経腟分娩と帝王切開、どちらも立派なお産であることには変わりありませんが、産後にママの体が回復する過程は少し異なります。その一つが、産後に子宮から排出される「悪露(おろ)」です。お産の方法によってどのように違うのかを知っておくと、産後の過ごし方も変わってきますね。そこで今回は、帝王切開後の悪露の量がどうなるのか、いつまで続くのかについてご説明します。
悪露とは?なぜ出てくるの?
悪露とは、出産後に子宮の中から排出される分泌物のことをいいます。血液が混じっているので、最初のうちは生理の血のように見えます。
産後は、妊娠・出産によって大きくなった子宮を元に戻すために、「子宮復古」と呼ばれる子宮収縮が起こります。このときに、子宮内側の胎盤や卵膜が剥がれた面からの血液や、分泌物などが混ざった悪露が排出されます。
経腟分娩の場合、だいたい4~6週間もすれば悪露は出なくなります(※1)。
帝王切開だと悪露は出ないこともある?
帝王切開では、子宮を切り開いて赤ちゃんと胎盤を取り出したあと、子宮に残っている胎盤や卵膜などは基本的に取り除きます。そのため、経腟分娩に比べて子宮に残っていることは多くありません。
しかし、帝王切開の場合でも子宮復古は起こりますし、悪露も排出されます。
帝王切開後に子宮内をきれいにするとはいっても、すべてをきれいに除去できるわけではないですし、子宮復古に合わせて剥がれ落ちた組織や血液、体液などが悪露として排出されるのです。
帝王切開は悪露が少ない?いつまで続くの?
前述のとおり帝王切開では、胎盤や卵膜などはある程度取り除かれているので、悪露の量は少なくなるのが一般的です。
しかし、帝王切開の手術により子宮壁を切っていますし、胎盤や卵膜が剥がれた面からは血液や体液などが排出され続けます。そのため、帝王切開後の悪露はどちらかといえば「量は少ないけれど、長く続く」傾向があると考えてください。
個人差はあるので一概にはいえませんが、帝王切開後1ヶ月以上悪露が出ることもあり、なかには2ヶ月近く続くこともあるようです。
帝王切開後の悪露がまったくないときは?
帝王切開で出産しても悪露が早く終わる人もいますし、子宮内に胎盤や卵膜のかけらなどがあまり残っておらず、傷の治りも良いと、ほとんど悪露がない人もいるかもしれません。
しかし悪露がまったくない場合は、本来排出されるべきものが実は子宮内に塊(かたまり)のまま残っていて、体外に出てこられていないケースもあるので、注意が必要です。その場合、産婦人科で悪露を出すための処置をすることもあります。
通常は退院前の診療で確認することが多いので、あまり心配ありませんが「悪露がまったくない」という人は、念のため医師に相談すると安心です。
帝王切開後の悪露が増えているのは異常?
経腟分娩であっても帝王切開であっても、悪露は出産から日が経つにつれて、量が減っていくのが正常な状態です。
また、子宮復古により子宮からの出血が徐々に止まるため、色は赤から褐色、黄色、白色へと薄くなっていきます。
もし、産後に悪露の量がだんだんと増えていたり、1~2週間経っても鮮血のような状態が続いたりするときには、子宮復古がうまく進んでいない可能性もあります(※1)。
「悪露がどんどん増えている」「血液が多く混じった赤い悪露が続いている」というときは、1ヶ月健診を待たずにかかりつけの医師に相談してくださいね。
帝王切開後の悪露に不安があれば病院へ
帝王切開後の悪露は、量は少なめですが、1~2ヶ月ほど続くことが多くあります。子宮の回復状態を知るためのバロメーターにもなるので、トイレのたびに悪露の色や量を確認する習慣をつけるといいですね。
悪露の色や量に異常があるほか、「激しい下腹部痛を伴う」「悪臭がする」といった症状が見られる場合には、子宮内で細菌感染が起きている可能性もあるので、早めに産婦人科を受診することをおすすめします。
なお、産後1~2ヶ月が経ってから急に鮮血が出て、1週間ほど続いた場合、悪露ではなく生理が再開した可能性もあります。悪露と生理を自分で見分けるのは難しいこともあるので、少しでも気になることがあればかかりつけの産婦人科医に相談してみてくださいね。