「仙骨」という言葉はあまり知られていませんが、妊娠に大きく関わる骨盤の一部と聞けば、イメージがつくかもしれませんね。妊娠すると様々な不快症状が現れますが、腰痛もそのひとつ。この仙骨も腰痛に関係があり、ストレッチをすることで痛みの緩和が期待できます。今回は、仙骨ストレッチの方法や注意点をはじめ、仙骨と妊娠の関係を含めご紹介します。
そもそも、仙骨ってどこにあるの?妊娠との関係は?
仙骨は骨盤を構成する骨のひとつで、逆三角形の形をしています。上図のとおり、骨盤の中央の背骨側にあり、妊娠と大きく関係します(※1)。
骨盤は複数の骨からできていて、主に子宮・肛門・膀胱・直腸を囲んでいます(※2)。赤ちゃんはこの骨盤の寛骨(腸骨・恥骨・坐骨)・仙骨・尾骨からなる骨産道を通って生まれてきますが、分娩時に限らず、妊娠中も少しずつ左右前後に開きながら、成長する赤ちゃんを支えています(※1,3)。
仙骨ストレッチは妊婦の腰痛に効くの?
妊婦さん向けに「仙骨ストレッチ」というものがありますが、これは妊娠が進むにつれて仙骨の位置が変化することで引き起こす、腰痛を緩和してくれる効果が期待できます。
妊娠中の女性の体には様々な変化が起こり、その影響で不快症状が表れますが、腰痛は特に代表的なもの。痛みの感じ方には個人差があり、仙骨部分に痛みを感じることも。
妊娠中は、重くなった子宮を骨盤で支えているため、腰まわりに負担がかかっています。さらに、お腹が大きくなるにつれて重心が前方に偏り、それを支えるために腰を湾曲させるような姿勢になることで、腰痛を引き起こしやすくなります。
また、妊娠週数が進むと骨産道を作りだすために、仙骨が大きくせり上がり、湾曲が大きくなることも影響します(※1)。
妊娠後期に痛みを感じることが増えてきますが、仙骨をスムーズに動かすためには、仙骨を中心とした骨盤回り全体をリラックスさせ、柔軟性を高めたり自由に動かせるようにすることが大切ですよ。
妊娠中に仙骨ストレッチをする方法は?
ここでは、妊婦さんはもちろん、産後の腰痛にも効果的な、仙骨ストレッチをご紹介します。
自宅でできる簡単な方法で、妊娠後期に入ってから行うことができるストレッチもあります。体の状態に合わせて無理がないように、回数・強度を調節しながら、試してみてくださいね。
腰まわしストレッチ1
まっすぐ立って足を肩幅に広げ、肩が上がらないよう注意しつつ腰に両手をあてます。その状態で、水平にゆっくり腰を回しましょう。逆回転もしながら柔軟性を高めます。
骨盤全体が動いているのを意識しつつ、左右5回ずつを毎日コツコツ続けましょう。まわしやすい方だけでも良いですよ。産後は赤ちゃんを抱っこしながら行ってもいいですね。
腰まわしストレッチ2
仰向けになって寝転がり、左右の手でそれぞれ膝を抱えます。そのまま左右の足を交互に、胸に引き寄せて離す動作を繰り返しましょう。
その後、左手で左膝を抱えたまま、右手を右足から離し、右足を曲げたまま斜め上方向に開きます。右側も同じ要領で行います。妊娠後期はお腹が大きくなり、膝を抱えるのが難しいので、妊娠中期くらいまでにしておきましょう。
お尻歩きストレッチ
骨盤を立てて背筋を伸ばし、できるだけ膝を伸ばして床に座ります。その状態で、左右のお尻を使って前後に歩いましょう。30秒くらいで1セットを目安にし、歩くときは左右の腕を大きく振るのがコツです。
床に骨がゴリゴリ当たって痛い場合は、座布団やクッションの上に座って、左右のお尻をそれぞれ上下に動かすだけでも効果的。
足のつけ根のストレッチ
うつ伏せに寝て、片足を少し浮かせます。そのまま、反対側の足の上に浮かした足がくるように腰から少しずつひねっていきます。
足のつけ根からではなく、腰からひねるのがコツです。背中を伸ばす意識で行いましょう。
妊娠中に仙骨ストレッチをするときの注意点は?
妊娠中に体を動かすときは、時期がいつであれ、無理は禁物です。仙骨ストレッチを行うのは、妊娠中期あたりからが良いですが、まずは妊婦健診時に妊娠の経過を確認し、医師の許可を得るようにしてください。
妊娠中期頃になると、お腹が膨らみ始め、少しずつ骨盤に違和感が出てきます。腰痛だけでなく、むくみや動悸・息切れ、頭痛など、様々なマイナートラブルが現れます。
腰痛の感じ方や程度には個人差がありますが、体調が良いときを見計らってストレッチを試してみてください。やっているときにお腹の張りを感じたら、すぐに休みましょう。
安静の指示がなければ、妊娠中は適度に体を動かすことも大切ですよ。
仙骨ストレッチで快適な妊婦生活を過ごそう
妊娠中に不調が続くとストレスが溜まりやすくなりますが、少しケアしてあげるだけでも痛みや不快感をやわらげることができるかもしれません。
やり方はたくさんあるので、自分に合った方法みつけて、快適な妊婦生活を心がけましょう。出産に向けて、できるだけリラックスをして、落ち着いた気持ちで毎日を過ごすことができるといいですね。