完全母乳のメリデメ!いつからいつまで?混合から完母の移行方法は?

監修専門家 助産師 菊池 はるな
菊池 はるな 茨城県立中央看護専門学校助産学科卒業後、総合周産期センターの産婦人科・NICU勤務を経て、現在は横浜のあおのウィメンズクリニックに勤務。また世田谷のみくりキッズクリニックで母乳外来を担当しています。お... 監修記事一覧へ

赤ちゃんを母乳だけで育てることを「完全母乳育児」といい、略して「完母」と呼ぶこともあります。母乳育児は赤ちゃんやママにとって、様々なメリットがあるので、できるのであれば完全母乳育児がおすすめです。しかし一方で、赤ちゃんの体重やママの体のことを考えながら、完母にこだわりすぎないことも大切です。今回は、完全母乳育児のメリットやデメリット、時期はいつからいつまでか、ミルクとの混合育児から完母への移行方法について詳しくご紹介します。

完全母乳育児のメリットは?

ノート

完全母乳には赤ちゃんとママにいい影響があると言いましたが、具体的にはどのような点にメリットがあるのか、詳しくご紹介します。

赤ちゃんにとってのメリット

まず、赤ちゃんにとってのメリットとして特に大きいのは、母乳には子供の成長に必要な栄養や免疫成分がバランスよく含まれているということです。母乳を飲むことで、良好な発達や発育が促進され、多くの急性・慢性疾患のリスクが低下するといわれています。

母乳で育つことで、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクが36%低下するという研究結果もあります(※1)。

また、授乳のたびにママに密着することで、スキンシップをとることができ、安心感が得られるのも完母のメリットです。特に新生児の頃は、1日最低8回は授乳することになるため、そのたびにママと触れ合うことで赤ちゃんの精神状態は落ち着き、心が豊かに成長するといわれています。

さらに、母乳育児で育てられた子は、ミルク育児に比べて肥満になるリスクが低く、母乳にはアレルギーの予防効果があるともいわれています(※1,3)。

ママにとってのメリット

完全母乳にはママにとってのメリットもたくさんあります。

赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激で、オキシトシンというホルモンが分泌され、そのホルモンの影響で子宮の収縮が早まるため、産後の子宮回復が早くなります。乳がんのリスクも下がるという研究結果もあります(※4)。

また、日常生活の面から見ると、完全母乳育児の場合はミルク代がかからないため、経済的負担が軽くなったり、調乳の手間が省けたりします。他にも、完母の場合は外出時の荷物が少なくて済むのもメリットです。

さらに、母乳だけで育てると、1日あたり約500キロカロリーのエネルギ-消費になるとされているので、産後ダイエットの手助けもしてくれますね。

完全母乳育児のデメリットは?

抱っこ

完全母乳育児には良いことがたくさんありますが、ママにとって大変なこともあります。ここでは、完全母乳育児で心配になりがちなことを、対策とともにご紹介します。

飲んでいる量がわからない

ミルクの場合は、哺乳瓶で赤ちゃんの飲んだ量がわかりますが、完全母乳の場合は飲んでいる量がはっきりとはわからないため、十分に飲めているか心配になります。

母乳が足りているかどうかは、赤ちゃんの機嫌と体重増加を見て判断します。

家で体重を測ることができない場合は、おしっこやうんちの回数をチェックしましょう。新生児は、24時間で色の薄いおしっこを6回以上、うんちを3~8回していれば、母乳が足りていると判断していいとされています。

心配な場合は小児科の医師や助産師に相談してみましょう。赤ちゃんの体重が増えず、母乳が足りていないようなら、ミルクを足すこともあります。

ママがなかなか休めない

完全母乳だと消化が早いため、ママが疲れてしまうこともあります。その結果、体調を壊してしまったり、乳房や乳頭のトラブルを引き起こしてしまったりすることもあります。

ただし、ミルクの場合は調乳や哺乳瓶の消毒といった作業が必要なため、人によっては完全母乳育児よりもミルク育児や混合育児の方が大変だと感じることもあるようです。

ママがなかなか休めないときの対策としては、搾乳することが手間でない場合は、あらかじめ搾乳しておいたものを哺乳瓶で飲ませるようにするといいでしょう。ママ以外の人も授乳してあげられるので、その間少し休むことができるかもしれません。

