妊婦の恥骨痛、対策や原因は?妊娠初期から痛み出すこともある?

監修専門家 鍼灸按摩マッサージ指圧師、IASTM、NKT、PRI、ERS 島田 健
島田 健 累計約3万件の施術経験。東京医療専門学校本科にて鍼灸按摩マッサージ指圧師の国家資格を取得。在学中より様々な著名人やアスリートの通う治療院に勤め、その後コンディショニング施設にて治療面とトレーニング面か... 監修記事一覧へ

妊婦さんを苦しめる体のトラブルの一つに「恥骨痛」があります。恥骨痛は、お腹が大きくなるにつれて痛みが出るケースが多いのですが、なかには妊娠初期で、まだお腹が大きくないのに恥骨が痛くなる妊婦さんもいます。一体、なぜ恥骨痛が起こるのでしょうか?また、少しでも痛みをやわらげる方法はあるのでしょうか?今回は、妊娠中の恥骨痛の原因と対策についてご説明します。

妊婦の恥骨痛とは?どこが痛むの?

骨盤 恥骨結合 恥骨痛

恥骨痛とは、その名の通り骨盤の下のほうにある「恥骨」の部分に現れる痛みのことです。骨そのものが痛んでいると思うかもしれませんが、実は、左右の恥骨をつなぐ軟骨(恥骨結合)が傷ついているのが原因です。

痛みの感じ方は人それぞれで、生理のようなチクチクした痛みを感じる妊婦さんもいれば、股の下あたりにズキズキした痛みを感じる妊婦さんもいます。

痛みが強いと、横になった姿勢から起きられなかったり、歩けなくなったりすることもあります。

妊婦の恥骨痛の原因は?

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妊娠中に恥骨痛が起こりやすいのは、妊娠・出産による体の変化と大きな関係があるからです。主に以下2つが原因だと考えられています。

骨盤まわりの関節や靭帯がゆるむ

出産に備えて、リラキシンというホルモンの作用によって妊婦さんの骨盤周りの関節や靭帯がゆるみます。これにより、赤ちゃんが産道を通り抜けやすいようになるのです。

一方で、関節や靭帯がゆるむことで体を支える力が弱まり、骨盤周りや恥骨結合に負荷がかかりやすくなるため、痛みが現れることがあります。

子宮の重みで圧迫される

胎児が成長するにつれて、妊婦さんの子宮もどんどん重く大きくなります。恥骨部分は子宮の真下にあるため、強く圧迫されます。その結果、恥骨結合が損傷したり引き伸ばされてしまったりするため、激しい痛みを感じることがあります。

妊娠中期(妊娠5ヶ月~)に入ると、妊婦さんのお腹はだんだん大きくなってきて、靭帯が緩んできているところに子宮の重みが加わるため、痛みを感じやすくなります。一般的には臨月が痛みのピークですが、産後まで恥骨痛が続く人もいます。

妊娠初期に恥骨痛が出ることもある?

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妊婦さんによっては、お腹が大きくなる前の妊娠初期から恥骨が痛み始めるケースもあります。もともと生理のときに腰痛があったり、骨盤が大きくゆがんでいたりする妊婦さんに多いようです。

また先述のとおり、妊娠週数が進むにつれて骨盤はゆるみ、関節の位置がさらにずれていきます。さらに、産後は赤ちゃんの授乳や抱っこなどのお世話により、骨盤まわりに負荷がかかることが増えるため、ますます骨盤周りのトラブルが起きがちです。

そのため、一人目の出産のときは恥骨痛をあまり感じなかったのに、二人目の出産のときは妊娠初期から恥骨痛に悩まされていたという妊婦さんもいます。

妊婦の恥骨痛の対策は?

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妊婦さんが恥骨痛になったら、悪化させないように次のことに気をつけましょう。

姿勢を意識する

お腹が大きくなってくると姿勢が悪くなりがちですが、骨盤のゆがみにつながるような姿勢は避けましょう。

たとえば、座るときに足を組んだり、正座を片方に崩した「お姉さん座り」などはせず、腹筋を意識しておへそのあたりを引き上げるようなイメージを持ってみると良いですよ。

ストレッチをする

日頃から腰回しなどの体操をしたり、ストレッチをしたりしておくと恥骨痛を緩和させることができますよ。ただし、お腹の張りを感じたらすぐに休むなど、体調に気をつけながら行うようにしましょう。

下記の関連記事では、産後にも役立つストレッチをイラストつきで紹介しているので、参考にしてください。

骨盤ベルトをつける

「トコちゃんベルト2」など、妊娠中に使える骨盤ベルトを使って骨盤を固定することで、恥骨結合の負担が軽くなり、痛みがやわらぐこともあります。

ただし、適切に着けないと逆に痛みが増してしまう可能性があるので、不安なときはかかりつけの産婦人科医や助産師に相談することをおすすめします。

不安定なところで足踏みする

くるくる丸めたタオルの上や、舗装されてない凸凹した道など、不安定なところで足踏みをすることにより、骨盤底筋が鍛えられたり、足や骨盤のバランスが整ったりして、恥骨痛がやわらぐこともあります。

ただし、転倒には気をつけてください。特に妊娠初期は、無理のない範囲で行いましょう。

寝方を変える

恥骨痛が気になるときは、仰向けで寝ない方がいいとされています。これは、仰向けで寝ると子宮が骨盤近くの血流を圧迫し、痛みが強くなる可能性があるからです。どうしても仰向けで寝たい場合は、膝を立てて寝ると痛みを感じにくくなりますよ。

また、横向きに寝るときに、足の間に抱き枕やクッションを挟むと、恥骨痛がさらに和らぐ妊婦さんもいるようです。

恥骨痛がつらい妊婦さんは医師に相談を

恥骨痛の痛みがひどい妊婦さんは、我慢したり自己流で何とかしようとしたりせず、かかりつけの産婦人科や助産院へ相談してください。

特に妊娠初期は、体の変化もまだ小さく、見た目も妊娠前とさほど変わらないため、無理をしてしまいがちです。その結果、人によっては恥骨痛が悪化してしまい、その後の妊娠生活に支障をきたしてしまうかもしれません。

また、妊娠中の恥骨痛を放っておくと、それが産後まで続いてしまうこともあります。整体の施術などで骨盤の歪みを整えてもらうのも一つの方法なので、通える範囲にあれば検討してみてもいいですね。

元気に子育てができるよう、痛みがつらいときは早めに医師や整体師に診てもらいましょう。痛みを軽減して、無理のないマタニティライフを過ごせるといいですね。

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