流産の一歩手前である「切迫流産」と診断されると不安も募りますが、医師の指示に従って安静にしていれば妊娠を継続できる可能性があります。入院して点滴を打つなどして安静に過ごすことが大切ですが、入院が長期にわたる可能性があるため、どのくらいお金がかかるのかについても気になりますよね。そこで今回は、切迫流産で入院した場合に、入院費用にいくらくらいかかるのか、保険適用されるのかなどをご紹介します。
そもそも切迫流産とは?
切迫流産とは、胎児が子宮内に残っていて、流産の一歩手前の状態のことです。
流産は妊娠の早い時期に赤ちゃんが亡くなってしまうことを意味し、流産の場合は妊娠を継続することができませんが、切迫流産だと妊娠を継続できる可能性があります。症状によっては入院して安静に過ごすなどの経過観察で、対処していくことになります(※1)。
切迫流産の入院費用はいくら?健康保険は適用される?
切迫流産で入院する場合、入院期間は人によって異なり、1週間程度で退院できることもあれば、数ヶ月以上入院することもあります。その間、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
入院している間は、治療に関わる「治療費」と1日3食の「食費」、1人部屋などを希望する場合は「差額ベッド代」が必要となるのが一般的です。
ただ、切迫流産のような妊娠に関わるトラブルで治療が必要だと医師が判断した場合は、健康保険が適用されます。そのため、治療に関わる費用の負担額は3割で済みます(※2)。しかし、食費は一部負担が必要で、差額ベッド代は保険が適用されず全額自己負担になるので注意しましょう。
治療費、食費、差額ベッド代の詳細は以下の通りです。
治療費
切迫流産の治療は、基本は安静にすることです。しかし、妊娠16週以降で子宮収縮がある場合は、子宮収縮抑制剤が点滴されることもあります(※3)。治療内容によっても異なりますが、1日あたりの治療費は5,000円~10,000円くらいが目安のようです。
食費
入院している間は、基本的に1日3食の食事が出ます。体調の回復状態を見ながら、必要な栄養を摂ることができる食事を出してもらうことができますよ。
入院時の食費負担額は1食単位で決まっており、1食あたりの負担額は平成30年4月1日からは460円です。ただし住民税非課税世帯の場合は負担額が210円か100円です(※4)。詳しくは加入している健康保険の窓口に問い合わせてみましょう。
差額ベッド代
多くのベッドがある大部屋ではなく、1人部屋などの「特別療養環境室」と呼ばれる病室で入院したい場合は、差額ベッド代を全額自己負担で支払わなければいけません。
特別療養環境室とは以下のような部屋のことを指します(※5)。
● 病室の病床数は4床以下であること
● 病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上であること
● 病床のプライバシーを確保するための設備を備えていること
● 少なくとも「個人用の私物の収納設備」、「個人用の照明」、「小机等及び椅子」の設備があること
厚生労働省によると、平成26年7月1日時点での、平均的な1日あたりの差額ベッド代は以下の通りです(※6)。
● 4人部屋:2,509円
● 1人部屋:7,812円
また差額ベッド代は、地方にある病院より都市部にある病院の方が高い傾向にあるようです。
切迫流産の入院費用に民間の医療保険は適用される?
個人で加入する民間の医療保険では、入院特約をつけられます。そのため、切迫流産による入院でも保険の適用対象となる場合があるので、契約内容を見返すか、保険会社に問い合わせて保険の適用対象になるのか確認してください。
もし加入している入院特約が適用されるようであれば、入院給付金を請求するにはどんな手続きをしないといけないのか、どのくらいの金額が給付されるのかなど気になる点を保険会社に確認しておきましょう。
切迫流産の入院費用に適用できる高額療養費制度とは?
入院期間が長期にわたると入院費用もかさんでいきます。「入院期間が長引いて入院費用が高額になったら、どうしよう…」と不安になるかもしれませんが、その場合には健康保険の高額療養費制度が適用される可能性があります。
高額療養費制度とは、ひと月(月の初めから終わりまで)で入院や長期の治療で医療費が決められた上限を超えた場合に、その超えた分の医療費が払い戻される公的医療保険の制度です。
公的医療保険とは、具体的には健康保険組合、協会けんぽの都道府県支部、市町村国保、後期高齢者医療制度、共済組合などです。
高額療養費制度の医療費の上限額は、年齢や所得によって変わります。
また、高額療養費制度には、世帯のメンバーそれぞれが払った自己負担額を合算させる「世帯合算」や、直近の1年間に高額療養費を3回以上支給されていたら適用される「多数回該当」といった仕組みがあります。
入院中の食費や差額ベッド代は、高額療養費制度において支払った医療費としてカウントされないので、注意してください(※7)。
高額療養費制度は複雑で分かりにくいところも多いので、加入している公的医療保険の相談窓口に一度問い合わせて、不明な点を聞いておくようにしましょう。
切迫流産の入院費用は病院に確認をとろう
これまでに述べた切迫流産の入院費用は、あくまでも目安です。病院や診察内容によって金額は変わるので、正確な金額については入院する前に確認しておくと安心です。
切迫流産の入院費用は入院日数によっては高額になってしまいますが、健康保険や医療保険を活用することでかなりの金額を抑えることができます。切迫流産は安静が何より大事なので、お金の不安なく、しっかりと治療に取り組めるといいですね。