妊娠37週に入って「正期産」になれば、出産まであとわずか。赤ちゃんに会えるのが楽しみな一方、なかなか陣痛が来る気配がなくて不安になる人もいるかもしれません。今回は、病院の内診で行われる卵膜剥離や体操、アロマ、ツボなどの方法に陣痛を促す効果があるのかどうかについてご説明します。
そもそも陣痛とは?
陣痛とは、赤ちゃんを外に押し出そうとして子宮が収縮することで起きる痛みのことです。子宮が出産の準備をするために起こる「前駆陣痛(偽陣痛)」と、直接分娩にかかわる「本陣痛(妊娠陣痛)」の2つがあり、一般的に「陣痛」と呼ぶときは「本陣痛」を指します。
子宮の痛みが約10分間隔と規則的になってきたら、本陣痛の始まりです。本陣痛の間隔はお産が近づくにつれて短くなっていき、赤ちゃんを押し出そうとして痛みが強くなります。自然分娩をするためには陣痛はなくてはならないものといえます。
出産予定日になっても陣痛が来ないことはある?
お腹の赤ちゃんが未熟なうちは、早く生まれてしまわないように子宮収縮が抑えられていますが、妊娠37週以降の正期産の時期に入ると、子宮収縮を促すホルモンが多く分泌され始めます。そして、ママと赤ちゃんの両方の準備が整ったときに、陣痛は起こります。
出産予定日はあくまでも推定の日付なので、必ずその日に生まれるというものではありません。出産予定日ぴったりではなく、出産がそれより早まったり遅くなったりするのはよくあること。
出産予定日になって陣痛が来ないとしても、おかしいことではありません。「まだ赤ちゃんがお腹にいたいのかな」と考えて、ゆったり構えましょう。
卵膜剥離は陣痛を促す効果があるの?
出産予定日を過ぎたあとは、こまめに妊婦健診をし、母体や胎児に特にトラブルがなければ自然に陣痛が来るのを待つことになります。
ただし、医師の判断によっては、内診のときに「卵膜剥離」を行い、陣痛を促すことがあります。これは臨月の内診の際に、医師が子宮頸管から子宮下部に指を入れ、赤ちゃんを包んでいる卵膜をママの子宮壁からひき剥がす方法です。妊婦さんの間では「内診グリグリ」と呼ばれることもあります。
指で子宮頸管を広げ、卵膜を刺激することで、子宮収縮を促すプロスタグランジンの産生を促進します。ただし、あまりに力を入れすぎると前期破水や出血につながることもあるので、痛みや不安があるときは医師に相談しましょう(※1,2)。
陣痛を促すツボがあるの?
人間の体にはたくさんのツボがあり、ツボを刺激することで血行を改善したり、女性ホルモンの分泌を促すことができるといわれています。
そのなかでも、陣痛を促す効果が期待できるといわれているツボを2つご紹介します。どちらも、痛くて気持ちいいくらいの力で押しましょう。
三陰交(さんいんこう)
三陰交は、内くるぶしの頂点から指4本分上がったところにあるツボです。
陣痛を促すだけでなく、安産にも効果があるとされます。産後も、体の回復を早めるために刺激するのがおすすめです。
太衝(たいしょう)
太衝は足の甲にあるツボで、親指と人差し指の骨がつながるくぼみです。
陣痛促進に加え、足のむくみ改善にも効果があるとされるので、産後も授乳で座りっぱなしのときは、ツボ押しを試してみましょう。
陣痛を促すには体操がおすすめ
体を動かすのも陣痛を促す外部刺激になります。臨月はお腹がかなり大きく、あまりに激しい運動は負担になるので、ウォーキングやスクワットなど軽めの体操や運動を心がけてください。
床の拭き掃除や草むしり、階段の上り下りなど、普段の生活の中で積極的に体を動かすのもおすすめです。適度に体を動かしておくことで、骨盤周りの筋肉が伸び縮みしてやわらかくなり、子宮口が開きやすくなる効果も期待できます。
アロマセラピーは陣痛を促すの?
アロマセラピーが陣痛促進に効果があることを示す医学的な研究報告は、今のところありません。
ただし、アロマの種類によっては、出産に対する不安感や恐怖感などをやわらげたり、腰痛やむくみなどの妊娠中のマイナートラブルを緩和させたりする効果が期待できます。
アロマのエッセンシャルオイルは、香りだけでなく化学成分が血液中に入りこんで作用するため、妊娠初期の使用は避けた方が良いとされます。ただし、アロマセラピーが流産を促進するというような危険性を報告するデータはありません(※3)。
お産が近づいた時期に使ってみたいということであれば、かかりつけの産婦人科医に相談してみましょう。
陣痛を促す前に、まずは心の準備を
陣痛が来るタイミングや出産の流れは、人それぞれです。どのような状況になっても慌てないよう、出産日が近づいたら心の準備をしておきたいですね。生まれてくる我が子を楽しみに待ちながら、残りの妊娠生活をリラックスして過ごしましょう。
あまりにも陣痛が来なかったり、弱かったりする場合は、陣痛促進剤やバルーンで分娩を誘発することもあります。いずれの場合にせよ、母体と胎児の安全を最優先にして方法が選択されるので、医師とよく相談しながら、落ち着いてお産に臨めるといいですね。