妊娠してから「とにかく甘いものが食べたくて仕方がない」という妊婦さんも多いのではないでしょうか。特にチョコレートは、ついつい手が伸びてしまうお菓子ですよね。しかし、妊娠中にチョコレートを食べ過ぎると、カフェインや糖分の摂り過ぎになってしまうため注意が必要です。そこで今回は、チョコレートにはどれくらいカフェインが含まれているのか、妊娠中にチョコレートを食べてもよいものなのかなどについてまとめました。
妊婦がカフェインを控えるべき理由は?妊娠初期は要注意!
チョコレートにカフェインが含まれていると聞いて、びっくりした妊婦さんもいるかと思いますが、そもそも、なぜ妊娠中はカフェインを控えなくてはならないのでしょうか。
カフェインには、中枢神経系を興奮させる働きがあるため、妊娠していない状態でも一度にたくさん摂取すると不眠、精神興奮、筋緊張、頻脈、呼吸促進などが引き起こされます。また、消化器系も興奮状態となり、下痢や吐き気を引き起こすことも。
妊娠中にカフェインを摂取すると、胎盤を通じて胎児にカフェインが移行してしまいます。赤ちゃんは代謝機能が未熟で、体からカフェインを排出しづらい状態です。そのため、大量に摂取してしまうと、流産や死産のリスクが上がる、赤ちゃんの発育や発達に影響が出るなどの恐れもあります。
日本におけるカフェインの上限は定められていませんが、特に胎盤を作る妊娠初期の大切な時期は、できるだけ控えたほうがいいでしょう。
チョコレートのカフェイン含有量は?
コーヒーやお茶はコーヒー豆や茶葉そのものにカフェインが含まれていますが、チョコレートの場合は、チョコレートの原材料であるカカオマスにカフェインが含まれています。ミルクチョコレート1枚(約50g)に含まれるカフェインは、レギュラーコーヒー1杯(約150ml)の6分の1程度です。コーヒーに比べるとカフェイン含有量は少ないとはいえ、チョコレートにもカフェインが含まれているということを気にかけておきましょう。
カカオ含有量が70%以上のビターチョコレートには、ミルクチョコレートの約2倍のカフェインが含まれているといわれています。また、ホワイトチョコレートはカフェインが含まれていないものと思われがちですが、カカオマスの主成分であるココアバターにミルクと砂糖を加えて作られているため、少量のカフェインが含まれています。
妊婦はチョコレートを食べてもいいの?カフェインの影響は?
このようにカフェインが含まれているチョコレートですが、妊娠中に食べても問題はありません。ただし、1度にたくさん食べるとカフェインの過剰摂取になるため、適量を食べるようにしましょう。
また、チョコレートは糖分が多く、妊娠糖尿病や口内トラブルの原因になるため、食べ過ぎには注意が必要です。
チョコレートに限らず、「妊娠初期は流産や胎児の成長が気になって食べ物が心配」と考える妊婦さんもいますが、妊娠初期の流産は、原因のほとんどが胎児側の染色体異常にあります。チョコレートなどの甘いものを食べることで流産の確率が上がるわけではないので、心配し過ぎないようにしてくださいね。
ただし、甘いものの食べ過ぎは体重増加につながるので、妊娠中にチョコレートを食べるときは1日に食べる量を決めるようにするといいでしょう。
妊婦は1日にチョコレートをどれくらい食べられる?
カフェインの量から考えると、妊娠中にミルクチョコレートを1日に1枚(約50g)を食べても問題はありませんが、糖分や脂肪分の摂り過ぎを防ぐためには、1日に2分の1枚(約25g)から4分の3枚(約38g)までに抑えておいたほうが安心です。特に体重の増加や妊娠糖尿病を指摘されている妊婦さんは気をつけましょう。
ただし、チョコレートの種類によってはカフェインを多く含んでいるものもあります。また、カフェインを含む飲み物を飲んだときや、糖分と脂肪分の高いケーキを食べたときなどは、チョコレートの量を控えるようにしましょう。
妊娠中にチョコレートを食べると、どんな効果がある?
チョコレートは、カフェインを含み、糖分や脂肪分が高いため、妊娠中は食べないほうがいいのではと考えがちですが、チョコレートには妊娠中の体に嬉しい効果がたくさんあります。
チョコレートの原料であるカカオ豆に含まれるカカオポリフェノールには、動脈硬化予防、ストレス反応の軽減、便通改善、肌荒れ予防などの働きがあるといわれています。また、チョコレートに含まれるテオブロミンという成分は、自律神経を整える作用があるため、リラックス効果が期待できると考えられています。
アメリカのエール大学の研究チームは、「ビターチョコレートは妊娠高血圧症候群になるリスクを69%低減する」と発表しています。さらに、「妊娠後期の3ヶ月間1週間に5回以上ビターチョコレートを食べた妊婦さんは妊娠高血圧症候群になるリスクが約40%減った」とも報告しています。これは、テオブロミンの働きによって胎盤への血流量が増加するためだといわれています。
フィンランドのヘルシンキ大学は、「妊娠中にチョコレートを食べるとよく笑う赤ちゃんが生まれる」という実験結果を発表しています。チョコレートを食べることによってママのストレスが少なくなり、フェニルエチルアミンという気分の高揚を促すホルモンが分泌され、赤ちゃんに影響を及ぼすためとされています。
このように、妊娠中にチョコレートを食べることで期待できる効果は様々ありますが、過剰にチョコレートを摂取することはリスクも伴うため、食べる量には気をつけてくださいね。
妊娠中も適量のチョコレートを楽しもう
妊娠中はなにかと食べ物に気をつかいますが、「あれもダメ、これもダメ」ではストレスが溜まり、かえって健康に悪影響を与えてしまう可能性があります。
ストレス解消の効果があるチョコレートを食べて、心も体もリラックスしたマタニティライフを過ごせるといいですね。くれぐれもカフェインや糖分の摂り過ぎに注意しながら、適量のチョコレートを食べるようにしましょう。