新生児が発熱する原因は?38度以上の高熱は病院へ行くべき?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

新生児とは、生後28日未満の赤ちゃんを指します。そんな生まれてすぐの赤ちゃんに発熱が起きたら、「何か病気なのかな?」と心配になってしまいますよね。それでは、新生児が熱を出したら、どう対処したらいいのでしょうか?今回は新生児の発熱の原因や症状、対処法についてご紹介します。

新生児も熱が出るの?

新生児 赤ちゃん 発熱 体温計

生まれてきた赤ちゃんは、生後5~6ヶ月頃までママからもらった免疫が体内で働いています。

したがって、新生児が熱を出すことはそれほど多くありません。もし新生児が熱を出した場合は、何らかの重い病気にかかっている可能性があります。

新生児の体温は36.5〜37.5度が平熱で、基本的には37.5度以上で発熱しているとされます。ただし、赤ちゃんの体温は上下しやすく、38度を超える熱が出た場合は病気の可能性が高いです。

新生児の発熱の原因は?

菌 ウイルス 細菌 病気 病原菌

生後3ヶ月未満の赤ちゃんが発熱する原因のほとんどはウイルス感染症によるものです。ただ、生後6ヶ月以上の赤ちゃんと比べて、細菌性髄膜炎や敗血症、尿路感染症といった細菌感染による病気によって起きている場合もあるので、注意が必要です(※1)。

新生児が発熱しているときは、主に以下の病気にかかっている可能性があります。

ウイルス感染症

突発性発疹

突発性発疹はヒトヘルペスウイルス6型に感染して起こるもので、発症すると、高熱が3~4日続いて、熱が下がると同時に、全身に赤い湿疹が現れます。

インフルエンザ

インフルエンザにかかると、高熱が数日続き、頭痛や筋肉痛、倦怠感が現れます。身体全体に症状が出るため、赤ちゃんは機嫌が悪くなったり、ぐずり続けたりします。

アデノウイルス感染症

夏風邪の原因になりやすいアデノウイルスに感染した場合、発熱の他に、喉の腫れや目の充血などが起こります。アデノウイルスは夏だけでなく、1年を通して感染する可能性があります。

エンテロウイルス感染症

エンテロウイルス感染症は夏から秋に発生する傾向にあり、手足口病やヘルパンギーナを引き起こします。主な症状としては、発熱と口の中の水ぶくれが挙げられます。

新生児単純ヘルペスウイルス感染症

新生児単純ヘルペスウイルス感染症は、主に産道でヘルペスウイルスに感染することで起こります。発熱や水ぶくれなどの皮膚病変、黄疸が現れ、場合によっては生命の危機をもたらすこともあります(※2)。

RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染によって起こる呼吸器感染症です。主な症状としては、発熱や鼻汁といった風邪のような症状が数日続きます。

軽症で済むことが多いのですが、新生児では呼吸困難、発熱などの肺炎・細気管支炎を引き起こす可能性があります。

細菌性髄膜炎

脳の表面や脊髄を覆っている髄膜が細菌に感染して起こる炎症が、細菌性髄膜炎です。細菌性髄膜炎は赤ちゃんの命に危険を及ぼす可能性があり、日本小児感染症学会によると、細菌性髄膜炎にかかったときの死亡率は約5%です(※3)。

細菌性髄膜炎にかかると、発熱や嘔吐、頭痛などの症状が出ます。しかし、頭痛が起きていても赤ちゃんは言葉が伝えることができず、機嫌が悪くなったり、食欲がなくなったりします。また、意識障害が起きることもあります(※4)。

敗血症

敗血症とは、肺炎や腎盂腎炎など感染を起こしているところから、血液に細菌が侵入し、全身症状を起こす病気です。新生児の敗血症は、生後数日で発症するか、7日以上経ってから発症するかで原因が異なります(※5)。

敗血症の症状としては発熱、元気がない、母乳やミルクの飲みが悪い、顔色が悪い、お腹が張るなどがあります。さらに合併症として髄膜炎を起こすこともあるので注意が必要です(※5)。

尿路感染症

本来、尿は尿道を一方向にしか流れないようになっています。しかし、先天的に尿路に奇形があり、尿が逆流したり停滞したりすると、侵入してきた細菌やウイルスに感染して炎症を起こします。これが尿路感染症です。

尿路感染症にかかると、発熱以外に、頻尿や排尿痛も起こるのですが、赤ちゃんは言葉で症状を伝えることができないため、発熱が尿路感染症を知らせる大事なサインといえます。発熱以外の症状が少ないことが特徴です。

新生児が発熱したときの対処法は?病院へ行くべき?

新生児 病院 診察 検査 医師

赤ちゃんが熱を出すと、汗が出て脱水症状になることがあるため、母乳やミルク、湯冷ましなどの水分を少量ずつこまめに与えましょう。下痢や嘔吐を起こしていると、さらに脱水症状になりやすくなっているので、注意してください。

新生児が38度を超えて発熱した場合、重篤な病気が起きている可能性もあるため、できるだけ早く小児科を受診してください。入院となると、病気の原因を調べるために尿検査や血液検査、レントゲン、髄液検査などが行われます。

発熱を起こしている病気がウイルス感染症であれば対症療法、細菌感染症であれば抗菌薬により治療にあたるのが一般的です。

新生児が発熱したら早期に対処を

前述したように、新生児期は母体からの免疫が残っている時期なので、熱が出ることはよくあることではありません。「元気そうだから大丈夫」と自己判断をせずに、38度以上の熱が出ていたり、いつもより1度以上高い体温になっていたりしたら、すぐに病院を受診しましょう。

日頃から定期的に赤ちゃんの体温をはかって、急な体調の変化にもすぐに気づけるようにしておきたいですね。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう