赤ちゃんに肌トラブルが起きると、心配になりますよね。赤ちゃんの肌は敏感なので、ちょっとしたことでも発疹が現れやすいものです。しかし発疹といってもその原因はさまざまで、現れる場所や症状によって対処法も異なります。今回は病気のサインとして現れることがある赤ちゃんの発疹について、原因や対処法などをご紹介します。
赤ちゃんに発疹が出る仕組みは?

発疹とは、体内に侵入したウイルスや細菌などに対する免疫反応、あるいはアレルギーなどの特定の刺激に対する防御反応として、皮膚の表面に現れる変化の総称です。
赤ちゃんに赤い発疹がよく見られるのは、皮膚の表面近くの毛細血管が拡張して血流が増えるためです。
人間の体は毛細血管に覆われているので、全身のどこにでも赤い発疹が現れる可能性がありますが、赤ちゃんの場合、顔やお腹の発疹が目立つことが多いようです。
こすれたり、虫に刺されたりしたときにも発疹が現れますが、なかには何らかの病気が原因で現れている場合もあります。
赤ちゃんの体や顔に発疹が現れたときは、どこに、どのように出たのか、発熱といった他の症状がないかをチェックすることが大切です。
新生児期から1歳頃の赤ちゃんは発疹が出やすいの?

発疹は、子供でも大人でも出ることがありますが、特に新生児期から1歳頃までの赤ちゃんは現れる頻度が高いといえます。
後に詳しくご紹介する「乳児湿疹」や「乳児脂漏性湿疹」のように、新生児期から乳児期に現れる特徴的な湿疹もあります。
また、赤ちゃんは肌が敏感なため、ちょっとした刺激でも発疹が出やすいといえます。寒暖差や乾燥といった外的要因で発疹が現れることもあります。
赤ちゃんは発疹による不快症状があっても言葉で伝えることができないため、ママやパパがしっかりとケアしてあげましょう。
赤ちゃんの発疹:発熱を伴わない場合の原因と対処法は?

赤ちゃんに発熱がなくて発疹が現れた場合、さまざまな原因が考えられます。ほとんどが急を要するものではないので、落ち着いて原因を特定し、対処してあげてください。
乳児湿疹
乳児湿疹とは、新生児期から乳児期にかけて現れる湿疹の総称です。肌が敏感な赤ちゃんは、食べこぼしや鼻水、よだれといった刺激で発疹が現れやすく、顔や頭、胸やお腹に現れます。
乳児湿疹の対処法としては、基本的に皮膚を清潔に保ち、保湿剤を塗ります。
乳児脂漏性湿疹
新生児から生後3ヶ月頃までに発症する湿疹で、頭や額、まゆげなど、顔の周辺に黄色っぽいかさぶたができます(※1)。
家庭でできるケアとしては、ベビーオイルでかさつき部分を浮き上がらせたあと、かさぶたを取ります。石鹸よりベビーシャンプーを使った方が予防につながります。また、ベビーシャンプーは泡をたててこすらないでください。
新生児中毒疹(新生児中毒性紅斑)
中毒疹とは、有害物質を摂取したり体内で生成したりした際に起こる皮膚の異常のことです(※2)。ただし、新生児の場合、有害物質の摂取や体内生成によってではなく、生理的な現象として中毒疹が現れることがあります。
生後2~3日頃に現れることが多く、赤い斑点の真ん中に、1~2mmの黄色い丘疹(皮膚の隆起)、または水ぶくれが見られます(※3)。顔やお腹、背中、太もも、腕などにも現れますが、およそ1~2週間で自然と消えていきます。
あせも
赤ちゃんは汗をかきやすいため、汗が汗管(汗の通り道)に詰まり、炎症を起こすとあせもができます。頭や首、背中、腋、お尻など、汗をかきやすい部分にあせもは現れます。
汗をかいたらシャワーで流すかタオルでふきとり、皮膚を清潔に保ってあげましょう。また、通気性と吸湿性のよい服を着せ、こまめに着替えをすることも、あせも解消につながります。
虫(ダニ)刺され
虫刺されというと蚊や蜂を想像するかもしれません。しかし家の中にいるダニも人を刺します。特に、ベビーベッドのシーツやバウンサーのマットなどに密着している背中や首などに発疹が現れたときは、ダニに刺された可能性も考えられます。
虫に刺された部分は石鹸で洗いましょう。その後、市販のかゆみ止めを塗れば、多くの場合は回復していきます。しかし、発疹やかゆみがひどいときは、小児科または皮膚科を受診してください。
赤ちゃんが刺された部分をかきむしって化膿してしまわないように、赤ちゃんの爪は短く切り、手を清潔に保つように心がけてください。
アレルギー反応
赤ちゃんにアレルギーがあると、口にしたものや触れたものによって、じんましんが出たり、腫れたりすることがあります。
特に赤ちゃんは大人よりアレルギー反応が出やすいため、何かを食べた後、何かに触れた後に発疹が出ることはよくあります。発疹が長く続かないようであれば大きな心配はないものの、注意深く観察して発疹が出た原因を突き止めましょう。
アトピー性皮膚炎
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、早い場合は生後2ヶ月頃から見られる、なかなか治らない慢性の発疹です(※1)。かゆみのある湿疹が、顔、耳たぶの下、首、関節の周辺など、特に皮膚が柔らかい箇所に多くできます。
早めに皮膚科や小児科を受診して、適切な治療を受けましょう。
赤ちゃんの発疹:発熱を伴う場合の原因と対処法は?

