プロラクチンとは?正常値は?数値が高いとどうなるの?

監修医師 産婦人科医 永瀬 絵里
永瀬 絵里 産婦人科専門医。2001年、東海大学医学部卒業。神奈川県内の病院で産婦人科医としての経験を積み、現在は厚木市の塩塚産婦人科勤務。3児の母。「なんでも気軽に相談できる地元の医師」を目指して日々診療を行っ... 監修記事一覧へ

妊娠・出産に関する情報を読んでいて「プロラクチン」という言葉を目にしたことはありませんか?一般的には、母乳の分泌を促すホルモンと紹介されていますが、妊活中にプロラクチンの数値が高いと、妊娠しにくくなる可能性もあります。今回は、産後の授乳や妊娠に深く関係しているプロラクチンについて、正常値や、数値が高い場合にどうなるかなどを詳しくご説明します。

プロラクチンとは?

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プロラクチンとは、脳下垂体で分泌される女性ホルモンの一種です。乳汁分泌ホルモンとも呼ばれ、妊娠や出産に深く関係しています。

実は女性だけでなく男性にも分泌されており、男性にとっては、精嚢腺や前立腺といった性機能の発育を促す役割を持っています。

プロラクチンにはどんな作用がある?

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プロラクチンは出産後のママにとって重要な作用を担っており、赤ちゃんを育てていくために次のような働きをしてくれます(※1)。

乳腺を発達させる

プロラクチンが分泌されると、乳腺で母乳が生成されます。そして、出産後には母乳を押し出すオキシトシンというホルモンがたくさん分泌されることで、母乳が出るようになります。

赤ちゃんが乳首を吸うと、その刺激がさらにプロラクチンとオキシトシンの分泌を促すため、おっぱいを飲ませるほど母乳がたくさん出るようになるのです。

子宮収縮を促す

プロラクチンは子宮収縮を促し、出産後の母体の回復を早めてくれます。産後にママの体を早く回復させることで、子育てに取り組める体を作ってくれますよ。

「産後の体を回復させるには、赤ちゃんに母乳をたくさん飲んでもらったほうがいい」といわれるのはこのためです。

排卵を抑制する

産後すぐは妊娠ができないように、プロラクチンの働きによって排卵が抑制されています。

赤ちゃんが生まれると、母乳を出したり赤ちゃんのお世話をしたりと、ママの体にも大きな負担がかかります。新たに妊娠してさらに負担が増えないように、排卵を抑制しているのです。

プロラクチンの正常値はどれくらい?

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プロラクチンの平均値は、昼間安静にしているときで、5ng/ml前後とされています(※2)。ただし、プロラクチンの値は睡眠や食事、運動やストレスなど、様々な要素で変動します。そのため、プロラクチンは計測するタイミングが難しいホルモンでもあります。

血中のプロラクチンを計測する方法には数種類あり、それぞれで正常値が異なります(※3)。

検査法ごとのプロラクチンの正常値

● CLIA法:4.3〜32.4ng/ml
● ECLIA法:4.9〜29.3ng/ml

プロラクチンは、妊娠すると20〜200ng/ml上昇することが知られています。また、正常分娩後の授乳期間は約150〜200ng/mlから急激に50〜100ng/mlまで減少し、月経が起こる頃には約30ng/mlで推移するようになります(※3)。

また、男性の正常値は女性よりも少なく、不妊検査での血液検査などで異常値が見つかることがあります。

プロラクチンが基準値より高いとどうなる?

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女性の血中プロラクチン値は、15ng/ml未満が望ましいとされています。妊娠・授乳中でもないのにプロラクチンが増えすぎると「高プロラクチン血症」と診断され、不妊や月経不順、無排卵月経などを引き起こすことがあります。

また、プロラクチン濃度が高くなると妊娠経験がないのに乳汁が出るなど、体に様々な変化をもたらすことがあります(※3)。

女性だけでなく、男性も高プロラクチン血症と診断されるときには不妊の症状が見られることがあります。性欲の低下やED(インポテンツ)が見られるときには、男性側の高プロラクチン血症を疑い、泌尿器科や不妊治療を行っている病院を受診するようにしましょう。

プロラクチンを正常値に戻す治療法は?

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プロラクチンの値に異常が見つかったときには、何が原因かによって治療法が異なります(※3)。たとえば、プロラクチン産生腫瘍(プロラクチノーマ)のように明確な原因があればその治療を行い、抗うつ剤といった薬が原因であれば、服用を控えるといったことが行われます。

しかし、明確な原因がわからないときには、ホルモンバランスの乱れで高プロラクチン血症が引き起こされていることが考えられるため、プロラクチンを抑える「プロモクリブチン(商品名:パーロデル)」を使うなどして治療します。

パーロデルの服用期間には個人差があり、妊娠を希望する人は数年間飲み続けることもありますが、このプロモクリブチンには吐き気やめまいといった副作用を引き起こすことがあります(※2)。

ホルモンバランスを整えるという意味では、睡眠時間の確保やストレスの発散といった生活習慣の工夫をしたり、副作用が少ない漢方薬を利用してみることで、症状の改善を目指すことができるかもしれません。

プロラクチンは女性に欠かせないホルモン

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プロラクチンは女性の妊娠・出産・育児に欠かせないホルモンですが、プロラクチンに限らずホルモンというものはバランスが一番大切です。

ホルモンバランスの乱れは健康の乱れに直結するため、普段からできるだけ健康的な生活を送ることができるといいですね。

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