過期産とは?原因や胎児へのリスクは?予定日を過ぎると帝王切開?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

出産予定日はあくまで出産の目安なので、その日に生まれなくても慌てる必要はありません。それでも、予定日を過ぎていつまで経っても陣痛が来ないと心配になりますよね。出産時期が遅くなると「過期産」と診断され、胎児に悪影響を与える恐れもあります。誘発分娩や帝王切開になるのかなど、不安も多いですよね。そこで今回は、出産予定日を過ぎる「過期産」の原因や胎児への影響、帝王切開を選択する時期について詳しくご説明します。

過期産とは?出産が遅れる原因は?

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過期産とは妊娠42週を過ぎてから出産することで、妊娠42週以降も妊娠が続く状態を「過期妊娠」と呼びます(※1)。

「出産予定日を過ぎたら過期産になるのかな…」と不安を感じている人もいると思いますが、出産予定日は妊娠40週0日に当たるので過期産にはならないので安心してください。妊娠37週0日〜41週6日の間に生まれれば正期産なので、出産予定日を過ぎることはよくあります。

ただ、妊娠42週に入ると過期産になり、赤ちゃんにも悪影響を及ぼす可能性が出てきます。そのため、誘発分娩などの処置が必要です。

過期産になる原因は今のところはっきりとわかっておらず、妊娠経過が順調だったとしても起こることがあります。そもそも妊娠週数の数え方は絶対ではないので、週数の数え間違いをしていた可能性も考えられます。日本では全分娩の約2〜3%が過期産になるといわれ、それほど多くはありませんが、誰にでも起こりうるということは覚えておいてください。

過期産は胎児にどんな悪影響がある?

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過期産でも赤ちゃんは正常児で生まれてくる場合がほとんどです。しかし過期妊娠になると、胎盤の機能が低下し始めて赤ちゃんへの栄養や酸素の供給が滞ったり、羊水のトラブルが起こったりする可能性があります。合併症には以下のようなものがあり、注意が必要です。

胎便吸引症候群

胎盤の機能が低下するなどの原因で赤ちゃんが低酸素状態になると、反射的に腸が活発に動き出して排便することがあります。このときに排泄された便(胎便)を赤ちゃんが吸い込んで呼吸困難を引き起こす、胎便吸引症候群を発症することがあります。命にかかわるトラブルなので早急な処置が必要です。

胎児機能不全

過期妊娠で羊水量が減少した状態のときに陣痛が起こると、臍帯が圧迫されて低酸素状態になり、胎児機能不全を引き起こす恐れがあります。

また、過期妊娠で胎盤機能が低下し、赤ちゃんに必要な栄養や酸素が行き届かなくなることでも、胎児機能不全が起こる可能性があります。

胎児機能不全は、死産や新生児仮死を引き起こす危険な状態です。赤ちゃんの状態によっては、緊急分娩や帝王切開を行います。

発育が続いて巨大児になる

過期妊娠の間にずっと赤ちゃんが成長すると、4,000g以上の巨大児になる可能性があります。巨大児になると、出産時のトラブルが起きやすくなって難産になる可能性が高まります。

過期産になったときの処置は?陣痛促進剤は使うの?

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妊娠42週を過ぎると母体や胎児に様々なトラブルが起きやすくなります。そのため、最近の病院では過期妊娠になる前になんらかの処置が取られるのが一般的です。

まず予定日までに陣痛が見られなければ、妊娠週数が正しいかどうかを再確認します。そして、週に1〜2回のペースで胎児の状態や胎盤の機能、羊水の状態などに問題ないかをチェックします。ここで心拍数異常や羊水の減少があれば、胎児機能不全の可能性を考えて誘発分娩に進みます。

健康状態が良好でも妊娠41週に入ったら入院して誘発分娩の準備を進めることになります。誘発分娩の方法は母体の状態を見ながら、陣痛促進剤の投与やバルーンの使用、卵膜剥離などが行われます。

過期妊娠で帝王切開になることもある?

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過期妊娠というだけで帝王切開になることはほとんどありません。過期妊娠でも自然分娩できるのであれば、誘発分娩を行うのが基本です。

しかし、陣痛誘発剤を使用しても効果がない、赤ちゃんが心拍低下などで危険な状態にある、難産で母体と赤ちゃんの負担が大き過ぎるなどと判断された場合には、一刻も早く赤ちゃんを娩出する必要があるので緊急帝王切開に切り替えられます。

帝王切開になるかどうかは正期産のケースと同じです。「過期産だから帝王切開になる」と過度に不安がらないでくださいね。

過期産は予防できるの?

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過期産になる原因はわかっていないので、これをすれば予防できるという方法はありません。ただ、ツボを押したり、スクワットで体を動かしたりするなどで陣痛を促せることはあります。過期産にならないように、正期産の時期に入ったら積極的に体を動かして陣痛を促すようにしましょう。

それでも出産予定日を過ぎたのに陣痛が来ていなければ、今まで以上にこまめに妊婦健診を受けて赤ちゃんの状態をチェックすることです。子宮内環境が悪くなったり、胎盤の機能が低下するのが一番のリスクなので、胎児に問題がなければ慌てなくても良いでしょう。

過期妊娠になりそうでも慌てないで

予定日を過ぎてもなかなか産まれないと、不安になるかもしれませんが、焦らないでくださいね。きちんと妊婦健診や検査を受けていれば、赤ちゃんに問題がないことはしっかり管理できています。たとえ過期妊娠になりそうになっても、産婦人科では早い段階で誘発分娩の準備を進めてくれますよ。

過期産への不安を抱えていると、不安な気持ちがストレスになってかえって体によくありません。正期産の時期に入ったら、リラックスして赤ちゃんを迎えられるようにしたいですね。

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