赤ちゃんは体温調節機能が発達しきっていないので、急に高熱を出しやすく、39度以上になることも珍しくありません。赤ちゃんに高熱が出たらどう対処したらいいのでしょうか?
今回は赤ちゃんの39度、40度の高熱について、対処法、冷やす場所やタイミング、病院へ行く目安をご説明します。
赤ちゃんは高熱が出やすいの?39度や40度になる原因は?
生まれてから間もない赤ちゃんは、自律神経が発達途中のため、体温調節が大人よりうまくできません。
運動後や外気温が高いときには体温が高くなり、冷たいものに触れたときや外気温が低いときには体温が下がります。
一般的に赤ちゃんの平熱は36.5~37.5℃の間とされていますが、環境の変化によって37.6℃以上になることもよくあります。
高熱以外に、咳や鼻水、発疹、嘔吐など他の症状があれば、風邪をもたらすようなウイルスや細菌の感染、突発性発疹・インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症などのウイルス感染症も考えられます。
このように赤ちゃんが高熱を出す原因はさまざまなので、発熱以外に他に症状がないか赤ちゃんの様子をよく観察して、症状にあった対処をしていきましょう。
生後6ヶ月未満の赤ちゃんが高熱になる原因は?
一般的に生後6ヶ月未満の赤ちゃんがかかりやすい発熱する病気は以下のとおりです。
RSウイルス感染症
RSウイルス感染症は、1歳までに69%の子どもがかかるとされていて、38~39度の発熱がみられることがあります(※1)。
冬に流行のピークを迎えることが多いですが、近年では夏に流行することも増えてきました。
特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんがかかった場合は気管支炎や肺炎により呼吸困難が起こり、入院が必要になることもあります。
ロタウイルス感染症
ロタウイルスは5歳までにほぼ全ての子どもが感染するとされていて、約1/3は39度以上に発熱します(※2)。また、下痢や嘔吐などから脱水症状などを引き起こし、重症化する場合もあります。
生後6週目から飲むタイプのワクチンを受けることができます。すべてのロタウイルスによる胃腸炎を80%、重症なものに限ると約90%を予防することができるので、必ず受けるようにしましょう(※3)。
細菌性髄膜炎
細菌が血液などを介して髄膜(脳やせき髄を保護する膜)に感染することで起こります。発熱のほかに頭痛や嘔吐、けいれん、意識低下が起こります(※4)。
抗生物質で治療を行いますが、治療が遅れると後遺症が残る可能性が高くなります。
細菌性髄膜炎は、生後2ヶ月から接種できる肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンで予防することができます。こちらも必ず接種するようにしてくださいね。
赤ちゃんが39度や40度の高熱を出したときの対処法は?
赤ちゃんが発熱した場合、月齢によって対応が異なります。
生後6ヶ月未満の赤ちゃんが発熱した場合
生後6ヶ月未満の赤ちゃんが発熱をした場合は注意が必要です。一般的に、生後6ヶ月まではママから受け継いだ抗体が赤ちゃんの体を守るため、熱を伴う病気にかかりにくいとされています。
もしかかってしまった場合は、小さな赤ちゃんの体は脱水や呼吸困難を起こしやすいため、必ず病院につれていきましょう。
特に生後3ヶ月未満の赤ちゃんが発熱した場合は、重い病気が隠れている可能性もあるので、診療時間外でもすぐに病院へ連れて行ってください。
生後6ヶ月以上の赤ちゃんが発熱した場合
生後6ヶ月以上の赤ちゃんが高熱を出したら、まずは安静にさせましょう。症状が熱だけで、咳や嘔吐がなく、ぐったりした様子もなければ、下記の対処法を行って様子をみてみてくださいね。
熱を放出させる
熱が上がりきると、顔が赤くなって汗をかきはじめるので、布団や着ている服の枚数を減らし、赤ちゃんの手足を外に出して、熱を体の外へ逃がします。
水分補給をする
下着類はこまめに取り換え、嫌がらないようなら、蒸しタオルなどで体を拭いてあげましょう。
汗が出はじめたら、麦茶、湯ざまし、赤ちゃん用イオン飲料などの水分を少量にわけてあげてください。
汗をかいた後も、熱は細かく上下するので、熱の放出と水分補給を繰り返しましょう。
温度調整を行う
赤ちゃんが寒がっていて顔色が悪いときは、部屋を温めて体が冷えないようにします。必要に応じて布団の枚数も増やしましょう。
しばらく様子をみて、さらに熱が上がったり体調が悪化したりした場合は病院へ連れて行き、医師の指示に従ってくださいね。
赤ちゃんの高熱のときに冷やす場所は?
