・授乳後に乳首が痛む原因の多くは、授乳で乳首が切れてしまうことです。これはほとんどの場合、授乳の体勢を工夫することで予防できます。
赤ちゃんをしっかり抱き、乳首をしっかり奥まで吸ってくれるような体勢を取りましょう(※1)。
ハーブティーを飲む
授乳中のママの食べ物や飲み物が母乳に与える影響についてはよくわかっていないものの、ママの体調や血行を良くすることで、授乳のときの胸の痛みを和らげることはできるかもしれません。
また、具体的な効果についてはまだ研究段階ですが、一般的に、フェンネル、ネトル、タンポポ、フェヌグリーク、レモングラスなどのハーブティーは、母乳の分泌を促すことがあるともいわれています(※1)。
授乳の胸の痛みが続いたら、早めに病院へ

我慢できる程度のチクチクした痛みだと、自分でも対処できるからと病院を受診しない場合が多いと思います。しかし、痛みがひどくなってくると普段の生活にも支障をきたしますし、自分ひとりでは対処にも限界が出てきます。
いつもの自分の乳房の状態を把握しておいて、何か変化があったらすぐに母乳外来のある助産院や産科併設の病院で診てもらいましょう。痛みが本格化する前の早めの対策が大切です。
トラブルのない快適な母乳育児を送るためにも、授乳するたびに乳房に触れて、しこりや痛み、詰まりなどがないかを自分でチェックしましょう。