産後に便秘が続く…解消法は?帝王切開だと便秘になりやすいの?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

長い妊娠期間を乗り越えて、ついに赤ちゃんと対面!我が子はとっても可愛いですが、出産で身体に負担がかかった分、ママは便秘といった身体の不調が起こりやすいものです。今回は、多くのママが悩まされる産後の便秘について、原因と解消法をご紹介します。

そもそも便秘とは?

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便秘とは、排便回数が少ないこと、または排泄物がお腹に留まっていることを指します。しかし、「~日間、排便がないと便秘である」というような明確な定義はなく、毎日排便していても、残便感があれば、それは便秘だと言えます。

ちなみに、日本内科学会では「3日以上排便がない状態,または毎日排便があっても残便感がある状態」を便秘の定義としています。(※1)

産後に便秘になる原因は?帝王切開だとなりやすい?

疑問 答え アンサー クエスチョン

産後の便秘には、身体の変化や生活習慣の変化など、さまざまな要因が関係しています。

会陰切開や帝王切開の傷をかばう

普通分娩の場合は会陰切開の傷口が、帝王切開の場合は切開した部分がまだ治りきっておらず、痛くていきめないことが便秘の原因になることがあります。または、いきむのが怖いという気持ちが便秘につながることもあります。

痔が痛くて力が入らない

妊娠中、あるいは分娩時に痔になってしまった場合も、思いきりいきむのは難しいですよね。痛い部分をかばって下腹部に力が入れられず、排便が困難になることがあります。

筋力の低下

妊娠中は、お腹が大きくなるにつれ、だんだん運動ができなくなっていきます。そのため筋力が低下してしまい、排便に必要な筋肉が産後も衰えたままになってしまうと考えられます。

また、出産時に長時間強くいきんだことが原因で、肛門を開け閉めする肛門括約筋という筋肉が傷ついたり、機能が弱まったりすることがあります(※2)。これも、便秘を引き起こす原因の一つと考えられます。

水分不足

母乳は、ママの体内の水分から作られています。意識的に水分を多く摂取しないと、母体に必要な水分が不足してしまい、便が固くなったり、腸内の滑りが悪くなったりすると考えられます。

生活習慣の変化

産後は、昼夜関係なく赤ちゃんをお世話することで生活リズムが乱れがちです。睡眠も十分にとれない、ゆっくりトイレに入る時間もないということが多いでしょう。

こうした要因が神経の働きを乱すと、腸がうまく働かなくなって、便秘につながってしまいます。加えて、慣れない育児によるストレスも便秘を悪化させることがあります(※3)。

産後はいつごろ便が出るの?いつまで出ないと便秘?

カレンダー 

人によっては産んだその日に便が出ることもありますが、会陰切開や帝王切開の傷口を気にして躊躇することもあり、出産から数日間は排便がないというのもよくあることです。

なかには4~5日経っても排便がなかったという人もいるようですが、入院中に一度も排便がなかった場合は、退院する前に医師に相談しておくと安心ですね。あまりに長い期間、排便がないときは、薬を処方してもらえますよ。

産後に便秘になったら薬を飲んでもいい?

薬

「新ビオフェルミンS」や「イオナミン」など、便秘薬の中には授乳中に飲んでもいいとされる市販薬があります(※4,5)。しかしその一方で、母乳を通して赤ちゃんを下痢にしてしまう可能性がある市販の便秘薬もあります。

母乳育児中は自己判断での薬の服用は避け、必ず医師や薬剤師に確認をとってから、服用するようにしましょう。

また、産婦人科で相談すれば、授乳中でも服用できる便秘薬を処方してもらえます。産後の便秘はごく当たり前のことなので、恥ずかしがったり、遠慮したりする必要はありませんよ。

産後の便秘を解消する方法は?

水

産後の便秘は薬に頼らずとも、生活習慣を改善することで解消できることもあります。以下の方法を試してみて、自分に合った解消法が見つかるといいですね。

水分を摂る

体内の水分不足を防ぐことが大切です。一般的に、生後5ヶ月くらいまでの赤ちゃんは、1日あたりおよそ800mLの母乳やミルクを飲むとされています(※6)。

母乳育児をしている場合は、母乳とママ自身に必要な水分のことを考えると、1日2Lくらいは水分を摂る必要がありそうです。

水分を摂るときは、カフェイン、糖分、塩分を多く含んだ飲み物ではなく、水かノンカフェインのお茶を摂りましょう。水分を多く含んだ野菜や果物を食べるのもおすすめですよ。

食事内容を見直す

1日3食、とくに朝食をきちんと食べると、便秘は改善しやすくなります。また、食物繊維の多い食材も便秘に効果的です。例えば、毎朝バナナを食べたり、牛乳と混ぜてジュースにしたりして飲むといいでしょう。

硬いものは便秘に良くないと思ってしまうかもしれませんが、むしろ柔らかいものばかり食べていると逆効果です。かえって便が硬くなってしまうので注意しましょうね(※3)。

排便リズムを整える

排便リズムを整えるため、できるだけ決まった時間に、ゆっくりトイレに入る習慣をつけましょう。赤ちゃんの安全さえ確保されていれば、ママがトイレに入る間くらいは、寝かせておいても大丈夫ですよ。

初産の場合は、初めての育児で心配かもしれませんが、育児を頑張るためだと思って、少しの時間だけでもトイレに行く習慣をつけてくださいね。

適度に運動する

産後1ヶ月が経過して、体調がある程度落ち着いてきたら、排便に必要な筋肉を適度な運動で鍛えましょう。産後の運動としては、身体の回復を目的にした産褥体操がおすすめです。

この他にも、産後にできる運動としてはヨガやピラティス、散歩があります。身体がしっかり回復するまでは、無理のない範囲で運動をし、疲れてきたらこまめに休憩することを心がけてください。

痔の治療をする

痔の症状がある場合は、早めに治してしまいましょう。便秘でお通じが固くなると、患部に負担がかかって症状が悪化し、負のスパイラルに陥ってしまいます(※3)。

産婦人科で相談すれば、場合によっては薬を処方してもらえるので、できるだけ早く病院を受診してくださいね。

産後の便秘には落ち着いて対処しよう

育児 赤ちゃん ママ 笑顔

産後の便秘はやっかいですが、必要以上に心配すると、かえってストレスになり、便秘を悪化させかねません。多くのママが通る道なので、焦らず気負わず、じっくり治してください。

自分にできる解消法を少しずつ実践して、便秘を解消し、赤ちゃんのお世話に集中できるといいですね。

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