妊活中に食事が体に及ぼす影響は?食べ物で妊娠力を高められる?

監修専門家 管理栄養士 安蒜 ゆい
安蒜 ゆい 病院・保育園にて管理栄養士として献立作成・衛生管理や食育活動に携わり、現在は独立しフリーランス管理栄養士・彩り時短食プランナーとして活動しています。「季節や行事を通して食事・家族の時間の大切さを伝えて... 監修記事一覧へ

「そろそろ赤ちゃんがほしい」と思ったら、まず今までの生活を色々と改善する必要があるかもしれません。適度な運動、十分な睡眠、そして栄養バランスの取れた食事を心がけて、健康的な体を作っていきたいですね。今回は、妊娠しやすい体を作るための食べ物を使った食事法や食生活についてご紹介します。

妊活中に食事が体に及ぼす影響は?

食事 食べ物

人間は食事を摂ることで体に必要な栄養素を補給し、生命活動を維持しています。そのため、適度な栄養をバランスよく体に取り込むことは、健康な体や豊かな生活にかかせません。

そして妊娠するためには、健康な体がかかせません。健康体だと、女性ホルモンのバランスも整い、生理不順や冷えなど、不妊につながるトラブルも防ぐことができます。

特に生理不順になると、排卵日の特定が難しくなり、大事な妊娠のタイミングを逃してしまうことにもつながるので、すぐに改善したい項目です。栄養バランスの取れた食事を心がけ、体の内側から変えていきたいですね。

妊活におすすめの食事や食べ物は?

食事 女性

それでは、どんな食事が妊娠しやすい体作りを助けてくれるのでしょうか。ここでは、おすすめの栄養素や食材をご紹介します。

体を温める食材

女性は筋肉量が少ないため、冷えを感じやすいもの。体の冷えは血流の滞りにつながるので、妊活中の人は体を温める食材を積極的に摂りましょう。

にんじんやごぼう、かぼちゃなどの根菜類、しょうがやねぎなどの薬味類も良いですね。果物であれば、さくらんぼや桃などが体を温める食材として有名です(※1)。

体を作るたんぱく質

脂質・糖質・たんぱく質は三大栄養素といわれ、体を作るために必要な栄養素です。特にたんぱく質は、筋肉・皮膚・髪やホルモン・免疫体など体の重要な要素を構成しており、胎児の成長にも欠かせません。

たんぱく質は肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などの食材に多く含まれています(※2)。成人女性の1日の推奨摂取量は、50gです(※1)。

肉や魚はたんぱく質を効率よく摂れる食材なので、主菜のメニューに取り入れましょう。加えて副菜に、火を通さなくてよい豆腐やチーズ、どんな食事にも合う卵などを用意すると、手間をかけずに栄養バランスのいい食事ができますよ。

女性に欠かせない鉄分・亜鉛・葉酸

鉄分は月経がある女性にとって不足しやすい成分で、亜鉛は女性ホルモンの分泌を促します。また、葉酸は妊娠初期に起こる胎児の「神経管閉鎖障害」を予防してくれる大切な栄養素です。

特に妊娠を計画している女性の葉酸摂取量については、推奨量の240μg/日に加えて、栄養補助食品などで付加的に400μg/日を摂取することが望まれると厚生労働省からも発表されています(※3)。

これら3つの栄養素は日頃から不足しがちなものなので、妊活中は積極的に摂るようにしましょう。サプリメントなどの栄養補助食品に頼るのも一つの手です。

鉄分は豚肉や牛肉など動物性食品に含まれるものの方が、植物性食品のものより体に吸収されやすいとされています。植物性食品で鉄分を摂取したいときは、ビタミンCやたんぱく質とあわせると吸収率がアップします。

亜鉛はカキ・牛肉・レバー・かに・レンズ豆・そら豆に含まれています。

葉酸はブロッコリー・ほうれん草・菜の花・モロヘイヤなどの野菜や、ライチ・アボカド・いちごなどの果物、ひよこ豆・そら豆などの豆類に含まれます。レバーやしじみなどに含まれるビタミンB12と一緒に摂取することによって、吸収が促されます(※1)。

卵子の老化を防ぐカロテン・ビタミンC・ビタミンE

女性は年齢が上がるにつれ、卵子も一緒に歳を取り、受精しにくくなってしまいます。加齢による卵子の機能低下を防ぐには、抗酸化作用のあるカロテン・ビタミンC・ビタミンEの摂取がおすすめです。

カロテンは、かぼちゃやにんじん、ビタミンCはアセロラやグレープフルーツ、ブロッコリー、パプリカ、ビタミンEは、ナッツ類や油脂類に多く含まれています(※1)。

妊活中に控えたい食べ物は?

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妊娠しやすい体を作るためには、控えたい食べ物もあります。ここでは、その代表的なものをご紹介します。

体を冷やす食材

体を冷やす食材を摂取すると、血流が悪くなり、不妊につながる様々なトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。暑い夏場は冷たいものを食べたくなってしまいますが、妊活中は控えるのがおすすめです。

冷たい飲み物も体を冷やす原因になってしまうので、できるだけ常温のものを飲むようにしてくださいね。

また、きゅうりやなす、トマト、バナナなど、暑い地域で取れる食べ物や、夏が旬の食べ物は、体を冷やす物が多い傾向にあります(※1)。

トランス脂肪酸

トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種です。食品加工で日持ちをよくしたジャンクフードやスナック菓子、マーガリンやショートニングなどに含まれています。

トランス脂肪酸を過剰に摂取すると悪玉コレステロールが増加し、心筋梗塞や肥満、アレルギー性疾患などのリスクが高まります。またアメリカでは、トランス脂肪酸の過剰摂取が、女性の排卵機能や、男性の精子の運動率の低下などに関係するという研究結果も発表されています。

WHOは、トランス脂肪酸の摂取量について、1日の総エネルギー摂取量の1%未満という目標値を提示しています。それに対して日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は、総エネルギー摂取量の0.3%であることがわかっています(※4)。

日本人はもともと摂取量があまり多くないので、そこまで気にしすぎる必要はありませんが、偏った食事をしないように、心に留めておきましょう。

糖質

糖質は体に吸収されるスピードが速く、食後すぐに血糖値を急上昇させてしまいます。そのため過剰に摂取すると、太りやすくなったり、ホルモンバランスが乱れたりする原因になる可能性があります。

ごはんやパン、麺、お菓子など、糖質が含まれるものの摂取は、適量を心がけましょう。これらのかわりに、体への吸収が緩やかな玄米やライ麦で糖質を摂るのもおすすめです。

多量のアルコール・タバコ

もちろん、多量のアルコールやタバコなど、不健康につながるものは全般的に控えたほうがいいでしょう。女性だけでなく、男性も注意が必要です。

特に喫煙に関しては、男性の精子濃度や運動性、正常形態率に関わっていることが明らかになっており、いずれも不妊に繋がります(※5)。

妊娠を望む場合は、夫婦一緒に気をつけていきたいですね。

妊活中は、楽しい食事・好きな食べ物をとることも大切

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妊活中は栄養バランスのよい食生活を送ることが大切ですが、「栄養がしっかり摂取できる食事をしなくては…」と意識しすぎてストレスを溜めてしまうと、逆効果です。ストレスを感じるとホルモンバランスが乱れ、生理周期の乱れや、排卵機能の低下を招いてしまうことがあります。

今までの食生活を急に大きく変えるのは大変です。一度にすべてのことをやるのではなく、食材や栄養素に少し目を向け、日常生活に取り入れやすそうなことから始めてみましょう。毎日少しずつ続けながら、妊活中の食事を楽しめるといいですね。

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