おたふく風邪の出席停止期間は?学校に行くとき登校許可は必要?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

おたふく風邪は、季節を問わず流行する感染症で、特に子供がかかりやすいという特徴があります。学校や幼稚園などで感染しやすく、注意が必要です。今回は、おたふく風邪にかかったときの学校の出席停止期間や、学校に行くときに登校許可が必要なのかについてご紹介します。

おたふく風邪って?

おたふく風邪 流行性耳下腺炎 顎下腺 舌下腺

おたふく風邪(流行性耳下腺炎、ムンプス)は、ムンプスウイルスの感染によって起こります。もっとも特徴的な症状は、耳の下にある耳下腺が炎症を起こし、腫れて痛むことです。また顎下腺(あごの左右の下側)や舌下腺(唇の下)が腫れることもあります。

食べ物や飲み物を口に入れるときに痛み、特に辛いものや酸っぱいものを食べると強く痛みます。発熱や筋肉痛、頭痛といった症状もみられ、耳下腺の腫れのピークとともに熱も上がる傾向があります。

おたふく風邪は通常1~2週間で治まりますが、約10%の人が髄膜炎などの合併症を発症するといわれています(※1)。

おたふく風邪は学校で感染しやすい?

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おたふく風邪にかかるのは、ほとんどが未成年の子供です(※2)。未就学児の方がかかりやすいものの、小学生や中学生、高校生もおたふく風邪にかかることも十分ありえます。

おたふく風邪は学校で感染が広がりやすく、その要因はいくつかあります。

唾液などの飛沫から感染する

ムンプスウイルスに感染すると、唾液や鼻水などの飛沫から、ウイルスが排出されます。

くしゃみで飛んだウイルスが口に入ったり、唾液が付いたドアノブなどを手で触れ、その手で鼻や口を触ることでも感染します。

大人より感染対策の徹底が難しい子供が、比較的狭い空間に大人数がいる学校では、感染が広がりやすくなります。

潜伏期間が長く、発症前から感染力がある

おたふく風邪は、2~3週間の潜伏期間があります(※1)。そのため感染したとしても、症状が出るまでは自分が感染していることを自覚できません。

しかしおたふく風邪は、耳下腺が腫れる1日前から1日後までの3日間が特に感染力が強く、発症の1週間前から発症1週間後まで、感染力を維持しています(※2)。つまり、本人がウイルスを保菌していることに気づかないうちに、周りの人に感染させてしまう可能性があります。

典型的な症状なしに感染していることもある

ムンプスウイルスに感染していても、20~30%はまったく症状があらわれません(※2)。また耳下腺の腫れがなく、通常の風邪のような症状だけで治まる人もいます。

しかしそれらの人もウイルスを排出するので、本人は元気で学校に登校していても、周りの人を感染させてしまうこともあります。

おたふく風邪は出席停止期間がある?

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おたふく風邪は、耳下腺の腫れや血液検査により診断されます。もしおたふく風邪だと判明したら、学校に行くことはできません。

おたふく風邪は、学校安全保険法によって「第二種感染症」に指定されており、耳下腺や顎下腺、舌下腺の腫れが起こったあと5日が経過し、かつ本人の状態が安定するまでは、学校に行くことはできないと定められています(※1)。

つまり、発症から5日が経っていて、熱がなく、本人がつらくないようであれば、学校に行くことができます。ただし実際には、腫れが引くまでは医師が登校許可を出さないケースもあります。

おたふく風邪のあとは学校に登校許可証の提出が必要?

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おたふく風邪にかかったあと学校に行く際、登校許可証の提出が必要かどうかは、ケースバイケースです。

登校許可証は法律で定められているものではないものの、学校によっては医師のサインが入った登校許可証の提出を求められることもあります。学校や、運営している自治体などに確認してみましょう。

おたふく風邪で学校を出席停止中の対処法や治療法は?

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それでは、おたふく風邪にかかって学校を出席停止になっている間は、どんな対処や治療を行えばいいのでしょうか?

おたふく風邪には特効薬がなく、発症したら、症状を和らげる対症療法で治療を行うことになります。発熱や耳下腺の腫れの痛みを和らげるために、解熱鎮痛剤を使用することがあります(※1)。

またおたふく風邪は、耳下腺が腫れて痛み、食欲不振になってしまうこともあります。無理して食べさせる必要はありませんが、脱水症状にならないよう、本人が飲みやすいもので水分を補給することが大切です。

おたふく風邪で学校を出席停止にならないためにすべきことは?

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おたふく風邪はいつの間にか感染してしまうことが多いので、自分では感染を防ぎにくい病気ですが、最も有効な予防策は、ワクチンをあらかじめ接種しておくことです。

予防接種を受けることで100%発症を防げるわけではありませんが、90%ほどが抗体を獲得できます(※1)。また、もしウイルスに感染しても、症状を軽くする効果が見込めます。

ただし、10%以下の確率ではありますが、予防接種を受けた1~3週間後に37.5度以上の発熱が見られたり、1%未満の確率で軽い耳下腺の腫れが見られることがあります(※3)。

おたふく風邪にかかったら学校は出席停止に

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おたふく風邪は感染が広がりやすい病気なので、法律で学校の出席停止期間が定められています。感染が広がるのを防ぐためにも、「元気そうだから」と自己判断せず、出席停止期間を守るようにしてください。

また、感染を予防するためには、あらかじめワクチンの接種をしておくのが効果的です。まだ受けていないという人は、検討してみてくださいね。

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