産後の【床上げ】産後1ヶ月の生活の注意点は?水仕事はしちゃだめなの?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

「産後、床上げ(とこあげ)まではゆっくりしたほうがいい」と耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。そもそも「床上げ」とはどのような意味で、時期はいつなのか、など気になりますよね。

そこで今回は、産後の床上げは一般的にいつ頃なのか、産後1ヶ月間に気をつけたいことや床上げ後の注意点などをご説明します。

産後の床上げとは?いつ頃なの?

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「床上げ」とは、産後のママがいつでも休めるように敷きっぱなしにしていた布団を片付ける様子が由来となった言葉で、出産でダメージを受けた体が回復して、日常生活に徐々に復帰することを意味します。

妊娠・出産によって変化した体が妊娠前の状態に戻るまでには産後6~8週間ほどかかるとされていて、この時期を「産褥期」と呼びます(※1)。

一般的に床上げは、産褥期の半ばである産後3〜4週間目ごろが目安とされています。

しかし床上げまでの期間には個人差があるため、産後◯週にしなくてはいけないという決まりはありません。ママの体調や気持ちを優先したうえで、床上げのタイミングを決めてくださいね。

床上げ前の産後1ヶ月間に気をつけることは?水仕事はOK?

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床上げを迎える前の産後約1ヶ月間の生活で気をつけたいことについて、赤ちゃんが生まれた週を0週として、産後1〜4週目の週ごとにご紹介します。

産後1週目

産後の経過や赤ちゃんの健康状態によって個人差はありますが、退院をして自宅や実家で赤ちゃんとの生活がスタートする頃です。

赤ちゃんのお世話やママの身の回りのことをするとき以外は、できるだけ横になって安静に過ごしてください。

いつでも横になれるように布団やベッドメイクはそのままにしておきましょう。

産後約1ヶ月間は子宮内の感染症などのリスクが高いため、湯船に浸かるのは控えてシャワーだけですませるようにします。通院などを除く外出、運動、性行為も控えてください。

産後2週目

赤ちゃんとの生活に少しずつ慣れてくる一方で、昼夜問わずお世話に追われて疲れを感じやすい時期です。

家事はパートナーや家族に任せたり、家事代行やファミリーサポートを利用したりして、体を休めることに専念してくださいね。

産後3週目

退院時に医師から特に注意されていなくて体調がよければ、洗濯物をたたむ、簡単に朝食を用意するなど、体に負担のかからない家事を行ってもいいでしょう。

疲れを感じたらすぐに横になれるように、まだ布団やベッドメイクはそのままにしておいてもかまいません。

ちなみに昔は、「産後1ヶ月間は水仕事をしてはいけない」などといわれていました。「水仕事」が井戸での水汲みや湯沸かしなど、今よりはるかに重労働だったからです。

現代では蛇口をひねればすぐ水やお湯が出るので、産後1ヶ月間に水仕事をしてはいけないというわけではありません。

産後4週目(1ヶ月健診後)

1ヶ月健診後は、無理のない範囲で徐々に妊娠前の生活に戻していきましょう。健診で医師から許可がでれば、湯船に浸かることや外出、性行為、軽い運動などを再開できます。

ただし、長時間の外出や激しい運動などは避け、引き続き体調を最優先にした生活を送るようにしてくださいね。

産後の床上げ後はどんなことに注意したらいい?

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床上げをした後もまだ産褥期であるため、以下のポイントや注意点に気をつけるようにしてくださいね。

寝れるときに寝る

床上げを迎える頃は、睡眠不足が溜まっているママも多いです。睡眠不足を放っておくと、体調を崩したり産後の体の回復が遅れたりすることもあります。

日中は「赤ちゃんが寝ている間に家事をしよう」と思うこともあるかもしれませんが、できるだけ赤ちゃんと一緒に寝るようにしましょう。

母乳育児の場合は、夜の授乳の何回かは搾乳し冷凍保存しておいた母乳をパートナーに哺乳瓶で飲ませてもらうなど、少しでも睡眠を確保する工夫ができるといいですね。

まわりを上手に頼る

産後しばらくは体調がよくても床上げをした頃にどっと疲れが出て、赤ちゃんのお世話や家事が思うようにできないこともあります。

床上げ後もパートナーや家族、知人、地域や民間のサポートサービス、産後ドゥーラなどを上手に頼るようにしましょう。

育児に関する悩みなどは、知り合いの先輩ママに相談したり、子育てチャット相談を利用したりするのもおすすめですよ。

心のケアをする

産後数日〜2週間頃に、涙もろくなったり、イライラしたり、落ち込んだりする「マタニティーブルーズ」の症状がみられるママも多くいます(※2)。

マタニティーブルーズは産後の女性の30〜50%が経験し、一般的に数週間で治まりますが、長引くと産後うつへと移行するケースもあります。

産後うつは、産後の女性の10~15%が発症するとされていて、誰でも起こる可能性があります(※3)。

産後うつを発症する時期には個人差がありますが、特に多いのは産後4週間以内とされています(※4)。

床上げをした後に、気分の落ち込みや不安、イライラなどの症状があらわれることも珍しくありません。

「産後うつかもしれない…」と少しでも感じたら、出産した産婦人科や心療内科などを受診したり、お住まいの地域の保健センターなどで相談したりしましょう。

託児所付きの心療内科やオンライン診療を行っている病院もあるので、ためらわずに受診してくださいね。

産後の床上げは個人差があるもの

床上げの時期は人それぞれです。SNSや育児本などの情報と比べ過ぎずに、ママ自身がちょうどいいと思うタイミングで床上げをしましょう。

床上げをしたからといって、すぐに妊娠前と同じ生活に戻る必要はありません。産褥期は体を休めることが大切なので、くれぐれも無理をしないようにしてくださいね。

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