妊娠10週はつわりが続く時期ではありますが、ピークを過ぎて落ち着いてくる人もいます。ただ、急にピタッとつわりがなくなると嬉しい半面、「流産の兆候なのでは?」と心配になるかもしれません。今回は妊娠10週のお腹の大きさや妊婦さんの状態、エコーで分かる赤ちゃんの大きさ、腹痛などのトラブルについてご説明します。
妊娠10週の胎児の大きさは?エコー写真で何が見える?

妊娠10週の終わりには、頭殿長(赤ちゃんの頭のてっぺんからお尻の突出部までの長さ)が約3~4cmになります(※1)。頭の大きさが体の半分を占める2頭身の状態ですが、徐々に胴が長くなり、姿勢も真っ直ぐになって、人らしい姿に近づいていきます。
妊娠10週頃から、お腹のなかの赤ちゃんは、ママの羊水を飲んでは吐き出す、呼吸の練習を始めます。最初は少しずつですが、次第に頻度が高くなり、妊娠30週頃には1日の約30%の時間を使って、この呼吸の練習をするようになります(※1)。
赤ちゃんはまだまだ小さいですが、この時期には手足がほとんど完成し、動かせるようになります。エコー検査のときに、少し動く様子が見えるかもしれません。
ただ、赤ちゃんが動き出したといっても胎動として感じるのはもう少し先です。早い人では妊娠18週頃から感じられるようになるので、楽しみに待っていてくださいね。
妊娠10週の妊婦さんの状態は?お腹が出る?

妊娠10週は、妊娠がわかってから1ヶ月ほどが経過した時期です。外見上は大きな変化がなくても、つわりなどのトラブルに悩まされ、妊娠している自覚が強くなってきます。赤ちゃんが成長し、子宮内の羊水の量が増えてきたので、見た目以上に体重の増加を実感している人もいるかもしれません。
子宮は大人の握りこぶしほどの大きさに近づき、下腹部がややふっくらします。自分の握りこぶしをお腹に当ててみると、「赤ちゃんはもうこんなに大きくなっているのか」と驚きますよね。
お腹が大きくなっていくのは赤ちゃんが成長している証です。赤ちゃんを締め付けることがないように、必要に応じてマタニティウェアや下着なども揃えてくださいね。
妊娠10週につわりが落ち着くの?

つわりの症状は人によって違いますが、一般的には妊娠10週もつわりが続いている場合がほとんどです。しかし、早い人では、妊娠10週くらいでピークを過ぎて、落ち着くケースもあります。
つわりが落ち着くと、今まで食べられなかった反動で食欲が増しやすいもの。しかし、食べ過ぎで急激に体重が増えてしまうのは問題です。妊娠13週6日までは、妊娠前の基本摂取カロリー+50kcalを目安に食事を摂りましょう(※2)。
妊娠中に体重が過度に増えると「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」のリスクが高まります。妊娠10週頃は、まだ赤ちゃんが母体からの栄養をあまり必要としない時期なので、食べすぎてしまわないように注意してくださいね(※3)。
妊娠10週に腹痛が現れたら?流産の可能性もある?

妊娠10週目にはつわりが落ち着く人もいますが、今までひどかったつわりがピタリとなくなった場合には、流産したかもしれないと心配になるかもしれませんね。
つわりが急になくなったときは、腹痛や出血がないかをよく確認してください。
つわりが急になくなって、腹痛や出血を伴う場合は、早めに病院を受診しましょう。腹痛や出血などの症状がなければ、慌てる必要はほとんどありません。心配なときは、かかりつけの医師に相談してみてくださいね。
妊娠10週から気をつけたいマイナートラブルは?

妊娠10週になると、つわり以外のマイナートラブルも増えてきます。人によって違いはありますが、以下のような症状が現れやすくなります。
血管が浮いて見える
妊娠すると、子宮や胎盤にたくさんの血液を回すため、体内で生産される血液量が増えます。血液量が増えるとその分血管が広がるので、足や乳房、お腹周りの血管が透けて、浮き上がって見える人も。肌が白い人は特に目立ちます。
妊娠中にはよく見られるトラブルで、心配ないことがほとんどですが、血管がこぶのように膨らんできたら「静脈瘤」が疑われます。長時間同じ体勢を取らない、適度に運動をするなどして、血流をよくするように心がけましょう。
腰痛がひどくなる
妊娠すると「リラキシン」という関節を緩めるホルモンが分泌され、筋肉に負担がかかりやすくなります。大きくなる子宮を支えるためにどうしても腰回りに負担がかかってしまい、腰痛が起こりやすくなります。
姿勢が悪いと腰への負担は更に大きくなってしまうので、妊娠初期の段階から正しい姿勢を心がけましょう。腰痛がつらいときは骨盤ベルトや腹帯によって痛みを緩和したり、寝方を工夫したりするのも効果的ですよ。
シミやあざが目立ってくる
妊娠すると色素沈着が起こりやすくなり、肌が黒ずみ、シミやあざが現れることもあります。
これは、妊娠中に分泌量が多くなる「プロゲステロン」という女性ホルモンが、「メラノサイト」というメラニン色素を生成する色素細胞を刺激するため。特に傷跡や膣、外陰部、乳首などに黒ずみが現れる人が多いようです。同じ理由で、お腹の中心に「正中線」と呼ばれる1本の線ができることもあります。
妊娠中に現れた黒ずみや正中線は一時的なもので、出産後にプロゲステロンの分泌が落ち着くと自然に薄くなる場合がほとんどです。あまり気にしすぎないようにしましょう。
妊娠10週の食生活の注意点は?

妊娠10週頃は胎児の骨と筋肉が急成長している時期です。牛乳や納豆、ひじきなど、カルシウムを多く含んだ食材を食べるのがおすすめですよ。このときビタミンDを一緒に摂ると、カルシウムの吸収が促進されます(※4)。
またビタミンCは、骨や血管を形成するコラーゲンの働きや、鉄分の吸収を助けてくれるので、こちらも積極的に摂取しましょう。ビタミンCはフルーツやピーマン、ブロッコリーに多く含まれます(※4)。
ただし、つわりがひどいときは無理して食べる必要はありません。食べられるものを、食べられるときに、食べるようにしましょう。脱水症状にならないように水分補給は忘れず、葉酸が多い食品を効率よく摂るのもいいですね。
妊娠10週頃から気持ちの準備を
妊娠10週頃には、妊娠中期に向けた準備を始めてみましょう。ママになる心構えや情報を得るために「母親学級」に参加してみるのもいいですね。
母親学級とは、病院や地域で、出産や育児について学ぶ場として設けられている場所です。栄養指導や分娩時の呼吸法、産後の過ごし方や赤ちゃんの沐浴方法などを、栄養士さんや助産師さんが教えてくれますよ。同じ時期に出産予定の妊婦さんが集まり、交流を持つこともできるので、ママ友作りの場としても活用できます。
妊娠初期・中期・後期にかけて、数回開催されていることが多く、早いうちから参加することをおすすめします。任意参加なので、体調を見て、つわりがおさまる頃に参加してみてくださいね。