「マイコプラズマ肺炎」という病気をご存じですか?子供が発症しやすい病気で、脳炎や中耳炎などの合併症を引き起こすことがあるので、注意が必要です。それでは、どのような症状が現れたら、マイコプラズマ肺炎が疑われるのでしょうか?今回はマイコプラズマ肺炎について、原因や症状、治療法、予防法などをご紹介します。
マイコプラズマ肺炎とは?子供がかかりやすい?
マイコプラズマ肺炎とは、肺炎マイコプラズマという細菌が肺に感染して炎症を起こす病気です。感染者は幼児から青年期にかけてが中心で、7~8歳が最も多くかかるとされています(※1)。
一昔前は4年に1度、夏季オリンピックが開催される年に流行していたので「オリンピック病」と呼ばれていましたが、最近ではその周期性は見られなくなっています。
また、マイコプラズマ肺炎には、はっきりとした季節性もなく、1年を通して発生します。
マイコプラズマ肺炎の原因は?
マイコプラズマ肺炎の主な感染経路は、飛沫感染です。感染者の咳やくしゃみに肺炎マイコプラズマが潜んでおり、それを吸い込むと、感染してしまいます。
また、肺炎マイコプラズマがついた手で、口や鼻に触れても感染することがあり、幼稚園や保育園、小学校など集団で長時間過ごすような環境では、感染が拡大する傾向にあります。
感染してから発症するまでの潜伏期間は、2~3週間もあります(※2)。症状が出ている期間は、他の人にうつしてしまうこともあります。
マイコプラズマ肺炎の症状は?
肺炎マイコプラズマに感染すると、潜伏期間を経て、発熱や倦怠感、頭痛が初期症状として現れます。また、痰を伴わない乾いた咳が出るようになり、熱が下がってから3~4週間ほど長く続くのも特徴です。
初期症状だけでは風邪と区別がつきにくいのですが、熱がしつこく続き、咳がだんだんひどくなるようであれば、マイコプラズマ肺炎にかかっている可能性があります。
ただし、他の風邪のウイルスが原因で肺炎を引き起こしている可能性もあり、症状だけでマイコプラズマ肺炎に感染しているかどうかを診断することは困難です。
未就園児くらいの年齢では、症状が軽く済むケースが多いのですが、なかには重い症状に至ることがあります。無菌性髄膜炎や脳炎、中耳炎などの合併症を引き起こすこともあるので、咳が続くときは、できるだけ早めに小児科を受診しましょう(※1,2)。
マイコプラズマ肺炎の診断方法は?
マイコプラズマ肺炎の診断は、いくつかの検査によって行われます。
まずは胸部X線検査を行い、レントゲン写真の肺の部分に白い影が写し出されていれば、肺炎と診断されます。しかし、この時点ではマイコプラズマ菌が原因かどうかはわかりません。
その後、血液検査やインフルエンザ検査のように咽頭の粘膜を採取して、マイコプラズマ菌の有無を調べ、マイコプラズマ肺炎かどうかを診断します。
マイコプラズマ肺炎の治療法は?
マイコプラズマ肺炎の治療は、主にマクロライド系の抗生物質を使って行います。症状が重い場合は、入院して治療を行うことがあります。
治療を始めて2週間くらいで、咳や熱などの症状が治まっていくのが一般的です。
しかし、薬が効いてきたからといって、抗生物質の服用を途中でやめてしまうと、再発することがあります。医師の指示に従って、処方された薬は最後まで使い切るようにしましょう。
最近では、マクロライド系の抗生物質に耐性をもつ「マクロライド耐性菌」が出てきており、マクロライド系の抗生物質が効かない場合は、違う種類の抗生物質を使用する必要があります。
マイコプラズマ肺炎にかかっても登校・登園できる?
マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法の第三種の感染症として分類されています。
第三種は出席停止の措置がとられることがあるため、マイコプラズマ肺炎と診断された場合、医師と学校・園に相談したうえで、登校・登園するべきかを判断してください。
マイコプラズマ肺炎の予防法は?
マイコプラズマ肺炎を予防するには、インフルエンザなどと同じように、手洗いとうがいを徹底することが大切です。そして、外出するときはマスクを着用し、人混みを避けましょう。
また、家族が感染したときは寝室を別にするなど、感染患者との接触はできるだけ控えるようにして、看病してあげてください。
マイコプラズマ肺炎には早めの対処を
マイコプラズマ肺炎は軽症で済むことが多い病気ですが、人によっては、入院が必要なほど重症化することもあります。
まずは、マイコプラズマ肺炎の病原菌に感染しないように、普段からうがい・手洗いを徹底させるなど予防を心がけましょう。もし乾いた咳が続くときは「咳くらい大丈夫」と軽視せず、念のため、小児科を受診してください。
早めに対処することが、子供の健康を守ることにつながりますよ。