赤ちゃんに発疹があり、さらに発熱をしていている場合は、病気が原因と考えられます。発疹があるからといってすぐに重症化することはまれですが、多くは病院での治療を必要とします。発疹以外の症状を注意深く見ながら、早めに受診しましょう。
突発性発疹
突発性発疹では、赤い発疹がお腹や背中を中心にして全身に現れます。まれに顔に発疹が現れることもあります。突発性発疹を起こす赤ちゃんのうち1歳未満は70%程度で、遅くとも2歳までに発症するといわれています(※4)。
発疹が出る前に、38~39度、場合によっては40度近い高熱が3日程度出るのが特徴的です。発疹自体にかゆみを伴なうことは少なく、3~5日経てばだんだん薄くなっていきます。
突発性発疹の治療は特別な薬を使わず、水分補給をしっかりしながら安静にするのが一般的です。合併症を起こすこともほとんどありません。
水痘(水ぼうそう)
水痘になると、胸や背中、お腹に虫刺されのような赤くて小さな発疹が現れ、数時間から半日ほどで顔や手足、口の中、陰部近くなど全身に広がります。
発疹は液体が入った水疱へと変化し、5〜7日経過して最後には黒いかさぶたになります。発疹と同時に、37~40度の発熱が起きることもあります。
症状が重ければウイルスを増やさない薬を内服し、外用薬でも対処していきます。かゆみがひどい場合は、かゆみを抑える内服薬や軟膏が処方されることもあります。1歳になると、予防接種が可能で、接種後はかかったとしても軽症で済むことがほとんどです。
手足口病
手足口病は、手のひらや足の裏、口の中に、真ん中が白くて周りが赤い小さな水疱状の発疹ができます。手足に痛みやかゆみはありませんが、口の中は痛くて染みるため、授乳や食事を嫌がる赤ちゃんもいます。
37~38度くらいの熱が出ることもありますが、1~2日で熱が下がるのがほとんどです。手足口病は一般的には特別な治療を行わず、1週間ほどで自然に治まっていきます。
はしか(麻しん)
はしか(麻しん)は、まず重い風邪の症状が高熱とともに見られます。その後、一時的に解熱したかと思った頃に、顔や首、胸のあたりに大きな発疹が現れ、高熱をぶり返すのが特徴です。
この発疹は徐々に全身に広がり、上半身の発疹は発疹同士がくっついて大きな斑点状になります。
風疹
風疹にかかると、37~38度程度の発熱が現れると共に、かゆみのある小さい発疹が徐々に全身に広がります。発熱と同時に首や耳の後ろのリンパ節に腫れが見られ、触ると痛がります。
3~4日ほどで発疹と熱がほぼ同時に治まり、水分補給しながら安静にしていれば自然に治まっていくことがほとんどです。
赤ちゃんに発疹が現れたら病院で診てもらおう
赤ちゃんに発疹が現れる原因はさまざまです。素人目には判断が難しく、どれも同じように見えてしまうこともあります。
発疹の原因がはっきりしないときや症状がひどいときは、できるだけ早めに病院を受診しましょう。特に発熱を伴う赤い発疹が出た場合は、小児科や皮膚科で原因を確認することが大切です。
赤ちゃんの発疹の状態や他の症状をよく観察しておくと、病院での診断もスムーズに進みます。赤ちゃんに発疹が出ても慌てずに落ち着いて対応することを心がけてくださいね。