マタニティクラスや助産師外来で分娩の流れについて説明を受けると、「子宮口が開く」という言葉を耳にしますよね。陣痛がくると子宮口はどんどん開いていくものですが、開かない場合はどうしたらいいのしょうか。
そこで今回は、そもそも子宮口が開くとはどういう状態なのか、陣痛がきても子宮口が開かない原因や開くにはどうしたらいいのかなどをご説明します。
子宮口が開くとはどういう状態なの?
子宮口には内子宮口と外子宮口があります。内子宮口から子宮頸管、外子宮口、腟、外陰部へと続く部分は軟産道と呼ばれ、お産のときに赤ちゃんの通り道となります(※1)。
出産が近づくにつれて子宮頸管は少しずつやわらかくなり、それまで閉じていた子宮口が徐々に開いていきます。
子宮口の開きが直径1〜2cmのときは、まだ分娩が始まる前の段階です。
子宮口が開いているという自覚症状はないため、基本的に妊婦健診で「子宮口が開き始めた」といわれて初めて気づきます。
子宮口が1cm開く時期は人それぞれで、正期産の時期(妊娠37週0日〜)に入る頃に開く人もいれば、出産予定日を過ぎても開かない人もいます。
子宮口の開き方と陣痛、お産の進み方の関係は?
お産が順調に進んだ場合、陣痛がきてから赤ちゃんが生まれるまで、子宮口は次のように開いていきます。
分娩第一期(開口期)
10分以内間隔の規則的な陣痛が始まり、子宮口は3〜4cmほどに開きます(※1)。
初産の場合は、陣痛間隔が約10分になったら産院に連絡するよう指示されることも多いので、産院へ向かう準備をしましょう。
経産の場合は初産に比べてお産の進みが早い傾向があるため、15〜20分などあらかじめ医師や助産師に伝えられた陣痛間隔になったら、産院へ電話して指示を仰いでください。
その後、陣痛が3~4分間隔となり、子宮口は7〜8cmまで開きます。
子宮口が3cm開いた状態から赤ちゃんが生まれるまでの所要時間は、初産婦で11~15時間ほど、経産婦は4.5~7.5時間ほどです。
第二期(娩出期)
陣痛が最も強くなり、子宮口は全開大の10cmまで開きます(※1)。
ここから赤ちゃんが生まれるまでにかかる時間の目安は、初産婦で1~3時間ほど、経産婦で0.5~1.5時間ほどです。
助産師からのアドバイスにあわせて、いきんだり、いきみを止めて短い呼吸に切り替えたりします。
陣痛がきても子宮口が開かない原因は?治療法はあるの?
一般的には陣痛がきたら子宮口が開いていきますが、子宮頸管がやわらかくならず子宮口がなかなか開かないと、お産がスムーズに進まなくなることがあります(※1,2)。
子宮が開かずお産が長引くと妊婦さんの体力が落ちてしまうため、原因と状況にあわせて以下のような治療法が選択されます(※1)。
バルーン挿入・卵膜剥離
子宮頸管がやわらかくならず子宮口の開きが十分ではない場合は、小さなゴム球を子宮口に入れて膨らますバルーン挿入や、医師が子宮口に指を入れて卵膜を刺激する卵膜剥離が行われることがあります。
陣痛促進剤の投与
子宮口がなかなか開かない、または陣痛が弱まってしまいお産が長引いている、といった場合には、陣痛促進剤を投与することがあります。
陣痛がきてから子宮口を開きやすくするためには?
子宮口がスムーズに開いていくようにするためには、陣痛がまだ弱いうちに次のような方法を試すといいといわれています。医師や助産師に確認しながら取り組んでみてくださいね。
体を動かす
スクワットなど股関節をやわらかくする運動は、子宮口を開く効果が期待できるとされています。
陣痛がきた後も動ける余裕があるうちは、家や産院の中を歩いたりスクワットをしたりしてみるといいでしょう。
あぐらをかいて座った状態でストレッチをするのもおすすめですよ。
体を温める
体が冷えると血行が悪くなり、筋肉が硬直してしまうことがあります。
妊娠中でも飲める温かい飲み物を飲む、靴下の重ね履きをするなどして体を温めて、強張った体の筋肉をほぐしてあげましょう。
お風呂に入ることも体を温めるのには効果的ですが、破水をしたあとは膣から菌が入り込んで赤ちゃんが感染するおそれがあるため、湯船に浸かるのもシャワーもやめてくださいね(※1)。
できる限りリラックスする
お産が始まって緊張すると知らず知らずのうちに体に力が入ってしまい、子宮口がなかなか開かないこともあります。
子宮口を開きやすくするために、できるだけリラックスすることを心がけましょう。
陣痛の痛みでなかなか落ち着けないかもしれませんが、付き添いのパートナーや家族と話したり、好きな音楽を聴いたりするなど、心身の緊張をほぐしてリラックスできる方法を探してみてくださいね。
陣痛がきて子宮口が開かなくても落ち着こう
陣痛がきたのに「なかなか子宮口が開かない」と言われると焦ってしまうかもしれませんが、お産が進むように医師や助産師が対処やサポートをしてくれるので落ち着いて臨みましょう。
今回ご紹介した子宮口を開きやすくする方法をしっかり覚えておいて、いざ陣痛が始まったら無理のない範囲で試してみてくださいね。