妊娠初期の立ち仕事にリスクはある?妊婦は立ちっぱなしに注意

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

妊娠すると「とにかく体を大切にしなくてはいけない」とわかってはいても、すぐに気持ちや生活スタイルを切り替えるのは難しいですよね。そのなかでも、仕事との両立を心配している人は多いのではないでしょうか。特に立ち仕事をしている妊婦さんは、妊娠初期に続けてもいいのかかどうかなど、不安があると思います。そこで今回は、妊娠初期に立ち仕事をすることによるリスクや注意点をご説明します。

妊娠初期は流産する確率が高いの?

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妊娠初期というのは、「妊娠15週末まで」の期間のことをいいます。まだお腹のふくらみは目立たないものの、赤ちゃんの中枢神経や器官、胎盤などが作られる大切な時期です。

妊娠初期のうち、特に妊娠12週までは流産が起こる確率が高く、自然流産全体の約80%を占めます※1,2)。

この「早期流産」は、染色体異常など胎児側に原因があるか、原因不明であることがほとんどで、ママの努力によって防げるものではありません。

妊娠初期には、立ち仕事をするしないに関わらず、流産してしまう確率が高いことをまずは知っておきましょう。

妊娠初期の立ち仕事で流産リスクは高まる?

リスク

妊娠初期には、流産だけでなく、流産の一歩手前の状態である「切迫流産」が起こるリスクもあります。切迫流産が起こる原因は、特定できないことがほとんどなので、流産と同じくママの努力では予防できないものです。

立ち仕事と流産の因果関係を示す科学的データはなく、立ち仕事が直接的に流産を引き起こすとは考えられていませんが、長時間立ち続けで足がむくむ、お腹の張りを感じる、というときは休憩をとるように心がけてくださいね。

ただし、下半身が冷えすぎて子宮の血行が悪くなると、胎児に十分な栄養や酸素を送れなくなり、胎児の発育に悪影響を与える可能性も考えられます。

長時間立っていることで血行が悪くなり、冷えにつながることもあるので、適度に休憩を取りましょう。

妊娠初期の立ち仕事は胎児の発育に影響する?

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オランダのエラスムス大学医療センターの研究によれば、販売員や保育士、教員など長時間の立ち仕事をしていた妊婦さんの場合、生まれてきた子供の頭囲が平均より1cmほど小さく、出生体重が148~198g少なかったことがわかりました(※3)。

ただし、「妊娠中の重労働・長時間労働と、胎児の発育の遅れや早産との間に、強い関連性があるとはいえない」と結論づけられています(※3)。

これは一つの研究結果なので、これだけで妊娠初期の立ち仕事の良し悪しを決めることはできませんが、妊娠初期は特に、自分の体調を気遣いながら無理のない範囲で働くようにしましょう。

妊娠初期に立ち仕事をするときの注意点は?

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立ち仕事かそうでないかに関わらず、妊娠したことがわかったら、できるだけ早いうちに、上司には報告をしましょう。

一般的には「安定期に入るまでは他人には報告しない」という人が多いですが、働き方を考慮してもらうという意味でも、一足先に上司だけには報告しておくことをおすすめします。

また、切迫流産の兆候がある場合には自宅で安静に過ごすよう医師から指示されることもあるので、妊娠したら安定期を待たずに上司に伝えておくと良いでしょう。

あらかじめ共有しておくことで、退職や産休に入ったときの人員配置を検討することができるので、働く妊婦さんのひとつのマナーともいえます。

退職や産休に入った際の、人員配置にも迷惑をかけずに済むので、働く妊婦さんのひとつのマナーともいえます。

立ち仕事を全くしてはいけないということではないですが、長時間に及ぶ場合はやはり注意が必要です。一口に妊娠といっても、妊婦さんの体力など個人差があるので、「立ち仕事は、○時間以内にしなくてはいけない」というようなルールは職場に課せられていません。

一日中立ちっぱなしにならないよう気をつける、休憩をこまめに取る、お腹に張りを感じたり、立ちくらみ・めまいがあったりしたら休ませてもらうなど、自分に合った対策を取るように工夫しましょう。

妊娠中に職場で仕事の配慮をお願いしたいときは?

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妊娠初期に関わらず、妊娠中にどうしても立ち仕事がきついと感じる場合には、上司に配属先を変えてもらうなどの相談をしましょう。

そのときは、医師に相談して、診断書をもらったり、母子手帳にある「母性健康管理指導事項連絡カード」を記入してもらったりするとスムーズです。

このカードは、妊婦さんが医師から「ラッシュアワーを避けての通勤」や「適宜の休養」などの指導を受けた場合に、その内容を勤務先へ明確に伝えるためのものです(※4)。

妊娠中に医師からそのような指導を受けた場合、会社側が勤務時間の変更や仕事量の軽減などを配慮することは、男女雇用機会均等法でも定められているので、遠慮せず申し出ましょう(※5)。

周りにどうしても気を使ってしまうかもしれませんが、お腹にいる赤ちゃんを守るための行動を取ることができるのは、ママだけですよ。

妊娠初期の立ち仕事で、無理は禁物!

立ち仕事

これまで立ち仕事を続けてきた女性が、妊娠をきっかけに急に仕事内容を変えるのは難しいですよね。その一方で、胎児への影響も気になるところだと思います。

妊娠初期に立ち仕事をしているからといって、それが直接胎児に悪い影響を与えるわけではありませんが、心身ともにデリケートな時期なので、無理は禁物です。

つわりなどの症状がつらいときは、いつも以上に自分の体と向き合いながら、なるべく快適に過ごせる工夫を心がけるようにしてくださいね。

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