産褥体操はいつから始める?目的や効果、やり方などまとめ【医師監修】

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

横になった状態で気軽にできる「産褥体操(さんじょくたいそう)」をご存知でしょうか。産後6〜8週目頃までの体が妊娠前の状態に戻っていく「産褥期」に行う体操のことです。

今回は、産後のママにおすすめの産褥体操について、目的や期待できる効果、始められる時期、具体的なやり方をご説明します。

産褥体操の目的は?どんな効果が期待できるの?

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産褥体操の目的は、産後間もない産後の体の回復を早めたり体調を改善したりすることです。

妊娠・出産でママの体は大きく変化しています。例えば、左右の腹筋が伸びたり、尿道や腟を引き締める骨盤底筋がゆるんだりします(※1)。

こうした筋肉の変化は少しずつ自然に回復しますが、産褥体操をすることで筋肉が引き締まり、回復を早める効果が期待できます。

また、産褥体操を行うことで血行が良くなります。母乳の分泌が良くなる、悪露の排泄が促されて子宮が早く回復する、むくみがの改善するなどの効果が見られる人もいるようです。

ただし、産褥体操は出産前の体に戻るための土台作りのようなものなので、すぐに効果が実感できるわけではありません。焦らずにじっくり取り組んでくださいね。

産褥体操はいつから始められるの?

スケジュール いつから カレンダー

産褥体操は、経腟分娩の場合、出産当日または翌日から始めてもいいとされています。

帝王切開で出産したり、分娩時や出産後にトラブルがあったりする場合は、産後数週間経ってから始められることが多いです。

ただし、産後の体には個人差があるため、産褥体操を始める前に必ず医師に確認するようにしてくださいね。

医師から許可が出た場合でも、体調が優れないときは無理に行ってはいけません。ゆっくり体を休めて体調が回復してから始めましょう。

産褥体操のやり方は?時期によって違うの?

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産褥体操のやり方は様々ですが、ここでは産後1日目(出産翌日)から5日目頃におすすめのやり方をご紹介します(※2)。

できるものからチャレンジして、様子を見ながら徐々に回数を増やしていってくださいね。

産後1日目(出産翌日)の産褥体操

産後1日目は体を動かさず、寝ながら、または座りながらできる体操から始めましょう。

1. 胸式呼吸

  1. 仰向けに寝て、膝を立てる。両手はみぞおちの上に置く
  2. 手が持ち上がるくらい大きく鼻から息を吸い込む。少し息を止めてからフーッと吐き出す
  3. これを2~3回程度繰り返す。慣れたら5~6回行う

2. 腹式呼吸

  1. 胸式呼吸と同じように仰向けに寝て、膝を立てる。両手はお腹の上に置く
  2. お腹を空気でふくらませるように、できるだけ大きく息を吸い込む。少し息を止めてからフーッと吐き出す
  3. これを2~3回繰り返す。慣れたら5~6回行う

3. 足の運動

  1. 仰向けで寝る、または座った体勢で、膝を真っ直ぐ伸ばす
  2. 足首だけを前後にパタパタと動かす
  3. 同じ体勢のまま、足首を左右にパタパタと開く
  4. それぞれ5回程度繰り返す

※膝を曲げないことがポイントです。ふくらはぎを意識すると膝が曲がらずに力を入れやすいですよ。

4. 下半身の引き締め運動

  1. 仰向けに寝るか座った体勢で、膝を立て、膝同士をくっつける
  2. お尻の筋肉、肛門、腟、尿道口の順にグッと力を入れて引き締める。全体に力を入れたまま1~2秒キープしてから力を抜く
  3. 1日に10回程度取り組む

5. 首の運動

  1. 座ったままか立った体勢で、首を前後・左右に倒す
  2. そのままの体勢で、首をひねって左右を向く
  3. 朝昼夕に2~3セットずつ繰り返す

※立ちながらやるときは、壁や机などに手を添えましょう。フラフラしたときは中止してください。

産後2日目の産褥体操

産後1日目の産褥体操が無理なくできたら、少し動きのある体操を加えます。

6. お腹の運動

  1. 両足を伸ばして仰向けに寝る。両手はお腹の上に置く
  2. 手を見るように頭だけを起こす。1~2秒ほど頭を起こした状態でキープし、その後ゆっくり下ろす
  3. 息を止めないように注意しながら5〜10回繰り返す

7. 肩の運動

  1. 座ったままか立った体勢で、脇を締める
  2. 肩を内回り・外回りにゆっくり回す
  3. それぞれ朝昼夕に、10回ずつ繰り返す

産後3日目

体を動かすことに慣れてきたら、新しい動きを取り入れてみましょう。

8. 手首の運動

  1. 手首の力を抜いた状態で、10回程度ブラブラと振る
  2. 指先をグー・パーと開いたり閉じたりを10回ずつ繰り返す
  3. これを1日に数回繰り返す

9. 背筋の運動

  1. 背筋と足を伸ばした状態で座る
  2. 上半身を右側にひねる。ひねった状態のままで2〜3秒キープする
  3. 反対も同じようにして、それぞれ3〜5回ほど繰り返す

産後4日目の産褥体操

産後4日目には、さらに動きのある体操が加わります。これまでの体操での様子を振り返って、無理のない範囲でトライしてみてくださいね。

10. 首筋の運動

  1. 仰向けに寝る。お尻の穴をぎゅっと締めた状態で両手を前に出し、頭だけを起こす
  2. 手を出したまま、ゆっくり頭を下げる
  3. 朝夕5回ずつ繰り返す

11. 骨盤の運動

  1. 仰向けに寝て、膝を立てて合わせる。足の裏はぴったり床につける
  2. 手の甲を上にして、両手は両脇に置く
  3. 深呼吸しながら、膝だけをゆっくり左右に交互に倒す
  4. 朝夕5回ずつ繰り返す

12. 足の運動

  1. 仰向けに寝て、膝を立てて合わせる。足の裏はぴったり床につける
  2. 膝を曲げたまま片足を上げ、太ももが床と直角になった状態でキープし、深呼吸を1回する
  3. 上げている足の膝をまっすぐ上に伸ばし、足全体が床と直角になった状態でキープし、深呼吸を1回する
  4. 足をゆっくり下ろし、反対の足も同じようにする
  5. それぞれ朝夕5回ずつ繰り返す

産後5日目の産褥体操

体の回復が順調であれば、産後5日目には次のような動きにも挑戦してみましょう。

13. 上半身の運動

  1. 仰向けに寝て足を腰幅に開き、両膝を立てる。腕は手の甲を上にして体の脇に置く
  2. お尻の穴をぎゅっと締める。息を吐きながらお尻、腰、背中の順番で持ち上げる
  3. 膝から背中にかけて、まっすぐ斜めになった状態で息を吸い、1〜2秒止める
  4. 息を吐きながらゆっくり腰や背中を下ろす
  5. 5〜10回ほど繰り返す

産褥体操は体調を優先しながら取り組もう

産褥体操は体への負荷が小さいとはいえ、体調がすぐれないときには無理をしないことが大切です。

産後の回復スピードには個人差があり、日によって体の具合も変わるので、体調に合わせて取り組んでいけるといいですね。

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