子供を産んでも、年齢を重ねても、女性は「いつまでもきれいでありたい」と思いますよね。女性の美と健康に欠かせない女性ホルモンに「エストロゲン」というものがあります。エストロゲンが増えると女性にとっていいことがたくさんあり、エストロゲンは妊活をしている女性にとっても大切なホルモンです。そこで今回は、エストロゲンを増やす食べ物や方法についてご説明します。
女性にとって大事なホルモン、エストロゲンとは?
「エストロゲン」は、女性ホルモンの一つです。妊娠に備えて子宮内膜を厚くしたり、乳腺の発達を助けたり、コラーゲンの合成を促進したりと、女性らしい体や肌を作る働きがあります。
エストロゲンは加齢とともに分泌量が減っていき、不足することで更年期障害の原因にもなります。しかし、食べ物やサプリメント、ツボ押し、漢方などで、分泌を促すことができるといわれています。
ここからは、エストロゲンを増やせるとされている食べ物や栄養成分、そして食べ物以外の方法について、詳しく説明していきます。
エストロゲンを増やす成分は?食べ物に含まれる何が効果的?
エストロゲンを正しく分泌させるためには、健康であることが基本です。毎日の食事は栄養バランスのよいものを食べ、健康な体を作りましょう。
特に、大豆イソフラボン、ビタミンE、ビタミンB6を含む食材は、不足したエストロゲンを補ったり、エストロゲンの分泌を促したりする働きがあるといわれています。
大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは、体の中でエストロゲンに似た働きをする栄養素です。更年期特有の、イライラやのぼせといった症状を軽くする効果もあります。ただし、妊娠中や授乳中の女性は大量に摂取するとよくないとされているので気をつけましょう(※1)。
ビタミンE
ビタミンEの化学名「トコフェロール」には、「子供を産ませる」という意味があります。エストロゲンだけでなく、様々な女性ホルモンのバランス調整に関係しており、女性の不妊治療や更年期障害の治療にも使われることがあります。
また、血行を促進する働きがあるため、冷え性や肩こり、腰痛の改善にも効果が期待できます。肌にハリが出たり、シミやソバカスにも効果的ですよ(※1)。
ビタミンB6
エストロゲンの代謝に働きかけ、ホルモンバランスを整えてくれるのが、ビタミンB6です。ホルモンのアンバランスがきっかけで起こるとされるPMS(月経前症候群)を改善する効果が期待できます。また、つわりの軽減にも役立つといわれています(※1)。
脂質(コレステロール)
脂質は、体を動かすときのエネルギー源となる一方で、体の中でホルモンを作るときの材料ともなります(※1)。特にその中心となるのがコレステロールです。そのため、エストロゲンがしっかりと分泌されるには、良質な脂質(コレステロール)を摂ることも重要だと考えられます。
エストロゲンを増やす食べ物は?
エストロゲンの分泌を増やしたり、代謝のバランスを整えたりするためには、前述の栄養成分をしっかり摂りましょう。
以下に、前述の栄養素を多く含む食べ物をご紹介します。
ただし、タンパク質や炭水化物など、体に必要な栄養成分をバランスよく摂取することが大切なので、以下を参考にしながら栄養バランスのよい食事をして、エストロゲンを増やしやすい食生活を実践しましょう。
納豆・豆腐
エストロゲンと似た働きをする大豆イソフラボンは、その名の通り大豆食品に豊富に含まれています。そのため、エストロゲンの働きを高めるには、納豆や豆腐を食べると良いとされています。他にも、厚揚げやきな粉、味噌などがおすすめです(※1)。
ナッツ類・かぼちゃ
アーモンドやヘーゼルナッツなどのナッツ類とかぼちゃにはビタミンEが多く含まれています(※1)。小腹が減ったときは、お菓子を食べるのではなく、ナッツ類にしてみたり、いつもの食事にかぼちゃの煮物を一品追加してみたりするといいかもしれませんね。
カツオ・サンマ・牛レバー
エストロゲンなどのホルモンバランスを整えてくれるビタミンB6は、カツオ・サンマ・牛レバーなどの動物性の食べ物に多く含まれています。豆類や穀物にも含まれていますが、植物性の食べ物に含まれるビタミンB6は体内での利用効率が低いので、あまりおすすめできません(※1)。
イワシ・アジ・オリーブオイル
イワシやアジなどの魚やオリーブオイルは、γ-リノレン酸やオレイン酸といった良質な脂質を含む食品です(※1)。これらを摂取すると、体の中でエストロゲンの分泌が促されるかもしれません。イワシやアジはお刺身で食べてもいいですし、オリーブオイルで焼いても美味しいですよ。
エストロゲンを増やすサプリメントとは?
