妊娠することで新しい命が宿ったことに喜びを感じる反面、様々な体のトラブルに悩まされます。その中でも多くの妊婦さんたちを悩ませるのが「腰痛」。お腹が大きくなるほど腰の痛みはひどくなり、体を動かすのも大変です。でも、生活習慣に気をつけることで腰痛を防ぐこともできるんですよ。今回は妊娠中の腰痛に悩まされないためにできる腰痛対策を8つご紹介します。
妊婦が腰痛になりやすいのはなぜ?
妊娠前は腰の痛みに悩まされたことがなくても、妊娠を機に腰痛持ちになる人はたくさんいます。妊娠でホルモンバランスが変化して「リラキシン」というホルモンが分泌されるのが一番の原因です。
リラキシンは骨盤周りの靭帯を緩める働きがあり、これで骨盤周辺の関節が不安定になると腰回りに大きな負担がかかって痛みが現れます。妊娠中は腰痛だけでなく、恥骨痛や尾骨痛になりやすいのも、このホルモンが関係しています。このリラキシンというホルモンは妊娠3ヶ月頃から産後2、3日頃まで出ていると言われています。
また、妊娠中期・後期になるとお腹が大きくなるので、それを支えるため無意識に体を反らせる姿勢をとるようになり、腰回りの筋肉に負担が集中して腰痛が悪化します。
妊娠中の生活習慣が腰痛を悪化させる?
妊娠中は体の変化で腰痛が現れやすくなりますが、毎日の行動も腰痛を悪化させる原因になることがあります。
たとえば、立ったり歩いたりするときの姿勢。どうしても体を反らせてしまいがちですが、腰への負担が少ない姿勢を心がけるだけでも痛みがやわらぎます。また、寝るときのベッドが柔らかすぎたり、固すぎたりすると、腰への負担が大きくなることもあるんですよ。
次からは、実際に腰痛対策として注意すべき生活習慣と対処法をご紹介します。
妊娠中の腰痛対策!生活習慣で気をつけたい8つのこと
日々の生活を振り返ってみて、以下でご紹介する習慣ができているか確認してみましょう。まずはできることから実践してみてくださいね。
1. 歩きやすい靴を選ぶ
お腹がそれほど大きくなければヒールの高い靴を履きたくなるかもしれません。しかし、ヒールが高い靴は体重を支えるのが難しくなって、腰への負担を悪化させます。
転倒のリスクもあるため、妊娠がわかったら早い段階から歩きやすい靴を選んで、できるだけ腰に負担をかけないようにしましょう。
2. 立つ・歩く・座るときに背筋を伸ばす
お腹を抱えるように体を反らしたり、前かがみになったりすると、腰への負担が大きくなります。立つ・歩く・座るときは背筋を伸ばすように意識しましょう。
家事で掃除機をかけたり料理をしたりするときに前かがみになりやすいので注意してください。背筋を保つのが難しい人はガードルや骨盤ベルトを活用しましょう。医師もよく推薦する「トコちゃんベルト」がおすすめです。
骨盤ベルトで骨盤の下側を締めて支えることで、背骨を正しいS字カーブに近づけてくれますよ。
3. 重たいものを持たない
重たいものを持ち上げるときに腰への負担は大きくなります。妊娠中で腰が痛い人は重いものは持たないように心がけてください。
どうしても持たなければならないときは、足を肩幅に広げ、膝を曲げてしゃがみ、ゆっくり持ち上げるようにしましょう。両腕と両足を使ってものを持ち上げることで、背筋や腰への負担を減らすことができますよ。
4. 前かがみになるのを避ける
家事をしていると前かがみになる場面も多いのですが、できるだけ前かがみにならない工夫をしましょう。洗濯物を干すときは少し高い位置にして、腰を伸ばして作業ができるようにしてください。頭より高い位置にすると背中に負担がかかります。
また、洗濯かごに入った洋服を取り出すときなどは、腰を曲げるのではなく、膝を曲げるようにすると負担が減ります。
5. 長時間同じ姿勢でいない
長時間立ち続けたり、座り続けたりすると、腰への負担が大きくなります。立っているときも座っているときも、1時間同じ姿勢を保っていたときは30分の休憩をはさみましょう。座っていたときは軽く散歩をする、立っていたときは腰をかけて休憩するなどを心がけてください。
6. 柔らかすぎる布団には寝ない
柔らかすぎるマットレスは寝ている間に体が沈んで、肩や腰に負担をかけます。ただし、マットレスが固すぎても、腰痛の原因になることがあります。自分にあったマットレスで眠って、肩や腰への負担を軽減したいですね。
また、横向きで寝ると腰への負担が軽くなるので、「シムスの体位」がおすすめです。抱き枕やクッションなどをを使うのも効果的です。
7. 腰を冷やさない
腰の血流が悪くなると筋肉が固くなって、痛みが強くなります。腰は冷やさないように寒い時期は腹巻きをするなど腰を暖めててください。一日の終りには湯船に使って体を温めるようにするのも効果的です。
8. ストレスをためない
ストレスがたまると、体の痛みを感じやすくなります。人間が感じる痛みはドーパミンという脳内物質によって軽減されますが、ストレスで脳内物質のバランスが崩れるとドーパミンの分泌が抑えられて、痛みを感じやすくなるのです。
好きな音楽を聴いたり、カラオケで声を出したりなど、自分に合った方法で日頃からリフレッシュしましょう。
妊娠中も積極的に体を動かして腰痛改善に努めよう
腰痛を予防するために生活習慣で気をつけたいことをご紹介しましたが、普段から体を動かすのも腰痛対策になります。腰回りの筋肉が鍛えられると、体を支えることができるようになるので負担も少なくなるからです。妊娠の時期によってできる運動は違いますが、無理のない範囲で体を動かすことは大切です。
妊娠初期から腰が痛い人は、妊娠週数が進むにつれて痛みが増してくることが多いので、できるだけ早いうちから生活習慣を見直して対策に努めてくださいね。