お腹より下の部分がズキズキする、ピキっと痛みが走る、という妊婦さんは多いのではないでしょうか。もしかするとそれは「恥骨痛」かもしれません。
今回は、妊娠中の恥骨痛の原因と対策についてご説明します。
妊婦の恥骨痛とは?どこが痛むの?
恥骨痛とは、その名の通り骨盤の下のほうにある「恥骨」の部分に現れる痛みのことです。
痛みの感じ方は人それぞれで、生理のようなチクチクした痛みや下腹部あたりにズキズキした痛み、寝返りをうったときなどにピキっという痛みが走るという人もいます。
痛みが強いと、横になった姿勢から起きられなかったり、歩くだけで痛くなったりすることもあります。
妊婦の恥骨痛の原因は?
妊娠中に恥骨痛が起こりやすいのは、妊娠・出産による体の変化と大きな関係があるからです。主に以下2つが原因だと考えられています。
骨盤まわりの関節や靭帯がゆるむ
妊娠すると、ホルモンの作用によって妊婦さんの骨盤まわりの関節や靭帯がゆるみます。そうすると、体を支える力が弱まって、骨盤まわりや恥骨結合の負担が大きくなるため、痛みが現れることがあります。
子宮の重みで圧迫される
赤ちゃんが成長するにつれて、妊婦さんの子宮もどんどん重く、大きくなります。恥骨部分は子宮の真下にあるため、強く圧迫されることで痛みを感じることがあります。
妊娠中期(妊娠5ヶ月~)に入ると、妊婦さんのお腹はだんだん大きくなってきて、靭帯が緩んできているところに子宮の重みが加わるため、痛みを感じやすくなります。
一般的には臨月が痛みのピークであることが多いですが、骨盤まわりをゆるませるホルモンの分泌が妊娠前の状態になるまで数ヶ月かかるため、産後にも恥骨痛が続く人もいます。
妊娠初期や産後に恥骨痛が出ることもある?
骨盤の関節や靭帯をゆるませるホルモンは、妊娠初期から分泌されます。そのため、お腹が大きくなる前の妊娠初期から恥骨が痛み始めるケースもあります。
また、産後は、出産による影響や赤ちゃんの授乳や抱っこなどのお世話により、骨盤まわりに負荷がかかることが増えるため、出産してから恥骨痛が起きたという人もいます。
一人目の出産のときは恥骨痛をあまり感じなかったのに、二人目の出産のときは妊娠初期から恥骨痛に悩まされていたという妊婦さんも多いですよ。
妊婦さんの恥骨痛の対策は?
妊婦さんが恥骨痛になったら、悪化させないように次のことに気をつけましょう。
姿勢を意識する
お腹が大きくなってくると姿勢が悪くなりがちですが、腰を反らせた「反り腰」は骨盤まわりにさらに負担をかけます。無理のない範囲で正しい姿勢を意識してくださいね。
また、座るときは、足を組んだり、正座を片方に崩した「お姉さん座り」などはなるべく避けて、腹筋を意識しておへそのあたりを引き上げるようなイメージを持って座ると良いですよ。
ストレッチをする
日頃から腰回しなどの体操をしたり、ストレッチをしたりしておくと恥骨痛を緩和させることができますよ。ただし、お腹の張りを感じたらすぐに休むなど、体調に気をつけながら行うようにしましょう。
下記の関連記事では、産後にも役立つストレッチをイラストつきで紹介しているので、参考にしてくださいね。
骨盤ベルトをつける
「トコちゃんベルト2」など、妊娠中に使える骨盤ベルトを使って骨盤をサポートすることで、恥骨結合の負担が軽くなり、痛みがやわらぐこともあります。
ただし、適切に着けないと逆に痛みが増してしまう可能性があるので、説明書をしっかりと読んでから着けるようにしてくださいね。不安なときはかかりつけの産婦人科医や助産師に相談することをおすすめします。
寝方を変える
恥骨痛が気になるときは、仰向けで寝ない方がいいとされています。仰向けで寝ると子宮が骨盤近くの血流を圧迫し、痛みが強くなる可能性があるからです。
妊娠中におすすめの寝方は「横向き」です。横向きに寝て、足の間に抱き枕やクッションを挟むと、恥骨痛がさらに和らぐ妊婦さんも多いようです。
恥骨痛がつらいときは医師に相談を
特に妊娠初期は、体の変化もまだ小さく、見た目も妊娠前とさほど変わらないため、無理をしてしまいがちです。妊娠中の恥骨痛を放っておくと、それが産後まで続いてしまうこともあります。
恥骨痛の痛みがひどいときは、我慢したり自己流で何とかしようとしたりせず、かかりつけの産婦人科に相談してくださいね。