切迫流産は「流産の一歩手前」の状態なので、妊娠を維持するためには安静が必要になることもあります。それでは、妊娠中も仕事を続けていた妊婦さんが切迫流産になった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?今回は、切迫流産と診断されたときに仕事は休んだ方がいいのか、休んだ後の仕事復帰のタイミングはどうすればいいのかなどをご説明します。
切迫流産の治療方法はあるの?
切迫流産は、「流産になる危険性が高くなっているが、妊娠を継続できる状態」です(※1)。切迫流産と診断されても、状態が悪化せずに、出産できたというママは多くいます。
今のところ、切迫流産を根本的に治療できる方法はありません。特に妊娠初期の流産には胎児の異常が原因のことが多いため、防ぐことが難しいこともありますが、状況によってはウテメリンなど子宮収縮を抑える薬を点滴で投与するなどして様子を見ます(※1)。
切迫流産でも仕事は続けられる?
妊娠中も仕事を続けていた人は、突然「切迫流産」と診断されると、「仕事はどうしたらいいの…?」と心配になるかと思います。
前述のように、特に初期の流産は予防が難しいため、切迫流産と診断されても、日常生活が症状に影響を与えることは少なく、安静にすることが効果的なケースは多くありません。
しかし子宮内に出血が見られるなどの場合は、医師の判断によって安静にするよう指示されることもあり、その場合は、仕事を休む必要が出てくることもあるでしょう。
産休に向けて少しずつ引継ぎの準備などを考えるなかで、急に休まなければならないのは本意ではないかもしれません。
しかし、安静が必要と判断された場合は、母子手帳についている「母性健康管理指導事項連絡カード」に医師から状況を書いてもらい、それを会社に提出して休職するのが基本です。
働きながら安静にすることは、どんな仕事であれ難しいものです。医師から安静にするよう指示されたら、許可が出るまでは仕事を休み、安静にするようにしましょう。ただし、職場にとっても急な休職となるので、上司に十分相談し、理解が得られるといいですね。
また、症状が軽ければ、安静にする必要がないことも多いので、医師としっかり相談してください。会社を休まずとも、母性健康管理指導事項連絡カードを提出することで、通勤時間をずらしたり、休憩を長く取ったりすることが可能です。
切迫流産になったら仕事は辞めるべき?
切迫流産を理由に急に仕事を休むことになったら、退職したほうがいいのか、あるいは解雇されるのではないかと心配する人もいることでしょう。
しかし、男女雇用機会均等法で妊娠による解雇・退職強要は禁止されています(※2)。そのため、切迫流産で休職しなければならなくなったからといって、それが退職しなければならない正当な理由になることはありません。
しかし、会社にとって切迫流産での休職が突然のことであれば、様々な人に影響が及ぶのも事実です。会社の一員として、妊娠した際にどのような影響があるかも事前に考え、上司に相談しておくことも重要でしょう。
もしも、切迫流産での休職について会社との話し合いがうまく進まないときは、住んでいる地域の労働相談情報センターに相談してみると、交渉の糸口が見つかるかもしれません。
切迫流産になったら仕事復帰はいつできる?
切迫流産で仕事を休んだ場合、どのタイミングで仕事復帰できるかは母体と胎児の状態によって異なります。基本的に、仕事復帰は自己判断ではなく、かかりつけの産婦人科で医師の許可を得てからにしましょう。
一度切迫流産になると、性器出血や下腹部痛が何度か起きることがあり、そのたびに医師の指導のもと安全な状態になるまで休まなければいけません。また、状況によっては、出産まで入院しなければいけないこともあります。
復帰時は、切迫流産で休んでいた分を取り戻そうと、長い時間仕事を頑張ってしまうのは控えたほうが良いでしょう。
業務量の軽減や、勤務時間の短縮を検討する場合は、会社側ともしっかり相談してくださいね。
一生懸命に仕事をすることだけでなく、お腹にいる赤ちゃんの命を守ってあげることも大切です。切迫流産になった場合は特に、上司や同僚の理解・協力を得て、無理せず働くようにしましょう。
切迫流産になったら、仕事以外で気をつけるべきことは?
切迫流産になり、自宅安静を医師から指示されたら、仕事以外にも気をつけるべきことがあります。
まず、料理や掃除など立って行う家事は、母体に負担をかけてしまうこともあるので、旦那さんや家族、ホームヘルパーなどに頼むことも検討しましょう。
どうしても自分で家事をしなければいけないときは、スーパーのお惣菜やレトルト食品を活用したり、掃除頻度を落としたりして、適度に手抜きをすることも大切でしょう。
切迫流産になったら仕事で無理は禁物
切迫流産になったら、休職を考えることもあるかもしれません。しかし、場合によっては、切迫流産中でも仕事をを急には休めないという人もいますよね。
そうなったときは、できるだけ無理のない働き方ができるよう、上司や同僚に相談してみてください。仕事中にお腹の張りや痛み、出血があった場合は、まずは横になって休ませてもらい、症状が落ち着いたら早めに病院を受診してください。可能であれば、在宅勤務を希望することも一つの方法です。
働く妊婦さんにとって、切迫流産は悩みの種になることも多いと思いますが、元気な赤ちゃんを出産することを優先して、体への負担を極力減らせるといいですね。