生後10ヶ月は、さまざまな成長を実感することができる時期です。行動範囲が広がる分、危険なことも増えるので、しっかり見守ってあげましょう。
今回は、生後10ヶ月の赤ちゃんをお世話するときのポイントや、標準的な身長・体重などについてご紹介します。
● 生後10ヶ月の赤ちゃんの特徴は?
● 生後10ヶ月の赤ちゃんをお世話するときのポイントや注意点は?
● 生後10ヶ月の赤ちゃんは言葉をどれくらい発する?
● 生後10ヶ月の赤ちゃんの離乳食の量は?食べないときはどうする?
● 生後10ヶ月の赤ちゃんの授乳回数は?
● 生後10ヶ月の赤ちゃんの睡眠時間や生活リズムの保ち方は?
● 生後10ヶ月の赤ちゃんにおすすめの遊びは?
● 生後10ヶ月の赤ちゃんがかかりやすい病気は?
生後10ヶ月の赤ちゃんの身長や体重は?
平成22年に厚生労働省が行った調査に基づく成長曲線によると、生後10ヶ月の赤ちゃんの身長と体重は以下のとおりです(※1)。
身長 | 体重 | |
男の子 | 68.4~77.4cm | 7.34~10.59kg |
女の子 | 66.5~75.6cm | 6.86~10.06kg |
上記の身長や体重はあくまでも目安です。この範囲内に収まっているかどうかということより、身長や体重が、成長曲線に沿ってきちんと増えているかどうかということを確認するようにしましょう。
ふっくらとした赤ちゃん体型から、しっかりとした幼児体型に変化していくのが生後10ヶ月頃の赤ちゃんの特徴です。
また、生後10ヶ月にもなると運動量が増えてきますが、食事量には大きな変化がないことが多く、体重の増加は緩やかです。
機嫌がよく、離乳食や授乳など食事も必要な量をとれているようであれば問題ありませんよ。
生後10ヶ月の赤ちゃんの特徴は?
生後10ヶ月頃の赤ちゃんの主な特徴は次の通りです(※2,3,4)。ただし、この時期の発達には個人差があります。
これらの特徴が見られないからといって、あせる必要はありません。その子なりの成長を見守っていきましょう。
生後10ヶ月の赤ちゃんの主な発達
● 上の前歯が生えてくる
● 一人で座れるようになる
● 5秒以上つかまり立ちができる
● 大人が使っている物を同じように使おうとする
● 「ダメ」と言われたら手を止める
● 手にしたものを何でも口に持っていく
● 親指を使って物をつかめる
● おもちゃを引っ張ると抵抗する
生後10ヶ月の赤ちゃんをお世話するときのポイントや注意点は?
生後10ヶ月の赤ちゃんをお世話するときは以下のことを意識したり、注意したりするといいでしょう。
歯磨き習慣を身につける
乳歯はあごの発達や言葉の発音などにおいて重要な役割を果たすので、虫歯予防も含めて早めに歯磨きの習慣を身につけましょう。
まだうがいやブクブクができないので、歯を磨いた後はガーゼで汚れを拭き取り、お茶や水を飲ませるようにしてくださいね。
コミュニケーションを増やす
社会性が発達することで、赤ちゃんによっては人見知りから後追いが激しくなることもあります。
会話やスキンシップなどのコミュニケーションを増やして赤ちゃんを安心させてあげましょう。
転倒・窒息・溺水などに注意する
つかまり立ちや伝い歩きをはじめると、興味関心のあるものには素早く手を伸ばして触ろうとして転倒したりします。
階段など危険な場所に柵を設置したり、家具の角にクッションテープなどを取り付けたりしましょう。
お風呂に転落して溺れることもあるので、風呂場のドアは必ず鍵をかけて閉める、浴槽に残り湯を溜めないなどの対策も必要です。
誤飲も多い時期なので、命を落とす危険があるタバコやライター、洗剤などは赤ちゃんの手の届かないところに置いてください。
生後10ヶ月の赤ちゃんは言葉をどれくらい発する?
