授乳中に妊娠したい!排卵はしているの?妊娠検査薬は使える?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

「年子は大変」「年子はラク」など、年の近い兄弟姉妹に関してはいろいろな意見があります。最近は仕事復帰やママの年齢といったさまざまな理由で、すぐに次の子がほしいと考える夫婦も増えています。今回は、授乳中の妊娠について、そもそも妊娠ができるのか、妊娠の確率を高める方法、注意点をご紹介します。

授乳中のママの体はどうなっているの?排卵している?

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赤ちゃんに母乳を与えるときに乳頭を刺激されると、母乳の生成を促すホルモン「プロラクチン」が分泌されます(※1)。このプロラクチンには、排卵を抑える働きもありあす。そのため、母乳育児中しばらくの間は生理が来ません。

個人差は大きいですが、一般的に、母乳育児のママは産後3~4ヶ月頃、ミルク育児のママは産後2ヶ月頃に生理が再開することが多いとされています。ただし、産後初の生理は、排卵が伴わない無排卵月経となることもあります。(※1)。

他の動物よりも妊娠期間が長く、1回の妊娠で原則1人の子供を生む人間は、種を保存するために、母親が子育てに集中できるよう、一定期間あえて妊娠しにくい状態をつくりだしているのです。

授乳中でも妊娠できる?

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排卵が再開すれば、授乳中であっても妊娠はできます。産後初めての生理が来る前の排卵の時期に性交し、タイミングが合って、いつの間にか妊娠していた、という人もいます。

ただし、前回の出産で酷使した子宮を休めるためには、次の妊娠まで最低でも半年~1年(帝王切開の場合は最低でも1年以上)はあけるのが望ましいとされています。

また、排卵日の予測が欠かせない産み分けや不妊治療を希望するときには、断乳や卒乳を済ませて規則的な生理が戻った後に妊活を開始する方がいいでしょう。

授乳中に妊娠したいときに確率を高める方法はあるの?

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授乳中でも排卵が起きれば妊娠することはできますが、プロラクチンの分泌量やママの体質などによって、妊娠が成立する条件には個人差があります。より確実に妊娠を目指すなら、早くに母乳育児をやめてミルク育児に切り替えて、排卵を再開させる必要があります。

急に断乳をするのは難しいので、少しずつ授乳の回数を減らすのも一つの方法です。夜間だけ断乳をしてホルモン分泌を抑えると、排卵を伴う生理再開が早くなりやすいともいわれています。

また、前回の妊娠・出産から月日が浅いとまだ体力が回復しきっておらず、さらに日々の育児で疲れが溜まっている状態のため、妊娠を目指すときには、栄養バランスの良い食事をしっかりとって、体力をつけておくことも大切です。

授乳中に妊娠したら、どんな兆候がある?妊娠検査薬は使える?

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妊娠の兆候や初期症状は人それぞれですが、授乳中の妊娠では、ホルモンバランスの変化により母乳が多少出にくくなったり、授乳時に乳首や下腹部に痛みを感じたりすることがあります。吐き気や頭痛などつわりの症状が早い段階で出る人もいます。

「授乳中は妊娠検査薬が使えないのかな?」と心配する人もいますが、授乳に関係するホルモンと妊娠判定に必要なホルモンは別のものなので、妊娠検査薬は正しく使えばきちんと反応します。

授乳中に妊娠したときの注意点は?上の子への授乳をやめるべき?

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授乳中に妊娠したときに、上の子の授乳を続けてもいいのか心配になることもありますよね。

授乳によって分泌されるプロラクチンには子宮収縮作用があり、出産によってふくらんだ子宮を元の状態に戻す働きを持っています。

授乳中に妊娠して切迫流産や切迫早産になった場合、授乳によって子宮が収縮してしまうと、流産や早産につながる恐れもあります。そのため、病院の方針によっても異なりますが、切迫流産や切迫早産と診断された場合や、前回の妊娠の経過によっては、断乳するように指導されることもあります。

現在の体調や前回の妊娠経過に問題がなく、医師から特別な指示がなければ、基本的に無理に断乳をする必要はありません。下の子が生まれてから上の子と同時期に授乳するママもいます。

いずれにしても自己判断をせず、まずは医師の指示を仰ぎましょう。また、授乳中に下腹部の張りや出血などの異常が見られたときには、医師や助産師に相談しましょう。

授乳中に妊娠して上の子に断乳するときの注意点は?

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授乳中に妊娠して断乳を選択する場合、1歳未満の赤ちゃんは少しずつミルクに切り替え、1歳以上ならフォローアップミルクや離乳食をメインにして、少しずつ母乳をあげる回数を減らしていきましょう。

その際、上の子の精神的ケアをしっかりしてあげること、乳腺炎予防のケアをきちんと行うこと、家族の協力を得ることが大切です。

また、妊娠によるホルモンバランスの変化で、母乳の分泌が少なくなったり味が変わったりすることもあり、赤ちゃんのほうから自然に卒乳するケースも少なくありません。その場合は、流れに任せて卒乳してしまうのも、ひとつの方法です。

長く母乳をあげたいという気持ちがある一方で、早く妊娠したいと思うと、授乳を継続するかどうかは複雑な問題ですが、正解はありません。自分自身で納得できる方法を選んでくださいね。

授乳中の妊娠はママの体や心を整えてから

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授乳中に妊娠すると、上の子の母乳育児をやめるのはかわいそう、と感じるかもしれません。赤ちゃんに合わせてミルクや離乳食を組み合わせていけば、自然と卒乳できることもありますが、なかなか難しいこともあります。

妊娠中も母乳育児を続けたい場合は、医師と相談してみましょう。

授乳中に妊娠を望むときは、ママの体や心の状態にもしっかりと目を向けることが大切です。産後のダメージが残っていて、毎日の育児が大変な状態で妊娠をすると、妊娠初期の体調不良が重なって、さらにつらい状態になってしまうこともあります。

パートナーや家族のサポートも受けられるように、周囲にも相談の上で家族計画を進めていけるといいですね。

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