赤ちゃんが39度を超える高熱が出た場合は、濡れたタオルで下記の部分を冷やすと効果的です。
赤ちゃんの高熱時に冷やす場所
- ・首の付け根
- ・背中
- ・脇の下
- ・足の付け根
おでこを冷やしたくなるかもしれませんが、効果が高いのは太い血管が走っている部位です。
赤ちゃんは体温調節機能が発達しておらず、冷やしすぎると平熱よりも下がることもあるので、体温をみながら調節してくださいね。
赤ちゃんの高熱で冷やすタイミングはいつ?
赤ちゃんに高熱が出たときに冷やすタイミングは、汗をかきはじめてからがおすすめです。
これより前では熱が上がる勢いが強いため、熱冷ましの効果が不十分になる可能性があります。悪寒がするときは、冷えることで不快症状が強まってしまうことにも繋がります。
赤ちゃんを冷やそうとしたときに嫌がる場合や、いきなり冷やすことが心配なときは、首の付け根に少し冷たいタオルをそっと添える程度にしてあげましょう。
生後6ヶ月以上の赤ちゃんの高熱で病院を受診する目安は?
生後6ヶ月以上の赤ちゃんが高熱を出したときに病院へ連れて行く目安は以下の症状がある場合です。
急に高熱が出た
いきなり39度や40度までに発熱した場合や、熱が上がったり下がったりしている状態が1日続いた場合は受診しましょう。
38度くらいの熱で、元気に母乳やミルクを飲んだり離乳食を食べたりしていれば、それほど緊急度は高くありません。
元気がない、ぐったりしている、呼吸がつらそう
呼びかけに対する反応が鈍い、ぐったりして何も食べない・飲まないといった場合や、数時間おしっこが出ない、全身を使って呼吸をしているというときも、病院へ連れて行きましょう。
赤ちゃんは脱水症状を起こしやすいので、普段よりも水分がとれない場合は早めに対処するようにしてくださいね。
嘔吐や震えがある
熱が37.5度より低くても、吐く、顔色が青ざめている、震えている、呼吸が早い、反応が鈍いなどの症状があるときは、何かしらの病気が隠れている可能性もあるため、すぐに病院を受診しましょう。
赤ちゃんは急に熱を出してもすぐに下がることがあるため、判断が難しいものですが、心配であれば病院や自治体の小児救急電話相談(#8000)に連絡をして、必要に応じて受診してください。
赤ちゃんの高熱で気をつけるポイントは?
赤ちゃんが39度や40度の高熱でぐったりしていれば、時間を問わず病院へ行きたくなりますが、生後6ヶ月を過ぎると熱の高さよりも上がり下がりが重要だといわれています。
どのくらいの間隔で、どのくらいの体温の間で上がり下がりしているのか、経過を観察しつつ記録をつけておくと、受診時に医師が診断しやすくなるので、できるだけメモをとっておきましょう。
また、夜に熱が出たからといってあわてて病院へ行くと、かえって赤ちゃんに負担がかかることもあります。直近で小児科で処方された解熱用の坐薬があれば、様子をみながら使用して、翌朝に受診するのも一つの方法です。
ただし、解熱剤を使うと一時的に高熱は下がりますが、根本的に治るわけではありません。熱が何度以上になったときに使っていいのか、次に使うときは何時間あけたらいいのかなど、よく確認してから使用してくださいね。
赤ちゃんが高熱を出しても冷静に対処しよう
赤ちゃんがの高熱を出すと焦ってしまうかもしれませんが、まずは冷静になって赤ちゃんの状態をしっかり確認しましょう。
赤ちゃんの高熱に対する知識や対処法を知って、いざというときに落ち着いて対応できるようにしてくださいね。