妊娠後期に入ると、胎児が子宮内で徐々に下りてくるので、「臨月になれば胃痛や胃もたれは楽になるのでは?」と思うかもしれません。しかし臨月でも、胃痛や下痢といった消化器官の症状に悩まされる妊婦さんはたくさんいます。今回は臨月の胃痛について、原因や対処法をご紹介します。
臨月の胃痛の原因は?出産兆候なの?
臨月に胃痛を起こす原因は数多くあり、その原因を正確につきとめるのは難しいかもしれません。しかしどんな原因があるのか知っておくと、自分の体に何が起こっているのかの手がかりが得られ、不安の解消につながります。
ストレス
臨月に入ると、「無事に赤ちゃんが産めるかな」「分娩の痛みに耐えられるかな」と緊張感や不安でストレスが溜まり、胃腸のトラブルを起こすことがあります。ストレスによって生じる症状は胃痛の他に、下痢や便秘などがあります。
胎児の成長
臨月には胎児が子宮内で下がるため、子宮が直接的に胃を圧迫することは減ります。しかし、大きくなった胎児が動き、子宮の周りにある胃袋を圧迫して、胃痛を引き起こすこともあります。
病気
身動きがとれなくなるほどの激しい胃痛は、ウイルス性胃腸炎、食中毒といった病気によって引き起こされている可能性があります。また妊娠27週~37週に起こるヘルプ症候群や急性脂肪肝も、胃痛を起こす原因のひとつであり、胃の痛みは時には体からのSOSとして発生します。
臨月の胃痛の対処法は?
臨月の胃痛がストレスによって起こっている場合、そのストレスを軽減させることで、胃の痛みを和らげることができます。また、できるだけ胃に負担をかけないことも、胃痛解消の糸口に。胃痛に悩まされている方は、ぜひ以下の方法を試してみてください。
軽い運動をする
外の景色をゆっくり楽しめる散歩はリラックス効果があり、胃痛の対処法として有効です。この他にも、リラックス効果が見込める運動としては、マタニティビクスがあります。マタニティビクスは臨月に入ってからも続けられるので、自宅でのんびり行ってみてください。
腹式呼吸、深呼吸をする
鼻からゆっくり息を吸い込み、口からゆっくり息を吐いていく「腹式呼吸」は心を落ち着けてくれますよ。また、陣痛・出産に備えて呼吸法を勉強し、練習しておくのもおすすめです。
出産や育児に関する不安を取り除く
入院の持ち物や産後の生活の必需品をチェックする、赤ちゃんのためにスタイや靴下を作るなど、出産や育児に向けて具体的に行動すると、不安を払拭でき、自律神経を整えるのに効果的です。
消化の良い温かい食べ物や飲み物をとる
緊張や不安がもたらす胃痛に悩まされているときは、消化の良い温かい食べ物や飲み物が効果的です。炭水化物がしっかりとれるおかゆがおすすめです。また牛乳は胃の粘膜を守り、胃酸を抑える働きがあるため、ホットミルクも胃痛のときに飲むといいですよ。
タンパク質を摂取する
タンパク質は胃の回復を助けるので、積極的に摂っていきたい栄養素です。特に大豆製品や脂肪の少ない肉類には良質なタンパク質が含まれており、意識的に普段の食事に取り入れてみてください。
臨月の胃痛が病気によって起こっているときは、どう対処する?
妊娠中は抵抗力が弱まっています。出産兆候の胃痛なら問題ありませんが、症状がひどいと、ウイルス性胃腸炎や食中毒にかかっている可能性もあります。差し込むような強い胃痛や繰り返す嘔吐、腹痛や下痢を伴う場合は早めに病院を受診しましょう。
また、「臨月の頃は赤ちゃんが成長しているので、薬を飲んでも赤ちゃんに影響がない」と聞く方もいるかもしれませんが、自己判断で薬は飲まないようにしましょう。症状がひどければ、妊婦健診の際に助産師や医師に相談して、赤ちゃんに影響のない薬を処方してもらうようにしてくださいね。
臨月の胃痛解消の鍵は「心の余裕」
臨月はホルモンバランスが変化し、胃痛だけではなく、様々な体調変化が起きる時期です。気軽に薬も飲めずつらいものですが、緊張や不安はストレスとなり、お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼしかねません。
そういったストレスを少しでも減らすためにも、胃痛について悩みや疑問があるときは、できるだけ早く医師に相談しましょう。「病院の先生もサポートしてくれるし、何かあればすぐに対処してくれる」と大きな心持ちで、出産予定日に臨むようにすれば、心に余裕ができ、自然と症状が和らぐかもしれませんよ。