母子分離不安とは?離れると泣くときはどうすればいいの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

赤ちゃんや小さい子供は、ママがちょっと離れただけで大泣きしたり、後を追ってきたりしますよね。これはどの子供にも見られるもので、一般的に「母子分離不安」と呼ばれます。自分が離れるとあまりに泣かれるのでどう対応してあげたらいいのかと悩んでいるママもいるのではないでしょうか?今回は母子分離不安の原因や対応方法、幼稚園や保育園にきちんと通えるようになるのかなどをご紹介します。

母子分離不安とは?

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母子分離不安とは、ママがそばから離れると動揺し、不安を感じて泣いたり後追いをしたりしてしまう状態です。「ママが離れると泣く」という意味では、ほとんどの子供が経験します。

認識能力が高まってくる生後8ヶ月頃から母子分離不安が現れ始め、生後10~18カ月頃にピークを迎える傾向にあります。そして、2歳になるまでには自然となくなっていきます(※1)。

ちょっと離れるだけで大泣きされて困ってしまうママもいるかもしれませんが、母子分離不安が見られるのは、赤ちゃんがママを「大好きな人」と認識できている心の成長の証でもあるので、過度に心配する必要はありません。

母子分離不安の原因は?

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赤ちゃんはママの姿が見えなくなると、「今はいないけど、またすぐに戻って来る」という先の見通しを立てることができません。ママの姿が見えなくなると、赤ちゃんは「どこかに行ってしまったのではないか」「自分を守ってくれないのではないか」と不安になってしまうことがあるのです。

しかし、大きくなるにつれて記憶能力が発達し、「いなくなっても、しばらくしたら戻ってきた」ということを思い出せるようになれば、母子分離不安は自然と治まっていきます。

母子分離不安への対応方法は?

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母子分離不安はママがいなくなることに不安を感じているので、赤ちゃんに安心感を与えてあげることが大切です。しかし、だからといって、四六時中ママが赤ちゃんのもとから離れないようにすると、赤ちゃんの発達を妨げることになる可能性があります。

赤ちゃんにできるだけ不安を感じさせないようにするためのポイントとしては、以下のようなものがあります。

離れるときは声を掛ける

赤ちゃんのそばから離れるときは必ず声を掛けましょう。たとえ赤ちゃんがまだ言葉を理解していないと思っても、「隣の部屋にいるからね」「すぐに戻って来るからね」など、声をかけてから離れるようにします。

赤ちゃんを安心させる言葉をかけ続けていれば、赤ちゃんも「ママはちょっといなくなるけどすぐに戻って来るんだ」と次第に理解できるようになっていきます。

また、ママが別の部屋に行って赤ちゃんが泣き出したときは、すぐに赤ちゃんのもとに駆け寄るのではなく、その場から声をかけて「ママの姿が見えなくても、すぐそこにいる」と赤ちゃんに学習させるようにしてください。

慣れない場所ではママも一緒に遊ぶ

慣れない場所に連れて行かれると、赤ちゃんはいつもと違う様子に不安を感じて、ママが自分のもとから離れることに大きな恐怖を感じます。たくさん見知らぬ人がいるような場所も同様です。

この場合は、ママも一緒になって同じ場所で遊んで安心感を与えてあげましょう。ママが楽しく遊んでいる姿を見ると、安全な場所だと分かるようになって、不安も徐々になくなっていきます。

泣いてもきつく叱らない

母子分離不安が激しいと、毎日泣いてばかりいるような状態になります。あまりに泣かれると、ついイライラして「もう泣き止んで!」と突き放してしまいそうになるかもしれません。

泣いているのは不安を感じているからだと理解して、きつく叱らず、「ママはここにいるよ!」と声をかけ、安心感を与えてあげてください。

母子分離不安が強くても、登園できるの?

幼稚園

母子分離不安が強いと、「こんなにベッタリで、幼稚園や保育園に通えるのかな…」と心配になるかもしれません。ただ、個人差はありますが、どの赤ちゃんにも母子分離不安は見られるものです。

そして、「ママがいなくなっても、戻ってくるから大丈夫だ」と理解できる2歳頃までに母子分離不安は徐々に解消され、幼稚園や保育園にもきちんと通えるようになります。

しかし、2歳を過ぎても母子分離不安が非常に強く、幼稚園や保育園に行くのを拒否したり、ママなしで友達と遊ぶことができなかったりする場合は、分離不安障害の可能性があります。

これは、兄弟姉妹ができた、保育園・幼稚園に通い始めたなどの環境が変わったことがきっかけで起こると考えられます。しばらく甘えさせる時期を作ってみて、改善がなければ小児科医に相談すると良いでしょう。

分離不安障害は小学生でもなることがあり、学校に行けなかったり、友達の家に1人で遊びに行けなかったりするなどの症状が現れます。

分離不安障害と診断された場合には、ママと別れる場面をできるだけ短時間で済ませたり、子供の訴えに感情を交えずに対処したりする行動療法を行うのが一般的です(※2)。

母子分離不安には落ち着いて対処を

赤ちゃんを泣かせてしまうのがつらくて、ずっと一緒にいてあげたくなるのは当然の親心です。また、離れるたびに泣かれてイライラしてしまうかもしれません。

母子分離不安が長く続くと大変ですが、「ママが見えないところに行っても、あとで帰ってくるんだ」と理解してもらえるように日々落ち着いて対応していき、赤ちゃんの不安を取り除いてあげてください。

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