産後の食事で摂りたい栄養素は?食べ物や食生活の注意点は?

記事監修 管理栄養士 渡辺 亜里夏
渡辺 亜里夏 神奈川県立保健福祉大学卒業後、予防医学に興味を持ちドラッグストアへ就職。その後独立し、現在はフリーランスの管理栄養士として特定保健指導、ダイエット指導、コラムの執筆、企業様での研修などを中心に活動。い... 続きを読む

産後すぐは赤ちゃんのお世話に追われたり、体力が回復していなかったりで、食事のことを細かく考えられないというママが多いですよね。ただ、産後の食事は、母体を妊娠前の体へと戻すためにも大切なもの。そこで今回は、産後の食事で摂取したい栄養素をはじめ、食生活の注意点を宅配の活用方法も含めまとめました。

そもそも、産後の体はどんな状態?

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産後は、出産という大仕事を終えて体力が低下しているほか、急激なホルモンバランスの変化により体がだるくなることや、昼夜問わずの育児で睡眠不足になりやすくなります(※1)。

また、出産時の出血や悪露の影響で、一時的に貧血状態になり、場合によっては鉄剤を処方されることもあります。授乳による水分不足や、会陰切開・帝王切開の傷が気になって思うようにいきめないことが原因で、便秘になる人も多くいます(※2)。

特に産後6~8週間の「産褥期」に当たる期間は、子宮や体が回復していないだけでなく、体の不調を抱えながらの育児でストレスが溜まりやすい時期です。人によって様々な心身のトラブルが表れやすくなるので、まずは体の回復を重視した生活や食事を意識しましょう。

産後の食事で摂りたい栄養素は?

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厚生労働省は、母乳育児中のママは、通常時よりも350kcal多く摂取することを推奨しています。特に、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。何かひとつの栄養素を多く摂るよりも、相性の良い栄養素と一緒に摂ることで体への吸収率が高くなります。

例えば、鉄分だけを摂るよりも、野菜のビタミンCと一緒に摂ることで吸収率を高めることができます。主食・主菜・副菜を基本に、朝・昼・晩の3回食に上手に取り入れてくださいね(※2)。

産後にお通じの悩みがある人は、きのこや野菜類、海藻類、芋類など、食物繊維を多く含んだものを意識して食べるようにするのがおすすめですよ。

以下に、産後の食事で積極的に取り入れたい栄養素と、18~49歳の女性が1日に摂りたい推定平均必要量を基準に、授乳しているママがプラスして摂りたい必要量をまとめました(※2,3,4,5)。

鉄分

● 推奨量(月経なし):6.0~6.5mg/日、授乳婦:+2.5mg/日

小松菜、ホウレンソウ、まぐろ、ひじき、レバー、あさりなどに多く含まれています。動物性食品に含まれるヘム鉄と植物性食品に含まれる非ヘム鉄をバランスよく摂るのがポイントです。

カルシウム

● 推奨量:650mg/日、授乳婦:+0mg/日

カルシウムは、歯や骨の形成を助ける以外にも体の生理機能を調整し、心を安定させるといった働きがあります。牛乳や乳製品、しらすなどの小魚、高野豆腐、木綿豆腐などの大豆製品、小松菜やチンゲン菜、かぶの葉などの青菜、まいわしなど、様々な食材に含まれています。

タンパク質

● 推定平均必要量:50g/日、授乳婦:+20g/日

肉類、魚類、豆製品、乳製品、卵に多く含まれているので、主菜や副菜に取り入れましょう。ただし、肉類は脂質も多く含んでいるため、豆製品や卵を組み合わせるなどしてバランスよく摂ってください。

ビタミンB1・ビタミンB2

● ビタミンB1…推奨量:1.1mg/日、授乳婦:+0.2mg/日
● ビタミンB2…推奨量:1.2mg/日、授乳婦:+0.6mg/日

ビタミンB1は、大豆(枝豆)、えんどう豆、玄米、豚肉(特にヒレ肉)や魚に。ビタミンB2は、魚介類や肉類に多く含まれ、納豆、鶏卵、牛乳、モロヘイヤ、菜の花、まいたけなどに多く含まれます。

ビタミンC

● 推奨量:100mg/日、授乳婦:+45mg/日

ストレスの緩和や体の免疫力を高め、風邪予防にも効果的なビタミンCは、主に柑橘の果物やパプリカ、ブロッコリー、菜の花などの野菜に多く含まれ、タンパク質や鉄分と一緒に摂ると、効率よく吸収できます。