上記で紹介したような、エストロゲンを増やす栄養素を食べ物から摂りきれないときは、サプリメントを使って補うことも可能です。
ただし過剰摂取になるとよくないので、サプリメントを服用する前に食品表示や商品に貼られているラベルなどをよく読み、適切な量を摂取するようにしましょう。
女性ホルモンのサプリメントとしては、上記で紹介した栄養素を含むものの他に、最近では「マカ」にも注目が集まっています。マカは滋養強壮効果が高い植物ですが、マカに含まれる「アルギニン」というアミノ酸の一種は、女性のホルモンバランスをコントロールする働きがあるともいわれています。
エストロゲンを増やす漢方薬があるの?
漢方薬を飲むことで直接的にエストロゲンを増やすことはできませんが、体の不調を改善することで、女性ホルモンのバランスを整える効果は期待できます。
女性のホルモンバランスに作用する代表的な漢方薬には、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、「加味逍遙散(かみしょうようさん)」などがあります(※2)。
漢方薬は、体質や症状にあうものを服用することが大切です。自分にあわないものを飲んでしまうと、効果がないばかりか、悪影響が出ることもありますよ。
漢方薬のなかには、ドラッグストアやインターネットなどで購入できるものもありますが、服用の際は、まず婦人科や漢方内科などに相談することをおすすめします。
服用して、自分の体質に合うことが分かったら、市販のものを購入してもいいかもしれません。
ツボ押しでエストロゲンを増やす方法は?
女性ホルモンに作用するツボを押すことでも、エストロゲンの分泌を促す効果が期待できます。効果的なツボは、下記の2つが代表的です。
ツボ押しは就寝前などのリラックスした状態で行い、手が冷たい場合はあらかじめ少し温めておきましょう。
壇中(だんちゅう)
両方の乳首を結んだ線のちょうど中心にあるツボです。
両方の人差し指~薬指を上下に重ね、息を吐き出しながら3~5秒ほど軽く押します。これを4~5回ほど繰り返しましょう。
デリケートな部位なので、強く押しすぎないように気をつけてくださいね。
合谷(ごうこく)
手の親指と人差指の間にある、くぼんだ部分のツボです。新陳代謝を活性化する効果があります。
押す手と反対側の親指で、痛気持ちいいと感じる程度に押しましょう。人前でも押せるので、移動中など、気づいたときに押してみてください。
睡眠不足と冷えはエストロゲンの大敵!
エストロゲンなどの女性ホルモンをしっかりと分泌させるには、規則正しい生活を送ることが大切です。
特に睡眠不足になると女性ホルモンの分泌が崩れてしまうので、睡眠不足は女性の大敵です。質の良い睡眠をとれるように寝室の環境を整える、寝つきが良くなるように布団に入る前にストレッチで体を温める、就寝前のスマートフォンの使用は控えるなど、工夫をしましょう。
また、体の冷えでホルモンバランスが乱れることもあります。特に冷え性の人は、腹巻や靴下を着用する、温かい飲み物を飲む、湯船に浸かるなどの冷え対策をしてくださいね。
恋愛もエストロゲンを増やすってホント?
よく「女性は恋をするとキレイになる」といわれますよね。それには実は、エストロゲンが関係しているのではないかと考えられています。
発情期とそうでない時期の差がはっきりしている動物の場合、エストロゲンは、メスの体に発情期を迎えられるような変化を起こさせます。この作用によって、動物によっては体の色がキレイになったり、美しい声が出せるようになったりして、異性を惹きつけるのです。
科学的な根拠は乏しいですが、人間は、恋をすることで動物の発情期のようになり、エストロゲンが増加するのではないかという考えもあります。前向きな気持ちで心が安定することも、ホルモンバランスにプラスの影響があるのかもしれませんね。
エストロゲンを増やすだけでなく、女性ホルモンのバランスを整えよう
エストロゲンを増やすには、エストロゲンの分泌を促したり、ホルモンバランスを整えたりする食べ物を摂るなどの様々な方法があります。上記を参考に、自分に合った方法を取り入れてみてください。複数を組み合わせて試すのもおすすめです。
ただし、エストロゲンだけを増やせばいいかというと、そうではありません。肝心なのは、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンを、バランス良く分泌させることです。
月経不順や不妊に悩んでいたり、なんだか調子がおかしいと感じたりするときは、むやみにエストロゲンを増やそうとするのではなく、一度婦人科に相談しましょう。診断の結果、エストロゲンを増やすのか、プロゲステロンを増やすのか、またその両方を増やしてバランスを整えるのかなどの指導があるはずです。
女性ホルモンを整えるには、日頃から規則正しい生活習慣を心がけることも大切です。いつまでも美容と健康を保つために、また妊娠しやすい体を作るために、女性ホルモンの分泌やバランスに日頃から気をつけていきたいですね。