妊娠前に喫煙していたママは、「赤ちゃんのためにタバコは吸えない」とわかってはいても、ストレスが溜まってくると、衝動的に「吸いたい!」と思うこともあるのではないでしょうか。妊娠中は、ホルモンの影響などでどうにか禁煙できていたものの、産後は母乳から赤ちゃんへ伝わる影響が気になりつつも、再び吸い始めてしまうママも多いようです。そこで今回は授乳中のタバコについて、母乳や赤ちゃんへの影響、どうしても吸いたいときの喫煙時間や間隔、本数の目安についてご紹介します。
授乳中のタバコが母乳や赤ちゃんにもたらす影響は?
母乳は血液からできているので、喫煙したママの母乳を飲むと、赤ちゃんもニコチンを吸収します。しかも母乳に含まれるニコチン濃度は、ママの血液の数倍になるともいわれています。また、母乳からのニコチン移行だけではなく、副流煙による受動喫煙も健康に悪い影響を及ぼします。
こうしたニコチンの摂取や受動喫煙によって、赤ちゃんにさまざまな悪影響があるとされています。
母乳量の低下
ニコチンは血管を収縮させ血流を阻害するので、母乳が出にくくなります。厚生労働省の報告によると、1日に4本以上の喫煙をしていると、母乳分泌量は10~20%低下し、その低下は喫煙量が多いほど著しいとされています(※1)。
赤ちゃんの発育を妨げる
ニコチン量の多い母乳を与えられた乳児は、嘔吐、下痢、脈拍増加、落ち着きがない注意欠陥多動性障害(ADHD)などの症状が現れるともいわれています(※1)。
呼吸器疾患を誘発
パパ・ママの喫煙は、乳幼児突然死症候群(SIDS)、気管支喘息、呼吸器疾患、肺炎、アレルギー(アトピー、鼻炎など)、などのリスクを高めるといわれています。
厚生労働省の報告によれば、両親が喫煙している家庭の小児呼吸器疾患の発症頻度は、喫煙していない家庭に比べて約3倍、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症頻度は約5倍になるようです(※1)。
タバコを吸うなら母乳育児をやめるべき?
前述のとおり、授乳中の喫煙には大きなリスクを伴います。授乳中は、赤ちゃんのために禁煙するようにしましょう。しかし、「どうしても吸いたい」「ストレスが溜まる」とお悩みのママもいますよね。母乳育児を諦めようと思う人もいるのではないでしょうか。
喫煙したいから母乳をやめ、粉ミルクに切り替えるということに関しては、賛否両論あります。
禁煙でストレスが溜まってしまい、赤ちゃんにきつくあたってしまうなどの害が出るほどであれば、母乳育児を止め、粉ミルクに切り替えるのも方法の一つです。しかし、粉ミルクより母乳の方がさまざまなメリットがあり、WHOでは母乳育児を勧めています(※2)。
そのため、一概に「ママが喫煙しているから母乳育児をやめる方がいい」というわけでもないといわれています。
その人それぞれのストレス状態や環境、喫煙の時間や本数などとの関係もあるため、まずは小児科の医師に相談をしましょう。基本的には禁煙をすすめられると思いますが、自己判断で母乳をあげながら喫煙するのは、リスクが高すぎるということは覚えておきましょう。
授乳中にどれらいの間隔や本数なら喫煙していい?
どうしても母乳育児と喫煙を両立させたいと医師に相談し、医師から「ストレスが溜まるくらいであれば、少しだけなら」などと言われた人もいるかもしれませんね。その場合、具体的に何時間間隔で、何本くらいまでなら吸っていいのか細かく聞いておきましょう。
どうしてもという場合は、リスクを踏まえたうえで、できるだけ本数を減らす、赤ちゃんのいる所ではタバコを吸わない、外に出て吸うなどの最低限の努力は必要です。
もちろんタバコを吸った直後の母乳は禁忌です。喫煙後、ママの血中のニコチンは少しずつ薄くなり、およそ2〜3時間ほど間隔をあけると血中のニコチン濃度が半減するといわれています(※3)。
「タバコを吸い終わって3時間以上経ってから授乳する」のが一つの目安ではありますが、リスクを考えると、頻回授乳中は避け、授乳頻度が少なくなってくる生後4ヶ月頃までは我慢し、そこからは1日1~2本ほどにおさえたいところです。
以上のような認識で喫煙してもよいのか、医師に確認を取りましょう。
授乳中は喫煙以外でストレスを解消しよう!
慣れない育児や生活で溜まったストレスをなんとか発散したいという気持ちは、ママなら誰でも理解できるものです。
しかし、赤ちゃんへのリスクを考えれば、喫煙以外の方法でストレス発散することをおすすめします。カラオケで大声を出して歌ったり、好きな音楽を聴いたり、ゆっくりお風呂に浸かったりしてみましょう。
どうしてもタバコを吸いたくなってしまったら、まずは一度立ち止まって自分なりのストレス解消法を探してみてくださいね。
また、受動喫煙も赤ちゃんに悪影響があります。パパや同居の家族にも協力してもらい、みんなで赤ちゃんの健やかな成長を育んであげましょう。