二人目出産で上の子はどうする?妊娠中のケア方法は?

監修専門家 臨床心理士 佐藤 文昭
佐藤 文昭 おやこ心理相談室 室長。カリフォルニア臨床心理大学院臨床心理学研究科 臨床心理学専攻修士課程修了。米国臨床心理学修士(M.A in Clinical Psychology)。精神科病院・心療内科クリニ... 監修記事一覧へ

二人目の出産が近づいてくると、お腹の赤ちゃんのことだけでなく、上の子のことについても気になり始めますよね。出産時や入院中に上の子をどうするのか、退院後はどのように接したらいいのかなど、疑問や不安は尽きません。今回は、二人目を出産するときの上の子のケア、妊娠中や入院中の接し方についてご紹介します。

二人目出産のとき上の子はどうする?

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ママが二人目を妊娠してしばらくは、赤ちゃんが生まれてくることに実感が持てなかった上の子も、出産予定日が近づいてくると、だんだんとお兄ちゃんやお姉ちゃんらしさが出てきます。赤ちゃんを迎えることを楽しみにしたり、お腹の大きいママのことを気遣うようになったり。

それでも、いざ赤ちゃんが生まれると、環境の変化にとまどい、わがままを言って、甘えん坊になることもあります。

出産後のママは、赤ちゃんのお世話や体力の低下のせいで、なかなか上の子のケアができないものですが、パパや周りの人と協力しながら、できるだけ上の子に寄り添ってあげるようにしましょう。

また、二人目を出産してからではなく、妊娠中から上の子との接し方を気にすることで、弟や妹が生まれたときの上の子の心境に違いが出るともいわれています。

二人目妊娠中の上の子と接し方は?

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上の子が赤ちゃんの存在をスムーズに受け入れられるかどうかは、二人目の妊娠が判明したときからの上の子に対するケアで変わってきます。

妊娠初期に、つわりがひどく体調の悪い日が続くと、それまでと同じように上の子のお世話ができなくなります。上の子は、その状況を敏感に感じ取り、不安になってしまうものです。

また、妊娠中期や後期も、ママはお腹が大きくなることで思うように体が動かなくなり、それまでより出かけたり遊んだりする時間が減ってしまうため、上の子は寂しい思いをしてしまうことも。

体調が悪いときは無理をしないのが一番ですが、それでも上の子への愛情表現は積極的に行うようにしましょう。家で絵本の読み聞かせをする、お昼寝のときに添い寝をする、ぎゅっと抱きしめるなど、近くにいる時間やスキンシップをたくさんとることで、上の子の不安な気持ちは少しずつ和らいでいきますよ。

二人目出産の入院中は、上の子のケアはどうしたらいいの?

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二人目を出産して入院中は、パパや祖父母に上の子のお世話を頼むことがほとんどです。できるだけ毎日病院に連れてきてもらって、上の子と一緒にいる時間を多くとってあげましょう。

ママが家にいなくて寂しい思いをしているので、頑張っていることをいっぱい褒めてあげると安心しますよ。また、赤ちゃんを抱っこさせてあげると、お兄ちゃんやお姉ちゃんになった実感がわいてくるはずです。

ただし、帝王切開や難産で産後の体調がすぐれないときは、無理に上の子と会う必要はありません。元気がないママの姿を見て、余計に心配になってしまう子もいます。入院中にしっかりと体力を回復させて、退院後に笑顔で会えるといいですね。

また、病院によっては、小学生未満の子供は面会を禁止しているところもあります。その場合は、電話をしたり手紙を書いたりして、上の子とコミュニケーションをとるようにしましょう。

二人目出産の退院後は、上の子のケアはどうしたらいいの?

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家に戻った後は、いよいよ赤ちゃんと上の子との生活がはじまります。ママをはじめ、パパや祖父母もどうしても赤ちゃんに目がいきがちですが、上の子はそんな周囲の行動を見ると、寂しい気持ちになってしまいます。できるだけ上の子を優先した行動を心がけられるといいですね。

名前を呼ぶ順番やお風呂の順番など、ちょっとしたことに気を遣ってあげるだけで、上の子の不安を和らげることができます。また、上の子の名前を積極的に呼ぶようにして、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢しなさい」「もっとしっかりしなさい」という叱り方は避けるようにすることもポイントです。

産後1ヶ月経って外出ができるようになったら、ときには赤ちゃんをパパにみてもらい、上の子と二人だけの時間を持つと、上の子の気持ちが落ち着きますよ。

二人目出産後に上の子が赤ちゃん返りをしたらどうしたらいい?

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「赤ちゃん返り」とは、これまでは独占できていた親からの愛情を、もう一度自分が赤ちゃんに戻ることで取り戻そうとする子供の退行行動です。

「これまではできていたことをやらない」「怖がりになる」「駄々をこねることが増える」など、主張や要求が強くなり、ママを困らせるようなアピールをします。

赤ちゃん返りの有無や程度には個人差がありますが、2歳以降の子供によく見られ、二人目の出産や職場復帰、卒乳のタイミングで起こりやすいといわれています。

赤ちゃん返りは、第一子がお兄ちゃんやお姉ちゃんになるために必要なステップであり、自然な行動です。二人目出産後に上の子が赤ちゃん返りをしたら、あわてずに、まずはその行動の意味を理解し様子を観察しましょう。

二人目のお世話をしているときに赤ちゃん返りをされると大変ですが、上の子が寂しいと感じたり、ママと一緒にいたいと思ったりしているサインなので、しっかり受け止めてあげることが大切です。ゆっくり対応していけば、自然と落ち着いてきますよ。

ここでは、下の子との年齢差による、上の子の行動変化をご紹介します。

年齢差ごとの上の子の行動

年子(1歳差)

まだ自分をコントロールできない時期なので、赤ちゃんに激しいライバル意識を持って嚙んだりつねったりする子もいれば、全く異質なものとして存在を受け入れる子もいて、大きく2パターンに行動が分かれます。

家の中は大小二人の赤ちゃんがいる状態で、上の子が2歳を過ぎるまでは落ち着かない日々が続きます。

2~3歳差

上の子は、赤ちゃんの存在を認識し、お世話をしたがる一方で、自分のママ・パパを赤ちゃんに取られたと感じ、赤ちゃん返りを起こす子が多くいます。

上の子に「あなたが大切だよ」と意識的に伝え、たくさんスキンシップをとりましょう。特に3歳頃の子供は、我慢を覚えてわがままを言えずにふさぎこみ、夜泣きをする子もいます。子供のちょっとした変化も見逃さないようにしたいですね。

4歳差以上

年の差が4歳以上になると、上の子もある程度自立しているので、積極的にママのお手伝いをしてくれるようになります。上の子がしっかりしていると、ついママも任せてしまいがちですが、ママに頼られることが上の子のストレスになってしまうこともあり、夜尿症やチック症が出てしまうことも。

ママが先回りをして上の子の気持ちを察してあげ、愛情や感謝の気持ちをたくさん伝えてあげてくださいね。

二人目妊娠中・出産後も上の子との時間を大切にしよう

二人目を出産した直後はママの体調も不安定なので、意識的に上の子をケアするのは大変です。しかし、この時期の上の子は弟・妹ができたことであらゆることに敏感になっているため、できるだけママが優しく接してあげるようにしましょう。

赤ちゃんが生まれる前と変わらず愛しているということが伝われば、上の子も安心して過ごすことができますよ。

パパや祖父母と協力して上の子のケアをしてあげながら、家族一緒に楽しく二人目の育児ができるといいですね。

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