生後10ヶ月頃になると、赤ちゃんはママやパパが口にする言葉の意味を理解しはじめ、「ママ」「パパ」などの単語を記憶するようになります。
早い子だと「マンマ」「まぁ~まぁ」など言葉らしきものを発することもあるので、「はーい」「パパだよー」など、返事をしてあげましょう。
言葉のやりとりからコミュニケーションの楽しさを知ることは、赤ちゃんの心の成長につながります。何かの動作をするときに話しかけてあげると、言葉の理解がより進みますよ。
生後10ヶ月頃の赤ちゃんに話しかけるときは、身振り手振りを加えることで、赤ちゃんの発達を促すことができます。
生後10ヶ月の赤ちゃんの離乳食の量は?食べないときはどうする?
生後10ヶ月は「離乳食後期」にあたり、順調に進んでいると3回食になっていきます。 離乳食は、歯茎でつぶせる熟したバナナくらいの固さに調理するよう心がけましょう。
生後10ヶ月頃になると、赤ちゃんの意思が育つことで「自分で食べたい!」という欲求が強くなり、スプーンを使おうとしたり、手づかみで離乳食を食べようとしたりします。
そんなときは、一口サイズにカットした果物、やわらかく煮たカボチャやジャガイモなどで手づかみ食べを応援してあげると、赤ちゃんの欲求を満たしてあげることができますよ。
まだ2回食で、離乳がゆっくり進んでいる子もいますが、体調や進み具合をみながら、赤ちゃんのぺースに合わせて進めていきましょう。順調に体重が増えていれば、離乳食の量は調整してかまいません。
離乳食の1回あたりの目安量(生後9・10・11ヶ月頃)
- 全粥:90g〜
- 軟飯:80g(子供用茶碗に軽く1杯)
- 野菜・果物:30~40g
- たんぱく質(どれか1品):魚15g、肉15g、豆腐45g、卵(全卵)1/2個、乳製品80g
離乳食を与えるときのポイント
生後10ヶ月の離乳食では、離乳食中期よりも「たんぱく質」「炭水化物」の量を増やしつつ、「ビタミン・ミネラル」など、成長に必要な栄養素も意識し、バランスよくメニューに取り入れましょう。
離乳食後期になると、お腹のなかでママからもらった鉄分が底をつき、貧血になりやすくなります。
ほうれん草や小松菜などの青菜類、レバーや赤身肉など鉄分を含む食品を意識して与えるようにしてくださいね。
食器を使う練習をするときは、汚れないようエプロンをつけたり、床にビニールシートを敷いたりすると、後片づけが楽になりますよ。
思うように離乳食が進まないとついイライラしてしまいがちですが、ママやパパが怖い顔をすると、赤ちゃんは離乳食を嫌がってしまうかもしれません。
赤ちゃんが食事に興味を持てるように、家族で楽しく食卓を囲んだり、調理の様子を見せたりしてあげてくださいね。
離乳食を食べないときの対処法
離乳食を食べないときに無理強いは禁物です。無理に食べさせようとすると嫌がったり、嘔吐したりすることがあるので注意しましょう。
好き嫌いや食べムラが出てくる時期でもあり、特に体調不良のときや同じ献立が続いた後に起こりやすいので、1週間単位で栄養バランスがとれるように献立を考えてくださいね。
なかなか赤ちゃんが食べないときは、味のバリエーションを広げるために少量の調味料を使用するのもおすすめですよ。
生後10ヶ月はアレルギー食材やはちみつに注意
生後10ヶ月の赤ちゃんはまだ消化や免疫機能が未熟なので、アレルギーが起きやすいです(※6)。
引き続き、初めて食べさせるときはアレルギー症状が出た場合や心配ごとに備えて、かかりつけの病院を受診できる平日の午前中に与えましょう。
1日1口からはじめて、様子を見ながら量を増やすようにしてくださいね。
また、はちみつは「乳児ボツリヌス症」を発症するおそれがあります。重症化するとまれに命を落とすおそれもあるため、くれぐれも生後10ヶ月の赤ちゃんにはちみつを与えないようにしましょう(※7)。
生後10ヶ月の赤ちゃんの授乳回数は?
