女性のホルモン検査とは?採血時期や費用は?不妊かわかるの?

監修医師 産婦人科医 山本 範子
山本 範子 日本産科婦人科学会専門医。平成5年、日本大学医学部卒。日本大学附属病院および関連病院で産婦人科医として経験を積み、その間に日本大学総合健診センターで婦人科検診にも力を注いできました。現在は港区の日野原... 監修記事一覧へ

妊娠・出産には体の健康だけではなく、女性ホルモンが正常に機能している必要があります。しかし、女性のホルモンバランスはデリケートで、生活習慣の乱れやストレス、病気などの影響を受けて崩れやすいもの。妊娠を望む人は特に、自分のホルモンの状態を知っておくことは重要です。今回は、ホルモン検査の内容や受ける時期、かかる費用のほか、結果からわかる不妊原因についてご説明します。

女性のホルモン検査とは?

血液検査 採血 女性 医師

婦人科などで女性が受けるホルモン検査では、血液や尿の中に含まれるホルモンの量を調べます。

主に月経や排卵、妊娠に関わっているホルモンが対象で、各ホルモンの数値を見れば、排卵日を予測したり、生理不順・不妊症の原因を探ったりすることができます。それらの原因がわかれば、有効な治療を行えるというわけです。

ただし、ホルモンの種類によって、検査に適した時期が異なるので、月経周期に合わせて何度か受ける必要があります。

女性のホルモン検査で調べる内容は?

女性のホルモン検査で調べるホルモンは主に6種類あります。それぞれにどんな役割があるのか、ご説明します(※1)。

1. エストロゲン(卵胞ホルモン)

主に卵巣内にある卵胞から分泌され、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を厚くする作用があります。女性らしい体つきや肌の美しさを保つ働きもある女性ホルモンです。

2. プロゲステロン(黄体ホルモン)

排卵を終えた卵胞が黄体化することで分泌されるホルモンです。エストロゲンが厚くした子宮内膜の状態を維持して、基礎体温を上昇させるなど、受精卵の着床をサポートする作用があります。

3. FSH(卵胞刺激ホルモン)

脳下垂体から分泌される、性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の一種です。成熟して排卵できるようになるまで卵胞の発育を促します。

4. LH(黄体形成ホルモン)

FSHと同じく、脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンです。成熟した卵胞からの排卵を促し、排卵後には卵胞を黄体化させる作用を持ちます。

5. AMH(抗ミュラー管ホルモン)

発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。生理的な働きはまだあまり明らかになっていませんが、卵巣機能の低下や加齢とともに減少することがわかっています(※2)。

6. プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)

プロラクチンは、普段は抑制されていますが、妊娠すると分泌量が増え、乳腺の発育を促します。

また、産後は赤ちゃんが乳首を吸うことでプロラクチンの分泌が増加し、母乳が出るようになります。一方で、授乳期間中は排卵を抑制する働きも持っています。

ホルモン検査で不妊かどうかがわかる?血液検査をするの?

夫婦 カップル ベッド 悩む

女性のホルモン検査では、血液や尿を採取して、上で挙げた6種類のホルモン量を調べることができます。

次のとおり、検査の結果から不妊の原因がわかる可能性があります(※1)。

1. プロゲステロンの数値が低い

プロゲステロンが低いと黄体機能不全が疑われます。黄体機能不全とは、プロゲステロンを分泌する「黄体」という組織がうまく機能していない状態です。

2. FSHとLHの数値が高く、AMHが低い

FSHとLHの数値がともに高く、AMHの数値が低ければ、卵巣に残された卵胞の数が少ないことを意味します。不妊治療の進め方を考えるときに、重要な検討材料となります。

3. FSHとLHの数値がともに低い

FSHとLHがともに低値である場合、ホルモン分泌を促す視床下部や脳下垂体などに問題がある、排卵障害の可能性が考えられます。

4. FSHは正常だが、LHとAMHの数値が高い

LHとAMHの数値がともに高い場合は、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の可能性があります。卵胞の発育が遅く、ある程度の大きさまで育ったとしても排卵されず、卵巣内に卵胞が溜まってしまう病気です。

5. プロラクチンの数値が高い

プロラクチンが高値だと、高プロラクチン血症による排卵障害が疑われます。脳下垂体の腫瘍や、視床下部の機能障害、一部の抗うつ剤や胃薬の副作用などでプロラクチンが過剰分泌されている状態です。

女性のホルモン検査を受ける時期は?

女性 椅子 部屋 カレンダー

女性のホルモン検査は、すべての数値をいつでも測定できるわけではありません。女性の体内で作られるホルモンの量は、月経周期によって変動するからです。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、どの時期でも検査を受けられます。そのほかのホルモンについては、月経周期に合わせて医師からスケジュールを指示されるので、それに従って受けましょう。

女性のホルモン検査の費用は?

お金 100円

ホルモン検査はかかりつけの婦人科で受けることができ、短時間で終了します。基本的な血液検査であれば保険が適用され、検査1つあたり1,000円前後で受けることができます。

受ける項目が増えるほど費用もかかり、初診料や再診料が必要な場合もあります。

なお、医療機関や検査内容によっては保険適用外(自費診療)となり、割高になる場合があるので、事前に電話やホームページで確認すると安心です。

女性のホルモン検査は不妊検査の基本

女性 医師 病院 相談 婦人科 

これから妊娠を望むのであれば、今の自分が妊娠しやすい状態なのか、不妊の可能性があるのかを知ることは大切です。検査の結果、不妊の原因やリスクがわかった場合、早めに対処すれば、それだけ妊娠できる確率も高まります。

女性のホルモン検査は月経周期に合わせて行うものが多いので、まずは医師に相談し、指示されたスケジュールに沿って一つひとつ受けてみましょう。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう