「プラノバール」という薬をご存じですか?女性ホルモンのバランスを整える薬で、婦人科系の様々な症状に対して使われます。月経異常や不妊症に悩んでいるときに、処方されることがあるかもしれません。今回は、プラノバールの効果や副作用、不妊治療など処方される目的などをご説明します。
プラノバールとは?
プラノバールとは、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」という2種類の女性ホルモンが配合された薬です。
ホルモンの分泌が不足したり、バランスが崩れることで起きる婦人科系の症状緩和や、卵巣機能不全による不妊症などの治療に用いられます(※1)。
処方の目的にあわせて、1日1錠を数日間~数週間飲み続けます。
プラノバールの効果は?生理を起こす薬?
プラノバールを服用することで、体内の女性ホルモンが補われ、月経周期が正常に近づいたり、卵巣機能が改善されたりするため、次のような症状に対して効果があるとされます(※1)。
プラノバールが効果を発揮する症状
- 機能性子宮出血
- 月経困難症(重い生理痛)
- 月経周期異常(稀発月経、頻発月経)
- 過多月経
- 子宮内膜症
- 卵巣機能不全
プラノバールを決められた期間飲み続けると、補なわれたエストロゲンの作用で子宮内膜が厚くなり、プロゲステロンの働きによってその状態が維持されます。
そのあと、プラノバールを飲むのをやめると、体内の女性ホルモンの量が減少することで、子宮内膜の維持ができなくなるため、生理(消退出血)が起こります。このサイクルを何周期か繰り返すことで、少しずつホルモンバランスを整えていきます。
生理コントロールや避妊効果も?
プラノバールを服用するタイミングや期間によって、生理期間を延長することも可能です(※1)。そのため、どうしても生理日をずらしたいときにもプラノバールが処方されることがあります。
また、避妊を目的にプラノバールが処方されることもありますが、なぜ避妊効果があるのかははっきりとわかっていません。
プラノバールは不妊治療にも使われるの?
不妊治療でもプラノバールが処方されることがあります。
たとえば、卵巣機能不全がある女性は、女性ホルモンの乱れにより月経異常が起こりやすくなります。無月経や無排卵の状態が長く続くと、子宮内膜が十分厚くなる前に剥がれ落ちてしまったり、妊娠に必要なホルモンがきちんと分泌されなかったりすることで、不妊につながる恐れがあります。
そこで、タイミング法で性交渉を行ったあと、プラノバールをしばらく飲み続けることで、卵胞の成長や排卵、子宮内膜を整える働きをサポートし、妊娠しやすい状態を作り出す、という方法が取られることがあります。
プラノバールに副作用はある?
プラノバールによって女性ホルモンを人工的に補充するので、吐き気や嘔吐、食欲不振、下痢、便秘、腹痛、乳房の張り・痛みなどの副作用が現れることもあります(※1)。
しばらく服用を続けると、体が慣れてくることが多いため、軽い副作用であればそれほど心配はいりませんが、どうしてもつらいときは医師に相談し、飲むのをやめたり、ほかの薬に切り替えたりできないか対応を検討してもらいましょう。
また、頻度としてはまれですが、血液が固まり、血管が詰まってしまう「血栓症」には注意が必要です。手足への痛みやしびれ、息切れ、頭痛、急に視力が落ちるといった前兆症状が見られたら、すぐにかかりつけ医の診察を受けてください。
プラノバールを利用するときの注意点は?
プラノバールを安易に使用するのは危険です。特に、次のような持病を持つ場合には、プラノバールを服用できない可能性があるので、処方される前に医師に相談しましょう(※1)。
プラノバールを慎重に投与するべき人
- 肝機能障害がある
- 子宮筋腫がある
- 乳がんにかかったことがある
- 心疾患や腎疾患がある
- てんかんを起こす可能性がある
- 糖尿病を患っている
- 40歳以上である
- 高血圧を治療している など
これらの条件に当てはまる場合、プラノバールに含まれる成分によって、状態が悪化することがあります。ほかにも気になる点がある場合は、必ず医師に伝えるようにしましょう。
プラノバールは適切に服用しましょう
プラノバールは、月経異常や婦人科系の症状などを改善してくれることが期待できますが、体内のホルモンバランスに影響を与える薬なので、正しく服用することが大切です。自己判断で飲み始めたり、途中で飲むのを止めたりすると、かえって症状が悪化する可能性もあります。
改善したい症状によって、服用期間や量が変わってくるので、担当医の指示にきちんと従いましょう。効果や副作用について、少しでも気になることがあれば、医師に相談して不安を取り除いてから処方してもらってくださいね。