産後の運動はいつから?出産後におすすめのエクササイズ5選【医師監修】

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

産後しばらくは体を回復のためにゆっくり休むことが大切ですが、運動不足や産後ダイエットが気になって、運動をしたいと思うこともあるかもしれません。

そこで今回は、産後の運動について、いつからしてもいいのか、おすすめのエクササイズ、注意点などをご紹介します。

産後の運動はいつからしていいの?

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産後の運動は、少なくとも産後1ヶ月を過ぎてから始めるようにしましょう。

1ヶ月健診で「体の回復が順調で妊娠前と同じ生活をしてもいい」と医師から許可が出たら、少しずつ始めてみてくださいね。

1ヶ月健診の時点では、分娩時にできた傷が治っていなかったり、悪露が続いていたりすることも珍しくありません。

医師から「妊娠前と同じ生活をするのはまだ難しい」と診断されたときは、次の健診まで無理はしないようにしましょう。

医師から許可が出てたとしても、体調がすぐれないときは体を休めることを優先して、運動は控えてください。

出産後におすすめのエクササイズは?

日本人 女性 産褥体操 ブランク

ここでは、産後に取り入れやすいゆっくりとした動きを中心に、運動不足解消や体型戻しを重視したエクササイズや、インナーマッスルを鍛える運動を5つご紹介します。

自宅でできるものもあれば、スタジオや教室、子育て支援センターなどで行われているものもあります。家の近くで実施しているところがあれば、参加してみてみるのもいいですね。

1. 産褥体操

産褥体操は、血の流れを促進し、子宮の回復や体の筋肉・機能を妊娠前の状態へ導くことを目的とした体操です。

足首を曲げて伸ばす、首を前後に曲げる、足の上げ下げなど簡単な体操なので、経腟分娩で出産し、分娩時や出産後に問題がなければ産後すぐから始めることができます。

帝王切開の場合は、いつから始めてもいいか医師に確認し、傷口の程度に合わせて無理のない時期から始めましょう。

産後の運動をはじめる前の準備体操として行うのもおすすめですよ。

2. インスパイリング・エクササイズ

インスパイリングとは、英語で「刺激する」という意味。普段意識的に動かすことがない、体の深い部分にあるインナーマッスルを刺激して鍛えるエクササイズです。

筋肉が鍛えられることで基礎代謝が上がり、痩せやすい体質になります。

インスパイリング・エクササイズはゆったりとした運動で、体への負担が少ないため、産後ダイエットをはじめ、ストレス解消やリラックスの効果も期待できますよ。

3. ピラティス

ピラティスは、リハビリにも使用されている運動です。無理なく健康的に体を動かしたい人や、体のバランスが悪い、肩が凝りやすいという不調がある人向けなので、産後のママにもおすすめですよ。

普段、無意識に使っている肩甲骨や骨盤底筋などを意識的に動かしたり鍛えたりすることで、弱っている筋肉をケアすることができます。

ヨガやバレエの動きを取り入れていることもあり似たような捉え方をされることが多いですが、スポーツよりもリハビリ要素が強いのが特徴といえます。

4. ヨガ

ヨガはインド発祥で、主に呼吸と瞑想を基本にストレッチのような動きをつけていきます。瞑想によって集中力が高まるともいわれています。呼吸法を取り入れることで代謝も促してくれますよ。

最近は「産後ヨガ」「ママヨガ」といった産後のママ向けにプログラムが組まれている教室も多くあります。通常のヨガよりもゆったりとした動きのものが多く、骨盤底筋を鍛えるような骨盤まわりの強化が中心です。

抱っこで疲れた肩をストレッチするなど、ママならではの体のケアを動きに取り入れていることもあります。赤ちゃんと一緒に行う「ベビーヨガ」を開催している教室も人気ですよ。

5. スクワット

股関節周囲のストレッチダイエット法で、産後2ヶ月頃から徐々に始めていくのがおすすめです。

骨盤を支えている筋肉を鍛えることで、下がった内蔵を元の位置に引き上げる効果があります。自宅でもできるので、以下の方法を参考に試してみてくださいね。

スクワットの方法

1. 足を肩幅に開き、つま先を少しだけ外側に向け、両手を腰にあてる
2. 背筋を伸ばして膝を90度曲げるスクワットを行い、姿勢を保ったまま息を吐きつつ内ももに力を入れ、両膝を寄せる
3. 息を吐ききってから、内ももの筋肉を維持し、ゆっくり立ち上がる
4. 立ちあがった後、内ももを緊張させたまま、3呼吸ほど保つ

ポイントは、体重を膝ではなく、お尻にかけることです。和式便器に座るような気持ちで、膝がつま先より出すぎないように気をつけて行うといいでしょう。

まずは、3回1セットとして始めるのがおすすめです。3回がきついときは、1回から始めて、慣れてきたら少しずつ回数を増やしてください。

なお、スクワットは膝に負担がかかるので、膝を痛めている人や過去に痛めたことがある人は無理をせず、曲げる角度を浅めにしましょう。

産後に運動するときの注意点は?

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産後に運動をするときの注意点は、決して無理をしないことです。

出産後、体が完全に元に戻るのは約1年かかるともいわれています。運動を始めるときは体調が良くても、運動後にどっと疲れが押し寄せてくることもあるので気をつけましょう。

出産直後はまだお腹まわりもふっくらとした状態で、このままずっと戻らないのではないかと焦ることもあるかもしれませんが、まずはダイエットよりも体力回復を優先することが大切ですよ。

産後の運動は少しずつ始めることが大切

産後の運動は、1ヶ月健診で医師から許可が出てからはじめましょう。赤ちゃんのお世話などで疲れやストレスが溜まっていることもあるので、体を動かすことで気分転換にもなるかもしれませんよ。

ただし、産後1ヶ月を過ぎたからといって、まだ体は完全には回復していません。体に負担がかかる運動は避け、体調を最優先してくださいね。

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