おっぱいの管理が大変

母乳育児をしていると、乳口や乳管が詰まって乳腺炎になったり、乳首が傷ついて痛くなったりと、様々なトラブルに見舞われることもあります。トラブル予防や対策のために、日々のおっぱいのケアが必要です。

食べ物や飲み物の改善、おっぱいマッサージ、保湿など、おっぱいのために気を配る必要があります。大変かもしれませんが、ママと赤ちゃんのためにも、こまめなおっぱいケアを怠らないようにしましょう。

ただし、食べ物や飲み物と母乳の関係性については、医学的にはっきりとした調査報告がされていません。

糖分や脂肪分が多いものを食べておっぱいが詰まりやすくなる人もいるため、 経験則から、食べ物や飲み物と母乳の分泌には関係性があるのではないかと考えられているのが現状です。

完全母乳ができるのは、いつからいつまで?

曜日 カレンダー

完全母乳育児がしたいけれど、いつからできて、いつまでに終わらせればいいのかと不安に思うこともありますよね。しかし、これにはルールや正解はありません。

実際には、産後すぐ~2週間くらいから母乳の量がしっかりと出始め、産後1ヶ月以内で完全母乳になったというママが多いようですが、最初は母乳の量が足りないママもたくさんいます。

おっぱいマッサージや頻回授乳で少しずつ母乳が出るように工夫することで、産後3~4ヶ月頃から完全母乳育児になる人もいます。個人差が大きいのであまり心配しすぎないでくださいね。

いつまで母乳をあげるのかについても、母乳が出るか、赤ちゃんが欲しがるか、ママが与えたいかなどで時期には差があります。

WHOのガイドラインでは2歳児になるまでは母乳を与えるように指導しています(※2)。一方、2007年に厚生労働省が改訂した「授乳・離乳の支援ガイド」では、「いつまで」とは明記せず、個々の赤ちゃんに合わせるようにとしています(※5)。

甘えん坊にならないか心配になるママもいますが、愛情や成長を考えて、赤ちゃんが欲しがるまで母乳をあげたというママも多いのが現状です。

母乳とミルクの混合育児から完全母乳に、いつ移行できるの?

粉ミルク

完全母乳育児にこだわって、ミルクを併用することに抵抗のあるママもいるかもしれません。しかし、母乳が足りず、赤ちゃんの体重がなかなか増えなかったり、ママが体調を壊してしまったりした場合は、無理せずミルクと母乳両方を使って混合育児にする必要があります。

混合育児から完母への移行時期は個人差があります。産後すぐは母乳の出が少なくても、赤ちゃんが上手におっぱいを吸ってくれるようになれば、徐々に母乳の量が増えていきます。その後、完全母乳育児に切り替えていけるといいですね。

混合から完全母乳育児に移行するコツは?

本 ノート レトロ

完全母乳へ移行するには、母乳の量を増やす必要があります。母乳の量を増やすためには、母乳を出して乳腺を刺激することが大切です。最低でも1日10回程度は赤ちゃんに吸ってもらうことで、分泌量が増えていくとされています。

生後1~2ヶ月の赤ちゃんは筋肉がまだ発達していないため、母乳をうまく吸えないことがよくあります。特に、体重が小さめの赤ちゃんや、口を上手く開けず浅飲みになっている赤ちゃんは、一度、出産した病院や母乳外来などで、診てもらうといいでしょう。

吸わせ方の工夫や搾乳などをして、うまく母乳が出るようにコツコツと対応していくことが完母へ移行するためには大切ですよ。

また、母乳の質や量をあげるには、日々の生活習慣の改善なども必要になってきます。下記の記事を参考にして、完母に向けて今日から取り組んでみてくださいね。

完全母乳にこだわり過ぎないで

女性 リラックス

混合育児やミルク育児をしているママのなかには、完全母乳ができないことに後ろめたさや罪悪感があるママもいるかもしれませんね。今回ご紹介したように母乳育児にはたくさんのメリットがありますが、こだわり過ぎるとストレスが溜まり、育児にも悪影響が出る可能性があります。

母乳の出方や体調、家庭の事情や環境には個人差があるものなので、無理せずミルク育児も視野に入れて、ママと赤ちゃんのベストな授乳方法を考えましょう。

完全母乳育児、母乳・ミルク混合育児、ミルク育児、どれでもママと赤ちゃんが笑顔でいられる育児が一番ですよ。

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