これまで普通にしていたことでも、妊娠すると「これは気をつけた方がいいのかも…」と、不安になることが増えると思います。一日の疲れを取ってくれる「お風呂」もその一つ。ほっとできる癒しのひと時ですが、妊婦さんがお風呂に入るときは少し注意が必要です。そこで今回は、妊婦さんがお風呂に入るときの注意点についてご紹介します。
妊婦がお風呂に入るのは危険?妊娠初期は?
お風呂に入ると全身の血流が良くなり体が温まりますが、妊娠していない人でも、心臓に負担がかかって不整脈を引き起こしたり、のぼせてめまいを引き起こしたりする危険があります。
特に妊婦さんがお風呂に入るときには、以下のような危険が考えられるため、注意が必要です。
体調を崩す恐れ
妊娠初期はまだお腹が大きくなっていませんが、すでに妊婦さんの体は出産に向けて変化を始めていて、血液量が増えていたり、貧血になりやすくなっていたりします。
そのため、妊婦さんが妊娠前と同じようにお風呂に入ってしまうと、のぼせて気分が悪くなったり、めまいを引き起こしたりしやすいのです。
また、妊娠初期はつわりで水分不足になっていることも多く、その状態でお風呂に入って汗をかいてしまうと脱水症状を引き起こす恐れがあります。
子宮収縮の恐れ
妊娠中の入浴は、子宮収縮の回数を増加する恐れがあります(※1)。切迫早産の可能性があり、安静にするよう言われている妊婦さんは、特に気をつけた方が良いでしょう。
転倒の恐れ
特に妊娠後期はお腹が大きくなり、足元が見えにくいだけでなくバランスも崩しやすい状態です。お風呂場は足元が悪かったり、お風呂上がりに立ちくらみを起こしたりしやすいので、転倒するリスクが高い場所と言えます。
転んでしまうとお腹の赤ちゃんに影響がある可能性も高いので、妊婦さんがお風呂に入るときには妊娠初期でも注意が必要です。
妊娠中のお風呂の温度と量は?半身浴は問題ない?
妊婦さんはのぼせやすいので、お湯の温度を41度以下でぬるめに設定しましょう。あまり長い時間入らず、10分くらいお風呂に入ったらあがるのが良いでしょう(※2)。
また、妊婦さんは妊娠前よりも血液量が多く、1回に送りだす血液量も多くなるので、心臓に負担がかかっている状態です。首まで湯船に浸かってしまうと、水圧によって心臓に負担がかかるため、お湯を溜めすぎないように気をつけてくださいね。
ぬるめのお湯に短い時間浸かるのであれば、通常の入浴でも問題ありませんが、リラックスのために少し長い時間お風呂に入りたいという場合は、みぞおちより下の位置までお湯を張り、タオルを肩に掛けて入る半身浴がおすすめです。
ただし、半身浴でも長時間入るとのぼせてしまうので、だいたい10〜20分くらいを目安としてください(※2)。
体調に不安がある場合や、切迫早産などで安静にするよう言われている場合は、入浴時間を上記よりも短めにするか、湯船に浸からずシャワーで済ませるのが安心ですよ。
妊婦さんの上手なお風呂の入り方とは?
妊婦さんがお風呂に入るときは、お湯の温度や入浴時間の他に以下のポイントを意識しましょう。
転ばないように気をつける
前述のようにお風呂では転倒事故が多いので注意しましょう。お風呂の床は、石鹸やシャンプーのすすぎ水が残っていて滑りやすくなっていることがあるので、足元に気をつけてくださいね。
また、妊娠後期は浴槽に入るだけで一苦労だと思います。お腹が大きくなると体のバランスが悪くなって、足をあげた拍子によろけて転んでしまうこともあるので、浴槽に入るときと出るときは、手すりや浴槽のへりを両手でしっかりと掴んで、足をあげましょう。
また、浴槽から出たり入ったりを繰り返すと転倒のリスクが高まってしまうので、妊娠中のお風呂は「体や髪を洗う→お湯に浸かる→出る」の3ステップで終えるようにしましょう。
浴槽から出るときはゆっくり動く
浴槽から出るときに危険なのが、立ちくらみです。急に立ち上がると脳へ血液が十分に送られず、立ちくらみを引き起こして転倒してしまう恐れがあります。浴槽から出るときは、なるべくゆっくり立ち上がって出るように気をつけてくださいね。
なるべく家族がいる時間に入る
妊娠中はどんなときも体調を崩しやすいですが、特に入浴中は気分が悪くなったり、バランスを崩して転んでしまったりしやすいので、なるべく家族が家にいる時間帯に入浴すると安心です。
また、お腹が大きくて体や頭を洗うのがどうしても難しい人は、一人で無理せずパートナーに洗ってもらうのもいいですね。
妊娠中はお風呂に入浴剤を入れてもいい?
入浴剤の成分が皮膚や腟から吸収されてお腹の中の赤ちゃんに影響するのではないか、と思う人もいるかもしれませんが、入浴剤入りのお風呂に入ることで、お腹の中の赤ちゃんに悪影響を及ぼす心配はほとんどありません。
ただし、以下のような入浴剤は体調不良や転倒につながる可能性があるので、使用を控えた方が良いでしょう。
● 香りが強すぎるもの
● 発汗作用があるもの
● とろみ成分が入っているもの
● 肌への刺激が強いもの
商品によっては、「妊娠中の使用は控えましょう」と書かれているものもあるので、商品の説明を事前に確認するようにしてくださいね。
妊婦さんもお風呂でリラックスしよう!
妊娠初期はつわりで体調がすぐれなかったり、妊娠後期は転倒が恐かったり、妊娠中はお風呂を億劫に感じてしまうかもしれません。
ただ、お風呂に入ると体が温まるだけでなく、全身の凝りがほぐれてリラックスできますよ。安全に気をつけながら、妊娠中もお風呂を楽しんでくださいね。