妊娠中、つわりに悩まされる人はたくさんいますが、その辛さは人それぞれ。朝は平気でも、夜になるとつわりがつらくなるという人もいて、「気持ち悪くなって寝れない…」という声も聞きます。つわりが夜だけひどくなるのは、なぜなのでしょうか?今回は、つわりが夜にひどい人のために、眠れない・気持ち悪いときの対処法をご紹介します。
そもそもつわりとは?

つわりは、胃のムカつきや吐き気、嘔吐といった消化器系の症状のほか、頭痛や食欲不振、眠気など、妊娠初期に現れる様々な症状を指します。
これらの不快症状が現れる原因ははっきりしていませんが、妊娠5〜6週頃に始まって、胎盤ができあがる妊娠12〜16週頃に落ち着くのが一般的です。そのため、妊娠によるホルモンバランスの変化や精神的なストレスなどが関係しているのではないかと考えられています(※1)。
つわりの症状は変化するもの?

つわりの期間中、ずっと気持ち悪いということはあまりなく、1日の中でも波があるのが一般的です。気持ち悪くて寝込んでしまうほどのときもあれば、比較的落ち着いていて食事ができるときもあります。
ただし1日に何度も嘔吐したり、水分がうまくとれずに尿が出なくなったりなどの症状が現れて、食事ができずに体重が急激に減少した場合は「妊娠悪阻」の恐れがあります(※1)。その場合、無理せずかかりつけの産婦人科を受診しましょう。
つわりが夜ひどい原因は?眠れない・気持ち悪いときはどうする?

一般的に、つわりは空腹のときほど気持ち悪くなりやすいので、一日のうちでは胃が空っぽになっている朝が一番気持ち悪くなるといわれています。昼間は比較的症状が落ち着くものの、夜になると再びひどくなるケースが多いようです。
つわりが夜にひどい原因としては、疲れや精神的なストレスが影響していると考えられます。疲労やストレスはホルモンバランスにも影響を与えて、吐き気がひどくなったり、眠れなくなったりします。
また、寝る前には家事や仕事から解き放たれ、つわりに意識が向きやすくなるので、忙しくしている日中よりも「つわりがひどくなった」と感じてしまう場合もあります。
つわりが夜ひどくて眠れない・気持ち悪いときは、以下のような対処法を試してみてください。
つわりが夜ひどいときの対処法1. 寝る姿勢を変える

つわりで気持ち悪くて眠れないときには、寝る姿勢を変えてみてください。妊娠中は消化管の機能が低下し、胃酸の逆流が起こりやすくなっています(※1)。またつわりで吐くことでも胃酸が出やすくなり、気持ち悪さが増してしまいます。
寝るときは枕を少し高くすることで、胃酸の逆流を防げます。頭の位置を高くし過ぎると腰を痛める原因になるので、ほんの少し高くするだけでいいでしょう。
また、横向きでひざを曲げた「シムスの体位」をとると体がリラックスした状態になり、つわりが軽減される効果が期待できます。
つわりが夜ひどいときの対処法2. 日中はゆったり過ごす

日中に無理をすると、疲労が溜まって夜につわりがひどくなります。特につわりの合間の体調がいいときは、仕事や家事を一気にやってしまおうと無理をしがちです。
しかし夜につわりが悪化する可能性を考えて、つわりが酷くないときもアクティブに動きすぎるのは控えましょう。できれば人が多い場所への外出や遠出は避けてください。
ただ、家に閉じこもってばかりいるとストレスが溜まってしまうので、近所へ散歩や買い物に出かけるなどして、気分転換をしましょう。
つわりが夜ひどいときの対処法3. 夜食を食べてやりすごす

空腹時に吐き気を感じる「食べつわり」だと、夕食時に満腹になるまで食べてしまって逆に気持ち悪くなるケースもあります。できれば夕食は腹八分目にとどめておきましょう。そして、夜にお腹が空いたら、簡単な夜食をこまめに食べるのがおすすめです。
一口サイズのお菓子やおにぎりを枕元に置いておけば、寝たまますぐに食べられますし、夜中に吐き気で目覚めたときにもすぐ口に含むことができます。枕元に水筒やペットボトルの飲み物を準備しておき、少しずつ口にするだけでも食べつわりの対策になりますよ。
冷たい飲み物や柑橘系のジュース、炭酸水で胃の不快感が解消されたという体験談もあるので、自分にあったものを探してみてください。つわりの時期は嗜好が変化することが多いため、今まであまり飲まなかった飲み物を試してみるのもおすすめです。
ただし妊娠中は虫歯になりやすいので、夜に甘いものを食べたあとは、できる限り歯磨きも忘れないでくださいね(※2)。
つわりが夜ひどいときの対処法4. 早めに就寝する

つわりがひどくなってしまう前に眠りにつけば、吐き気を感じる心配が少し減ります。就寝前に温かい飲み物を飲んで血行をよくし、体が眠りにつきやすい状態を作りましょう。音楽や照明で、リラックスできる環境を作るのもおすすめです。
つわりがきつくて眠れないからとスマホやテレビを見ると、目が冴えて余計に眠れなくなってしまうので、小説や雑誌を読む方がいいでしょう。
つわりが夜ひどいときの対処法5. 医師に相談する

毎晩眠れないほどつわりがひどい場合には、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。睡眠不足になるとさらに気持ち悪くなり、日中の生活にも支障が出てきます。
つわりが重い場合には妊娠悪阻の可能性もあり、入院や治療が必要になるかもしれません。また点滴などで、つわりの症状を緩和することもできます。「まだ大丈夫」と思いすぎず、無理をしないことが大切です。
つわりが夜ひどいとき、眠れずにきついときは無理をしないで

妊娠中はほとんどの人がつわりを経験します。妊娠による体の変化なので、あらかじめ防ぐことは難しいものです。
しかし、妊娠中ずっと続くわけではなく、安定期に入れば落ち着く人がほとんど。特に、夜につわりが悪化する人は日中に無理をしないことが大切ですよ。家族やパートナーにも協力してもらいながら、乗り越えられるといいですね。