「座薬(坐薬)」といえば、子供の熱を下げる特効薬、というイメージを持つ人が多いでしょう。実際、高熱で病院を受診した際には「熱が下がらないようなら使ってくださいね」と座薬を処方されることが多いもの。しかし、この座薬は、処方してもらってからいつまで使えるものなのでしょうか?今回は、1年前、2年前にもらった座薬は使えるのかといった、座薬の使用期限についてご紹介します。
座薬(坐薬)とは?

肛門から挿入して使う薬のことを「座薬」といいます。
座薬は成分が腸から直接吸収されるため、飲み薬よりも早く確実に効くのが特徴で、飲み薬を服用できない状態にあるときにも有効です。
座薬には様々な種類がありますが、子供が使用するシーンで最も多いのは、発熱したときです。解熱剤の座薬には主に以下のような症状に対して処方されます。
● 38.5度以上の発熱があり、ぐったりしている
● 食欲がなく、水分も補給できていない
● 機嫌が悪く、よく眠れない
ただし、基本的に、座薬には病気を根本から治す効果はありません。また熱が上がっている最中や、寒気の症状があるときに座薬を使っても、適切な効果は見込めません。
解熱剤の座薬は、38.5度以上の発熱で食欲がなく元気がない子供に対し、発熱がピークに達しているときに、熱を一時的に下げるために使用するものです。
座薬には使用期限がある?いつまで使っていい?

座薬には、それぞれ使用期限が設けられており、その期限内であれば使用することが可能です。
ひとことで座薬といっても、いくつものメーカーが異なる座薬を製造しているため、使用期限は薬によって異なります。
一般的に子供の発熱時に使用される、解熱作用のある座薬の使用期限は、以下の通りです(※1,2,3,4,5)。
カロナール坐剤小児用50 | 3年 |
カロナール坐剤100/200 | 5年 |
カロナール坐剤400 | 3年 |
アセトアミノフェン坐剤小児用50/100/200 | 3年 |
アルピニー坐剤50/100/200 | 3年 |
アンヒバ坐剤小児用50 | 3年 |
ただし上記の使用期限は、薬が製造されてからの時間であり、処方されてからの時間ではありません。
使用期限は処方された薬に表示されていないことが多いので、気になる場合は薬局で薬を受け取る際に聞いておきましょう。
座薬の期限以外の注意点は?

座薬を処方されてから時間が経つと、薬の状態や子供の状況が変わってしまうことがあります。自宅に保管しておいた座薬を使う際は、以下の点に注意が必要です。
保管状況
薬は、長期間間違った状況で保管されていると、使用に適さない状態になってしまうこともあります。
解熱剤の座薬の多くは「1~30度の気温で保管すること」とされています。つまり真夏の室内保管には適しておらず、可能であれば、暗所や冷蔵庫での保存が推奨されています(※1,2,3,4,5)。
以前もらった座薬を使う場合は、どのような状況で保管していたかを思い出し、問題ないことを確認してから使用しましょう。
用量
一度に使用する座薬の量は、子供の体重で決まります。そのため、今の体重が処方されたときより大幅に変化している場合は、使用すべき量が処方時と異なることもあります。
自己判断は難しいと思うので、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
副作用
他の薬と比べて多いわけではありませんが、座薬にも副作用があり、じんましん、嘔吐、黄疸などが起こることがあります。
副作用については、座薬と一緒に渡された説明書を事前によく読むか、処方時に薬剤師に確認しておくようにしましょう。使用後は、副作用の症状が出ていないかを確認するのも忘れないでくださいね。
他の治療薬や症状による影響
座薬を使うときに、似たような成分が入っている他の薬を服用している場合、同じ成分が過剰に体内に入ってしまうことで、肝障害が起こることがあります。
また、気管支喘息や血が出やすいといった症状をもっている場合にも、その症状を悪化させてしまう可能性があります。
あくまでも「可能性のひとつ」なので、そのために必ずしも座薬を使用してはいけないということではありませんが、注意が必要です。
座薬は使用期限内に使うようにしましょう

病院で処方される座薬は、「いざというとき」に使うためのものなので、ついつい長期間保管しがちです。
しかし、座薬には使用期間が定められており、その期限をすぎると、薬によっては害を及ぼしてしまう可能性もあります。
もし座薬を長く保管し、使用したいのであれば、処方してもらうときに病院や薬局に相談しておくといいでしょう。保管後、使用する前にも、病院や薬局に相談することができれば、安心して子供に使ってあげることができますよ。