内臓や肌は年齢と共に老化していきますが、それに伴い卵子も老化していきます。老化してしまった卵子は若返ることがなく、不妊などのトラブルを引き起こす要因となってしまうことも。そこで今回は、卵子が老化する原因や卵巣年齢の検査方法、卵子が老化することによるリスクと、老化を防止する方法についてご紹介します。
卵子が老化する原因とは?
卵子が入った「原子卵胞」という細胞は、生まれたときから女性の体内にあり、後から新しく作られることはありません。卵子の数は加齢とともに減少していき、初潮を迎える頃にはすでに生まれたときの10分の1以下の数になってしまいます(※1)。
さらに、年齢を重ねるほど卵子へのダメージは蓄積し、老化も進みます。生まれたときから年齢を重ねる度に、卵子も一緒に歳をとると考えるとわかりやすいですね。
年齢を重ねることだけでなく、子宮や卵巣の病気、過剰なストレス、偏った食生活、喫煙習慣や手術なども、卵子の老化を加速させると考えられています。
一度老化してしまった卵子を若返らせることはできないので、卵子の老化の加速を止め、良質な状態に保つ方法を知り、実践することが、妊活の基本といえます。
卵子の老化を知る検査方法は?何かサインはあるの?
卵子の老化は病気ではなく、加齢による自然現象なので、痛みなどの自覚症状はありません。また、医学的に卵子の質を数値で表せるような検査はありません。
ただ先述のように、年齢以外に、食生活や喫煙、ストレスなどによっても卵子が老化する可能性があります。夜更かしをすることが多かったり、栄養バランスの偏った食事をしていたりと、生活習慣が乱れている女性は、卵子の老化が進んでいるかもしれません。
また、卵子の質は分かりませんが、病院では、卵巣の機能を正確に診断することができる「卵巣予備能検査(AMH)」というものが受けられます。この検査では、卵巣内に卵子がどれくらい残っているかという数を知ることができるため、不妊治療の一環として行われることがあります。
卵子の老化によって引き起こされるリスクはあるの?
卵子が老化するのは、年齢を重ねれば仕方のないこと。それに抗うことはしたくない、という考えの人もいるかもしれません。しかし、これから妊娠・出産を考えている人は、卵子が老化することのリスクをきちんと知っておくことは必要です。
妊娠する確率の低下(※2,3)
上のグラフは、6ヶ月間でどれだけ妊娠できるか、という累積自然妊娠率を年齢別に表したものです(※3)。これによると、年齢が上がる分だけ自然妊娠ができる割合は低くなっていきます。
卵子が若いときはキレイな円形のものが多いのですが、老化が進むと楕円形やいびつな形のものが多くなっていきます。
形の整っていない卵子は、受精しにくく、受精しても細胞分裂しにくいので胚の成長が途中で止まってしまうことがあります。また、胚の質も悪くなるため、着床しにくく、結果的に妊娠確率が下がってしまうのです。
流産や先天性疾患(※1)
卵子が老化する過程で遺伝子が何らかのダメージを受けてしまい、胎児の染色体異常が起きる割合が高まるといわれています。そのため、自然に流産してしまう確率が20代から30代前半までは10~15%なのに対して、30代後半以降は20~40%ほどまで高まります。
また、出産を無事に迎えられたとしても、ダウン症候群などに代表される、染色体異常が原因の先天性疾患を発症する確率も上がります。
卵子の老化を防止するには?
卵子の老化を防止するには、生活習慣と食生活を改善することが第一です。十分な睡眠や運動などの規則正しい生活習慣、ビタミン摂取や栄養バランスの良い食事など、健康的な生活を送るようにしましょう。
妊娠を考えている女性は、まずは自分の体を健康にすることが妊活の第一歩です。特に下記の項目をチェックして、自分に合った生活習慣の改善方法を見つけていきましょう。
卵子の老化を防ぐ生活習慣チェック
□ バランスの良い食事がとれているか
□ 質の良い睡眠をたっぷりとれているか
□ 喫煙していないか
□ 体が冷えていないか
□ 定期的に運動をしているか
□ ストレスが溜まっていないか
卵子の老化を防いで、妊娠確率を上げよう!
最近は30代後半~40代の芸能人が出産したというニュースもよく耳にするので、年齢を重ねても子供が産めると考え、キャリアなどを優先して妊娠を後回しにしている女性もたくさんいるのではないでしょうか?しかし、歳を重ねるほどに卵子は老化し、不妊や先天性疾患の確率は高まります。
やはり妊娠適齢期といわれている25〜35歳の間の方が妊娠の確率も高く、妊娠中のトラブルなども軽いことがほとんどです。
「今すぐじゃないけど、いつかは子供が欲しいな」と考えている人も、出産を望んでいるのであれば、パートナーと今後の計画を一度見直してみてくださいね。