出産予定日が近づいてくると、「内診グリグリ」という言葉を耳にする妊婦さんも多いのではないでしょうか。痛そうに聞こえるので、不安に感じる人もいますよね。内診グリグリとは、臨月の妊婦健診の際に行われ、陣痛を促すための方法です。今回は、妊婦健診で行われる内診について、その目的や時期、方法などをご説明します。
内診とは?
「内診」とは、産婦人科の医師または助産師によって行われる基本的な診察方法の一つです。「内側を診る」という漢字からもわかるように、腟に指や専用の器具を挿入して、子宮の大きさや形、位置、向き、硬さをチェックします。
妊娠中の妊婦健診での内診では、子宮口の開き具合や硬さなどを確認します(※1)。子宮の中の赤ちゃんを診る経腟超音波検査も、内診の一種といえます。
婦人科での内診では、症状や検査する項目にあわせて、腟口や子宮頸部、子宮体部などを診察します。内診によって、子宮頸癌や子宮内膜症、子宮筋腫といった女性特有の病気を発見することができます(※2)。
内診が行われるときは、内診台という専用の台に乗って開脚姿勢をとったり、普通のベッドの上に横になったりします。
妊婦健診で内診をする理由は?臨月に行う目的は?
妊婦健診での内診の頻度や内容は、産婦人科の方針や、母体と胎児の状態によって違います。
妊娠初期は、子宮の状態を確認する、妊娠の判断をする、感染症の有無を調べる、流産や早産のリスクを判断する、などの目的で行われます。
母体と胎児が安定している妊娠中期は、内診を行わないこともあれば、引き続き行うこともあります。
臨月に入ると、主に子宮口の状態を見て、お産が近づいているかどうかを確認するために内診が行われます。子宮口の硬さや開き具合、赤ちゃんの下がり具合で、ある程度出産の近さを推測できます。
内診後に「子宮口が開いてきている」と言われたら、出産に向けて準備が進んできていると思ってくださいね。
内診グリグリとは?陣痛を促す効果があるの?
「内診グリグリ」とは、出産予定日が近づいてきた妊婦健診の際に、子宮内を刺激して陣痛を促すことをいいます。正しくは「卵膜剥離」と呼ばれ、子宮口に指を入れて赤ちゃんを包む卵膜を子宮壁からひき剥がします(※3)。
この操作により、子宮収縮を促すプロスタグランジンという物質が分泌され、陣痛につながるとされています。
子宮内で指をぐるりと回転させるようにして剥がすので、グリグリされている感覚があります。
内診グリグリはいつ行われるの?
内診グリグリを行うタイミングは、人によって違い、妊娠39週頃に行うこともあれば、出産予定日を過ぎてから行うこともあります。
基本的には、経腟分娩が可能と判断されていながら、陣痛が来ない場合に行われます。このとき、子宮頸管がある程度柔らかくなって指1本分は開いていないと行うことができません(※3)。
内診グリグリを行わず、陣痛促進剤を使って陣痛を促すこともあります。
内診グリグリは痛いの?
内診グリグリ(卵膜剥離)は、医師が母体や胎児の状態を見て行いますが、痛みや苦痛を伴うことがあります(※4)。痛みの感じ方には個人差があり、とても痛かったという人もいれば、ほとんど痛くなかったという人もいます。
緊張したり体に力が入ったりしていると内診が行いにくくなり、より痛みを感じやすくなることもあるため、力を抜いて息を吐いてリラックスしましょう。心配なときは、事前に医師や助産師に相談すると安心です。
診察が終わってからもしばらく痛みが続くときは、病院に連絡をしてください。
内診グリグリの後に出血が起こる?
内診グリグリで刺激された直後に、出血や破水をする人もいます(※4)。出血後しばらくして治まるようなら、心配はありませんが、帰宅後もなかなか血が止まらなかったり、陣痛の痛みが現れたりしたときは、病院に連絡をしましょう。
内診グリグリが行われる時期は、陣痛のサインである「おしるし」が起きることも。そのため、内診グリグリによる出血なのか、おしるしなのか、区別がつかずに悩む妊婦さんもいます。
基本的には、内診グリグリの直後に出血した場合は、内診出血だと判断してもいいでしょう。ただし、内診グリグリによる出血とおしるしを、色や量で見分けるのは難しいものです。前述の通り、出血が続くときは病院へ連絡して状況を伝え、指示に従ってください。
内診グリグリをしたら出産まであと少し
内診グリグリをするということは、子宮口が少しずつ開き始め、まもなく陣痛が始まる段階です。内診グリグリに対して、恥ずかしさや怖さを抱くこともあるかもしれませんが、「赤ちゃんに会えるまでもう少し」と思えば、不安な気持ちも軽くなるのではないでしょうか。
陣痛を促すには様々な方法がありますが、事前に知っておくと、いざというときに安心です。心配なときは、事前に医師や助産師に相談してみてくださいね。