高プロラクチン血症とは?原因や症状は?妊娠に向けた治療法は?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センターを経て、板橋中央総合病院に勤務。産婦人科専門医、周産期専門医として、一般的な産婦人科診療から、救急診療、分... 監修記事一覧へ

妊娠を希望して妊活をしているなかで、「高プロラクチン血症」という病名を聞いた人も多いかもしれません。「高プロラクチン血症」は不妊の原因になりますが、治療を行えば改善を目指すこともできます。正しい知識を身に着けて、前向きに治療に取り組みたいですね。今回は、不妊の原因にもなる「高プロラクチン血症」について、その原因や症状、治療法をまとめました。

高プロラクチン血症とは?

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高プロラクチン血症とは、「プロラクチン」というホルモンの血中濃度が高くなる疾患です。正常な成熟女性の血中プロラクチン濃度は5ng/mL前後ですが、妊娠しておらず、昼間の安静時に行った採血でプロラクチンの濃度が15ng/mlを超えると、高プロラクチン血症と診断されます(※1)。

ただし濃度については検査キットなどによって異なり、基準は病院によって異なります。

そもそもプロラクチンとは、出産後に向けて体を作るために、脳下垂体から分泌されるホルモンの一種です。母乳を作れるように乳腺を発達させたり、出産後の育児ができるように子宮収縮を促して体の回復を早めたりする作用があります。

こうした体作りの一環で、出産後すぐに妊娠できないように排卵を抑制する働きもあります。

また、プロラクチンは女性だけでなく男性にも分泌されており、精嚢腺や前立腺といった性機能の発達にも深く関係しています。そのため、プロラクチンの血中濃度が高いことで、男性・女性ともに生殖機能に影響が出ることがあります。

高プロラクチン血症の症状は?

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高プロラクチン血症になると、妊娠・出産していないのに母乳が出る、生理不順や無月経になるなどの症状が現れます。男性にも、性欲の減退やED(インポテンツ)といった症状が見られることがあります。

これらの他に、無排卵月経や着床障害など、目に見えない症状や自覚できない症状が起こる場合も多く、なかなか妊娠できなくて病院を受診した際に、高プロラクチン血症がわかったというケースもあります。

高プロラクチン血症の原因は?

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プロラクチンの血中濃度が高くなる原因には、下記のようなものがあります。

病的要因

高プロラクチン血症の裏に、病気が隠れていることがあります。その代表的なものが「プロラクチン産生腫瘍」です。脳下垂体に腫瘍ができることで、過剰にプロラクチンが分泌されてしまいます。これは、全原因の約1/3を占めます(※1)。

次に多いのが、視床下部の病気や障害によってプロラクチンの分泌が促されすぎてしまうものです。視床下部に腫瘍ができることなども原因となります。

他にも、甲状腺機能の低下、てんかん、慢性腎不全など、様々な病気が高プロラクチン血症の原因となります。

生理的要因

プロラクチンは妊娠中や授乳中、睡眠中などにも多く分泌されます。生理的な範囲内であれば問題はありませんが、過度なストレスなどが重なると、高プロラクチン血症につながることがあります。

薬剤によるもの

ピルや抗うつ剤、胃潰瘍の薬など、薬の服用によって高プロラクチン血症になることがあります。薬剤による高プロラクチン血症は、全体の8%ほどです(※2)。

高プロラクチン血症の治療法は?薬や漢方は効くの?

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高プロラクチン血症の治療方法は、原因によって異なります。プロラクチン産生腫瘍のように明確な原因があればその治療を行いますし、薬が原因であればその薬の服用を控えるといったことが行われます。

しかし、明確な原因がわからない場合は、プロラクチンを抑える薬である「ドーパミン作動薬」を使って治療を行います。

日本のドーパミン作動薬は、「カバサール」「テルロン」「パーロデル」の3種類が一般的です。ただしこれらは吐き気やめまいを引き起こす副作用が見られることもあるため、副作用の少ない漢方に切り替え、時間をかけて治療していく人もいます。

服用期間は人によって様々で、不妊治療に取り組む人では数年間飲み続けることもあります。症状によって治療法が異なるため、かかりつけの医師と相談してください。

高プロラクチン血症でも妊娠できるの?

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先に説明したように、高プロラクチン血症になると、無排卵や着床障害などにつながることもあるため、妊娠しにくくなる可能性があります。

プロラクチンの血中濃度がどれだけ高いか、つまり症状の重さにもよりますが、排卵しにくい、着床しにくいという状況では、妊娠することが難しくなります。特に無排卵や無月経の場合は、妊娠しづらい状態といえます。

そのため症状の程度によっては、高プロラクチン血症の治療で数値を改善していくことで、妊娠する確率を上げていく必要があります。

個人差が大きく、「数値がいくらだったら何%の確率で妊娠できる」というものではありませんし、数値にとらわれすぎるとストレスが溜まってしまい、悪循環になることもあります。少しずつ改善していくことを心がけてくださいね。

高プロラクチン血症の対策で心がけることは?

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高プロラクチン血症になると、直接的な治療や薬によって解消を目指すことになりますが、規則正しい生活を通じてホルモンバランスを整えることで、対策を行うこともできます。下記のような習慣を心がけましょう。

ストレスの解消

プロラクチンの値は生理的なものでも変動しやすく、ストレスが原因となって高プロラクチン血症が引き起こされることもあります。適度な運動をする、ゆっくり湯船につかる、趣味の時間を増やすなど、心と体を休める時間を意識的にとるようにしましょう。

「プロラクチンの値を下げなければ」と考えすぎることもストレスになるかもしれないので、あまり思い詰めすぎず、ゆったりとした気持ちで生活できるといいですね。

睡眠をしっかりとる

睡眠は、体のホルモンバランスを整えるために大切です。睡眠時に分泌される成長ホルモンは、女性ホルモンの分泌にも影響しているため、睡眠時間が十分取られていないと必要なホルモンの分泌が起こらないことがあります。

特に妊娠を希望している人は、できれば日付が変わる頃には横になり、しっかりと睡眠をとりたいですね。

栄養バランスの良い食事

栄養バランスの偏りは、ホルモンバランスが乱れる原因になります。脂質や糖質を摂りすぎないようにし、ビタミンやミネラルを多く含む食事を心がけましょう。

高プロラクチン血症を解消して妊娠しやすい体質に

カップル 夫婦 ハート 愛情

妊活中の女性にとって、高プロラクチン血症は困った問題です。高プロラクチン血症で無排卵月経になってしまうと、生理はきているのに妊娠ができない状態になり、不妊につながってしまいます。せっかく頑張っているのに実を結ばないと、つらい気持ちになりますよね。

高プロラクチン血症は、治療で改善することができるものです。妊娠したくてもできないという場合には、一度婦人科を受診して、妊娠しやすい体質を目指しましょう。

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