生後10ヶ月頃には、食後の授乳は次第に減っていくことが多いようです。
離乳食後に与え、そのほか授乳のリズムに沿って赤ちゃんが欲しがるだけ与えます。ただし、ミルクの場合は1日2回程度が良いとされています(※5)。
生後10ヶ月頃の赤ちゃんは、1日の栄養の多くを3度の離乳食でとるようになります。
しかし、母乳やミルクの量を無理に減らすと、赤ちゃんが栄養不足になったり、回数が減ることに赤ちゃんが慣れず、不安になったりすることもあります。
減らしていく場合は、赤ちゃんの様子を見ながら進めてくださいね。
生後10ヶ月の赤ちゃんの睡眠時間や生活リズムの保ち方は?
生後10ヶ月の赤ちゃんは、睡眠時間は1日13時間程度です。昼寝は1〜2回程度になり、代わりに夜しっかりと寝てくれるようになる赤ちゃんが増えていきます(※8)。
日中の起きている時間は、生活リズムを保つためにも、なるべく活動させましょう。
生後10ヶ月頃はハイハイのスピードが速くなったり、つかまり立ちが安定したり、伝い歩きをする子もでてきます。
部屋でもの足りないときは児童館や子育て支援センターに行くのもおすすめですよ。
移動範囲が広がり、日中に感じる刺激も増えることから、生後10ヶ月頃の赤ちゃんは夜泣きで何度も起きてしまうかもしれません。
寝かしつけのときにたくさん話しかけたり、子守唄を歌ったりして、ママやパパの声を聞かせて安心させてあげましょう。
テレビの音を消し、部屋を暗くしてから寝るようにするのも良いですね。
生後10ヶ月の赤ちゃんにおすすめの遊びは?
生後10ヶ月の赤ちゃんは、言葉を発することも増えるので、赤ちゃんの情緒を豊かにするために、絵本タイムを作ると良いでしょう。
わかりやすい色や形、繰り返し言葉や擬音があるものなど生活に合った内容の絵本だと、生後10ヶ月の赤ちゃんでも理解しやすいかもしれません。
ひざの上に座って、ママ・パパのぬくもりを感じながら絵本を読んでもらう時間は、赤ちゃんにとってもかけがえのないひとときになりますよ。
赤ちゃんの反応を見ながら「これはなに?」「きれいな赤色だね」など、語りかけるなかで覚えていく言葉もあるので、コミュニケーションを積極的にとってくださいね。
生後10ヶ月の赤ちゃんがかかりやすい病気は?
生後10ヶ月頃にもなると、生後6ヶ月以前と比べて病気にかかりやすくなっています(※9)。
以下は、生後10ヶ月頃の赤ちゃんがかかりやすい病気の一部です(※10,11)。
● ノロウイルス胃腸炎
● ロタウイルス胃腸炎
● RSウイルス感染症
● アデノウイルス感染症
● ヘルパンギーナ
● 手足口病
● 突発性発疹症
免疫力を身につけるには病気にかかることも必要なので、過度にこれらの病気を心配し過ぎる必要はありません。
大事なのは、赤ちゃんが病気にかかったときに、できるだけ早く対処してあげることです。
風邪っぽい症状や普段と違う様子が見られたら、早めに小児科を受診してくださいね。
生後10ヶ月の赤ちゃんの反応にはしっかり応えてあげよう
生後10ヶ月にもなると、赤ちゃんはいろいろなことをママやパパに訴えかけてきます。これまでも、不快な状態や欲求を泣くことで伝えてきましたが、それぞれに応じた感情表現を加えて伝えてくることが増えてきますよ。
ママやパパとのコミュニケーションや、外からの刺激をとても受けやすい時期なので、しっかりと答えてあげることが大切です。積極的に話しかけたり、「これは●●だよ」と教えてあげるようにしましょう。