カバサールとは?効果や副作用は?不妊治療で処方されるの?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

高プロラクチン血症の治療のために、「カバサール」という薬が使われることがあります。高プロラクチン血症により排卵障害や無月経が起こることもあるため、不妊治療の一環でカバサールを処方されている人もいるかもしれませんね。今回は、カバサールの効果や副作用、飲み方について詳しくご説明します。

カバサールとは?

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カバサールは、「カベルゴリン」という成分を含む、錠剤タイプの医薬品です。進行性の神経変性疾患であるパーキンソン病の治療薬として知られています。

また、高プロラクチン血症による排卵障害や生理不順にも効果がある薬なので、不妊治療で使われることもあります。

カバサールの効果は?不妊症に効くの?

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カバサールには「プロラクチン」というホルモンの分泌を低下させる効果があります。プロラクチンと不妊との間には、どのような関係があるのでしょうか?

プロラクチンとは?

プロラクチンは、出産後に向けた体の状態を作るため、脳下垂体から分泌されるホルモンの一種です。

妊娠するとプロラクチンの分泌量は増え、出産とともに減っていきます。産後に授乳が始まると、赤ちゃんが乳首を吸う刺激によりプロラクチンの分泌が再び増加し、無排卵・無月経の状態になります。

通常、妊娠していないときはプロラクチンの分泌量が少なく、乳腺の発育や母乳の分泌を促したり、排卵を止めたりといった作用は働きません。主に脳の視床下部で作られるドパミンなどの物質により、プロラクチンの分泌が抑制されているからです(※1)。

高プロラクチン血症とは?

脳下垂体にプロラクチノーマという腫瘍ができたり、視床下部に何らかの障害があったりすると、妊娠していないにもかかわらずプロラクチンが過剰分泌されます(※2)。これが「高プロラクチン血症」で、授乳中の状態と同じく、排卵が抑制されて生理不順になり、不妊につながる恐れがあります。

カサバールは、「ドパミン作動薬」という種類の医薬品です。服用すると体内でドパミンと同じように作用し、プロラクチンの分泌量を低下させることで生理不順が改善されることが期待できるのです。

カバサールの販売元による臨床試験データによると、高プロラクチン血症による排卵障害に対しては77.2%、下垂体の腫瘍に対しては79.3%の改善率が見られます(※3)。

カバサールは断乳にも使われるの?

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カバサールには、プロラクチンの分泌を抑制することにより、母乳の分泌を抑える効果もあります。そのため、何らかの事情でママが断乳しなければならない場合、産婦人科でカバサールを処方されることもあります。

逆にいえば、母乳育児中の女性は、カバサールを服用しない方が良いということになります。プロラクチン濃度が異常に高いなど、やむを得ずカバサールを飲まなければいけない場合には、授乳を中止しなければなりません。

また、カバサールの服用中に妊娠が確認された場合は、すぐに飲むのをやめるのが望ましいとされています。ただし、治療効果が危険性を上回ると医師が判断された場合には、様子を見ながら投与を続けることもあるため、医師と相談してください(※3)。

カバサールの副作用は?太る?頭痛や眠気も?

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カバサールの販売元によると、服用した人のうち3~4%に下記のような副作用が見られます(※2)。

カバサールの重大な副作用は?

頻度としては稀ですが、幻覚や妄想などの精神的な症状、突発的な睡眠、肺炎、胸膜炎、肝機能障害などが副作用として現れることがあります。

これらの症状が現れた場合には、すぐ医師に相談して服用量を減らしたり、飲むのを一時的に中止したりするなどの処置が必要になります。

カバサールのその他の副作用

その他の症状として、頭痛、吐き気・嘔吐、めまい、眠気、便秘などが見られることもあります。また、副作用として体重増加は報告されていませんが、顔面がむくむこともあるため、「カバサールを飲んで太った」と感じる人もいるかもしれません。

これらの症状だけ見ると、特段珍しいものではありませんが、カバサール服用中はいつも以上に自分の体調に気を配り、「副作用かも」と感じる変化があればすぐに医師に相談するようにしてください。

カバサールの飲み方は?飲み忘れたら?

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カバサールには、0.25mgと1.0mgの2種類の錠剤があり、治療する症状によって服用量や頻度が異なります。また、患者の年齢や症状によって、医師が服用量を調整します。

不妊治療中の女性で、高プロラクチン血症による排卵障害や下垂体線種の改善を目的にカバサールが処方される場合、通常1週間に1回、同じ曜日で就寝前に飲むのが基本です。最初は1回あたり0.25mgから始め、様子を見ながら2週間以上の間隔を空けて1回の量を0.25mgずつ増量します。

ただし、1回あたりの上限量は1.0mgとされています。

もしカバサールを飲み忘れてしまったら、気づいたタイミングで服用しましょう。たとえば、毎週月曜日に飲んでいたのを忘れていて火曜日に気づいた場合、火曜日に1回分を服用し、次回からは、毎週火曜日に服用するように切り替えます。

ただし、これはあくまで参考程度に考え、カバサールを処方された時点で、医師に飲み忘れた場合の対処法を確認しておきましょう。

カバサールは不妊症に効果がある薬

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カバサールは、高プロラクチン血症による不妊が見られる場合、排卵障害を改善するなどの効果を発揮する薬です。稀に副作用が見られることもあるので、気になる症状があれば担当医に相談しながら、適切な服用を続けましょう。

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