陣痛・出産を促すバルーンとは?方法、費用は?痛みはあるの?

監修医師 産婦人科医 永瀬 絵里
永瀬 絵里 産婦人科専門医。2001年、東海大学医学部卒業。神奈川県内の病院で産婦人科医としての経験を積み、現在は厚木市の塩塚産婦人科勤務。3児の母。「なんでも気軽に相談できる地元の医師」を目指して日々診療を行っ... 監修記事一覧へ

待ちに待った正期産の時期に入ると、陣痛はいつ来るのだろうかと気持ちがそわそわするものです。しかし、待っていてもなかなか子宮口が開かず、陣痛が来ない場合、医師から「バルーンを入れましょう」と提案されることがあります。自然分娩を進めるために行われるバルーンとは、一体どのようなものなのでしょうか。今回は、出産を促すバルーンについて、方法や流れ、費用、痛みなどをご説明します。

出産を促すバルーンとは?

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正期産の時期を過ぎてもなかなか赤ちゃんが生まれてこないときや、陣痛が弱すぎるときなどに、人工的に陣痛を起こして分娩を促す「誘発分娩」を行う場合があります。

分娩を誘発する方法には、陣痛促進剤の点滴や注射、飲み薬の服用だけでなく、「メトロイリンテル」という器械的な方法もあります。

メトロイリンテルでは、小さな風船のようなゴム球を腟から入れて子宮頸管を広げ、子宮収縮を促します。この方法の効果は高く、バルーン挿入後に子宮収縮薬を併用したりすることで、分娩時間が短縮されます(※1)。

その一方で、バルーンを挿入することで、赤ちゃんの頭を押し上げる形になり、子宮壁とのあいだに隙間ができます。バルーンが抜け落ちる前に破水した場合などは、そこから臍帯(へその緒)が出てしまうリスクもあるので、慎重に行う必要があります。

医師からバルーン挿入による誘発分娩を提案された場合は、事前にじっくり説明を受け、不安を解消しましょう。

バルーンで出産を促す方法は?

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バルーンは、子宮口が2~3cm開くか、子宮頸管が半分以上短くなった段階で使われます(※2)。

腟内を消毒したあと、バルーンの先端部分を子宮内に挿入し、空気を送り込まないよう注意しながら滅菌された生理食塩水を注入して、バルーンをふくらませます。

バルーンによる物理的な刺激により、次第に子宮口が広げられて柔らかくなり、開いていきます。

挿入したバルーンは引っ張り出さずにそのまま子宮内に残しておき、自然に抜け落ちるまで待ちます。この頃には、自然に陣痛が始まっていることが多く、そのまま分娩に進みます。

自然分娩を希望する人のなかには、なるべくバルーンのような器具を使わずに出産したいという人もいるかもしれません。

しかし、あまりに長時間陣痛が進まないときなど、器械的な処置をすることで胎児と母体の安全を守れることもあります。

陣痛・出産を促すバルーンに痛みはあるの?

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バルーンはごく小さいものですが、腟に挿入する際に、軽い痛みや違和感があるという人が多いようです。ただし、全く痛くなかったという人もいれば、すごく痛かったという人もいて、痛みの感じ方には個人差があります。

バルーンは、子宮口に入れてから適正な大きさまで膨らませます。そのあとは、圧迫されるような違和感があるくらいで、基本的に痛みはあまり感じませんが、「子宮口の開き具合を確かめるための触診が痛かった」という声もあります。

いずれにせよ、その後に起きる陣痛や分娩と比べると、バルーン挿入の痛みは軽いと感じるのが一般的です。

陣痛・出産を促すバルーンの費用は?

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誘発分娩は、自然分娩の範囲内とされるため、健康保険が適用されません。バルーンを使う場合、費用は別途かかりますが、病院ごとに異なるので、事前に確認しておくといいですね。

またバルーンは入院してから挿入するので、入院日数が長くなることもあります。差額ベッド代などの入院費が加算されるかどうかなど、費用は個人差がありますが、3~20万円ほど追加でかかると考えておきましょう。

なお、自然分娩でも、民間の医療保険で一部補償される場合があります。自分が加入している保険の内容について確認し、バルーンなど分娩誘発にかかった費用がカバーされるかどうか、保険会社に相談してみましょう。

バルーンは出産を促す方法のひとつ

できることなら、分娩誘発をせずに自然出産したいという人も多いでしょう。しかし、正期産の時期を過ぎても赤ちゃんが産まれない、陣痛が弱すぎる、陣痛が来る前に破水が起きた…など、お産のときは何が起こるかわかりません。

バルーンを使うことで、分娩時間が短くなり、ママも赤ちゃんも苦しい思いをせずに済むこともあります。医師の説明をよく聞き、落ち着いた気持ちでお産に臨めるといいですね。

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