出産が終わっても、ママの体はすぐ元に戻るわけではありません。出産後はまだホルモンバランスが乱れたままで、その影響で体に様々な症状が現れることもあります。心身ともに元の状態に戻るには時間が必要なので、焦らずに対処していきましょう。今回は産後のホルモンバランスの乱れがいつまで続くのか、また、乱れを改善するための対処法をご紹介します。
産後のホルモンバランスが乱れる原因は?
妊娠中は、女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」の分泌量が増えます。これらのホルモンは出産が終わると急激に減少し、その代わりに、母乳の分泌を促す「プロラクチン」というホルモンの分泌量が増えます。
妊娠中の10ヶ月をかけてゆっくりと増えてきたホルモンが突然減り、違うホルモンが増えるというのは、体にとって急激な変化なので、ホルモンバランスも乱れてしまうのです。
また、ホルモン分泌の変化だけでなく、生活の変化も原因になることがあります。
産後は、出産の疲れがとれないうちから、赤ちゃんのお世話で夜にうまく眠れないことも。慣れない育児の不安で、パパの態度に不満を持つこともあるかもしれません。生活リズムの乱れや精神的なストレスが、ホルモンバランスを乱すこともあります。
こうしたことで起こるホルモンバランスの乱れに体はすぐには対応できず、体調不良として体のあちこちに様々な症状が出てきます。
産後にホルモンバランスが乱れると、どんな症状が出るの?
産後に「なんだか体の調子が悪い…」というときには、ホルモンバランスの乱れによって体調不良を感じているのかもしれません。具体的には、以下のような症状が出たときには、ホルモンバランスが乱れている可能性があります。
抜け毛
出産を経験した女性の多くが、産後の抜け毛に悩むといわれています。「たかが抜け毛」と思うかもしれませんが、実際に直面してみると精神的ダメージは大きいものです。特に初産のママは、「このまま続いて、最後には髪が無くなってしまうのでは?」と不安に感じてしまうようです。
むくみ
産後はホルモンバランスの変化が原因で血流が悪くなり、顔や手、足がむくみやすくなります。また、授乳によって水分が不足して体が水を溜め込もうとするため、よりむくみを引き起こしやすくなると考えられます。
生理不順
授乳時に赤ちゃんが乳頭を刺激することにより、プロラクチンの分泌量が増加します。このプロラクチンには母乳の分泌を促進する作用以外に、排卵を抑える作用も持っています。
結果的に、母乳育児をしていると排卵が抑制され、生理不順を引き起こしやすくなります(※1)。
肌荒れ
産後は、かさつき、ニキビ、かゆみ、湿疹など、肌のトラブルに悩まされやすい時期です。これはホルモンバランスの影響で産後に肌質が変わるためだと考えられており、妊娠前や妊娠中に使っていた化粧品やスキンケア用品が、肌に合わなくなることもあります。
産後の体調不良はいつまで続く?
産後の体調不良は分娩直後から始まり、産後1ヶ月くらいまで続くことが多いとされていますが、人によっては産後1ヶ月以降も体調不良に悩まされることがあります(※2)。また、症状によっても、いつからいつまで続くのかが異なるようです。
たとえば、抜け毛は産後2〜3ヶ月頃から始まり、産後6ヶ月くらいまでにおさまる女性が多いようですが、なかには治るまでに産後1年近くかかることもあります。
生理不順も同様です。生理の再開は断乳してから1〜3ヶ月程度だとされています(※1)。しかし、生理周期の乱れはその後も続くことがあり、人によっては産後1年以上たっても生理不順が治らないことがあるようです。
産後のホルモンバランスの乱れが、産後うつの原因になる?
産後のホルモンバランスの乱れから、心身ともに不安定な状態になります。さらに、お世話の疲れや家事と子育てが両立できないことへの罪悪感で、産後うつを発症するママは少なくありません。
産後うつは産後の女性の一部にみられ、その多くは産後1ヶ月以内に発症するとされています(※2)。不調を感じたら遠慮せずに、周囲のサポートを受けるようにしましょう。
産後のホルモンバランスを整える方法は?
産後6〜8週間を産褥期といいますが、産褥期や授乳期間を終えて、ママの体が妊娠前の状態に戻っていく1~2年間は、赤ちゃんのお世話に集中するつもりで、なるべく無理はせずに過ごすことが大切です。
また、無理のない生活の中で、ホルモンバランスを整えるために次のことに注意しましょう。
栄養バランスのとれた食事をとる
栄養バランスがとれた食事は、ホルモンバランスの乱れに効果的だとされています。
野菜や魚を中心とした食事で、使われている素材が多いものを食べましょう。
また、まだはっきりしたことはわかっていませんが、塩分・脂肪分が多い食事は、乳腺炎を引き起こす可能性があるのではないかと考えられています(※3)。母乳育児中のママは、ケーキや揚げ物などを食べ過ぎないように注意した方が無難です。
妊娠中、喫煙や飲酒を我慢していた、という人もいるかもしれませんが、産後の喫煙や飲酒もホルモンバランスを乱すことになる上に、授乳中の赤ちゃんの成長に悪影響が出るという報告もあります(※4)。受動喫煙にも気をつけたいため、周囲にも配慮してもらうようにしてくださいね。
適度な運動を心がける
ホルモンバランスの乱れを整えるには、散歩やストレッチなど、適度な運動も効果的だとされています。天気がいいときは、赤ちゃんと一緒に自宅の周りを散歩すると、体調不良の改善だけでなく、子育ての気分転換にもなるのでおすすめです。
体を動かすのが億劫だからといって、家にこもり過ぎないようにしましょう。1ヶ月健診で医師に許可をもらったら、運動を徐々に始めてみてくださいね。
ストレス解消をする
ストレスを溜めることは、ホルモンバランスの乱れを助長してしまうことになります。パパや両親に赤ちゃんを預け、たとえ10分でもいいので、自分の時間を定期的に作るようにしましょう。
ストレスは自分が思っている以上に溜まっていることがあります。自分の時間を作るだけでも精神的にかなり楽になり、自然と体の不調も治まっていきますよ。
産後のホルモンバランスを整えるために周りのサポートを受けよう
産まれたばかりの赤ちゃんのお世話をするだけでも大変なのに、さらにホルモンバランスの乱れによる体調不良が起こると、肉体的にも精神的にも参ってしまいますよね。
特に初めての育児だと、「何もかも自分でやらなくては」とつい思いがちです。しかし、産後は周りのサポートをどんどん活用して、自分だけに負担が集中しすぎないように心がけてください。
赤ちゃんのお世話に余裕が出てくれば、もっと食事の栄養に気を配れたり、外で運動する時間を作れたりしてきます。自分自身の健康のためにも、そして赤ちゃんのためにも、無理のない子育て生活を送るようにしてくださいね。