ビタミンA

● 推奨量:650~700μgRAE/日、授乳婦:+450μgRAE/日

免疫力を向上させるビタミンAは、モロヘイヤ、ニンジン、小松菜、かぼちゃなどの緑黄色野菜、鶏・豚・牛レバー、卵黄に多く含まれていますが、銀ダラといった魚にも含まれています。

ただし、鶏や豚のレバーは、非常に含有量が多く、摂りすぎてしまう場合もあるので、1度の摂取量には注意するようにしましょう。ビタミンAは乳児の成長にも欠かせない栄養素なので、緑黄色野菜やのり、抹茶といった植物性の食品から摂ることを意識できるといいですね。

葉酸

● 推奨量:240μg/日、授乳婦:+100μg/日

妊娠時に意識して摂っていた葉酸は、細胞の再生を助けてくれるため、産後も意識して摂りましょう。アスパラガス、ブロッコリー、ホウレンソウ、納豆、枝豆などに多く含まれます。葉酸は水溶性のビタミンB群に分類される栄養素で、葉酸以外のビタミンB群と一緒に摂ると効率よく吸収できます。

産後の食事を工夫するコツは?

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産後は、長時間キッチンに立つだけでも疲れを感じるもの。宅配サービスを活用したり、簡単に食事を準備できるコツを掴んだりして、なるべく体を休める時間を優先するようにしましょう。

宅配サービスは、通常の食事はもちろん、産後の栄養管理がされているセットを取り扱っているところもあります。冷凍で配達され、解凍すればすぐに食べられるものもあれば、ネットスーパーのように食材がセットになっていて、レシピ通りに炒めるだけで作れるものなど様々。

すぐに食べられるものは、選ぶ会社によって1食400~700円と幅があり、少し費用がかさむことも。まずはお試しをしてみるか、期間を決めて一時的に利用するのもおすすめです。

その他、家で簡単に準備しておくコツを以下にご紹介します。

余分に作って冷凍する

切ったり、ゆでたりといった下処理をした肉や野菜をジップロックやタッパーに小分けして冷凍しておくと、必要な分だけを取り出してすぐに調理することができます。

赤ちゃんがぐっすり眠っているときや、パパに赤ちゃんを見てもらっている間に済ませるのがおすすめ。パスタソースなども冷凍保存できますよ。

「●●するだけ」レシピをストックする

煮込むだけのスープや鍋、混ぜるだけのサラダ、焼くだけのソテーなど、手順が少ない料理は、時間をかけずに調理できます。

あらかじめ、ルーティンで作るものや買うものをまとめておくと、考える時間も少なく済みます。パパに作ってほしいときも、レシピを渡すだけなので楽にできますよ。

産後の食事や食生活で注意することは?

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一般的に、出産すると「赤ちゃん+羊水+胎盤の重さ」として3~5kg減少します。その後は産後3~4ヶ月ほどかけてゆっくりと減少していくので、無理なダイエットは禁物ですよ(※6)。

完全ミルクで育児をしている場合は、母乳によるカロリーの消費がないぶん、食べすぎに注意しましょう(※2)。食事制限をするというよりは、適度な量の食事と、体の回復を待ってから軽い運動をするのがおすすめです。

産後は、まともに食事をする時間がなく、つい糖分の多いお菓子の間食が増えてしまうもの。母乳育児の場合は、糖分や脂肪分により乳腺炎を引き起こす原因にもなります(※1)。

間食をするときは、蒸かしたさつまいもやフルーツといった素材そのものを楽しめるもの、おにぎりを食べるなど、工夫して栄養素が補えるものを摂りましょう。

産後の食事は体の回復を第一優先に考えよう

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産後は、赤ちゃんのお世話に加え、家事やパパの食事の準備などがあり、体の回復に集中できないもの。さらに、すぐに戻らない体型に焦って、過度な食事制限をしてしまいがちですが、まずは体を回復させることを第一優先に考えてくださいね。

パパの食事を毎日準備できないときは、しっかりと理由を伝えて理解してもらいましょう。産後のママの不調は、説明しないとわからないことが多々あります。

子育てだけでなく、家事についても事前にパパと話し合っておけるといいですね。

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