おたふく風邪で高熱に!熱が出ないことやぶり返すこともあるの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

耳の下が腫れ、おたふくのように顔が丸くなることからその名がついた「おたふく風邪」。発熱や喉の痛みなど、さまざまな症状が見られます。今回は、おたふく風邪であらわれる熱の症状について、高熱になることはあるのか、熱が出ないこともあるのか、熱がぶり返すことがあるのかなどをご紹介します。

おたふく風邪は耳の下が腫れる病気?

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おたふく風邪はムンプスウイルスの感染により起こる病気で、正式には流行性耳下腺炎と言います。

おたふく風邪は、ムンプスウイルスを保有している人の口や鼻から出た飛沫や唾液が付着したものに接触し、口や鼻からウイルスを取り込むことで感染します。その後、12~25日という比較的長い潜伏期間を経て、発症します(※1)。

おたふく風邪のもっとも典型的な症状は、耳の下にある「耳下腺」が炎症を起こすことで、腫れて痛みを伴います。耳下腺の腫れは、片側だけのこともあれば、両側のこともあります。また、「舌下腺」や「顎下腺」が腫れることもあります。

耳下腺の腫れは5~9日続き、食べ物や飲み物を噛んだり飲んだりするときや、すっぱい液体を飲み込んだりするときに痛みます。

ムンプスウイルスに感染した人のうち、20~30%は何も症状があらわれません(※1)。しかし症状がなくても他人にうつす感染力があります。

症状があらわれてもあらわれなくても、一度感染すると、ウイルスに対して免疫がつきます。そのため、その後再びムンプスウイルスに感染することは、原則としてありません。

なお、おたふく風邪は感染力が強いため、発症したあと5日間は、学校や保育園に登校・登園することはできません(※1)。

おたふく風邪は発熱する?熱なしのことも?

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おたふく風邪は、耳下腺の腫れと共に発熱することがほとんどです。

ただし、おたふく風邪の症状の出方は様々で、微熱、もしくは38度くらいの発熱が先にみられ、12~24時間後に耳下腺の腫れが起こることもあります(※1)。

また、耳下腺が腫れるだけで発熱しないことや、発熱だけして、耳下腺は腫れないこともあります。

おたふく風邪で高熱になることもある?

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おたふく風邪は、耳下腺の腫れと共に熱が上がる傾向があります。特に耳下腺が腫れ始めてから24~72時間は、発熱と腫れが強くなり、発熱は39.5~40度に達することもあります(※1)。

おたふく風邪で高熱になると、耳下腺の腫れの痛みもあいまって食欲不振になり、なかなか体力を回復できなくなることもあるので、注意が必要です。

高熱が続いてなかなか回復しないときは、解熱鎮痛剤を使用して一時的に熱を下げたり、痛みを抑えることもできます(※2)。

おたふく風邪は熱がぶり返すこともある?

おたふく風邪で見られる発熱は、多くの場合、耳下腺の腫れと共に起こり、腫れが引くと共に治まります。しかし、解熱したあとに再び発熱したり、腫れが引いても発熱がなかなか治まらなかったりすることもあります。

その場合、下記のおたふく風邪の合併症を発病している可能性があります。

髄膜炎

ムンプスウイルスによる髄膜炎は、耳下腺の腫れが見られた5日後に発症することが多い病気です(※2)。しかし、耳下腺が腫れる前、腫れている間、腫れが治まったあとのあらゆる時期に起こる可能性があります。

髄膜炎を発症した際は、94%に発熱が起こるほか、84%に嘔吐、47%に頭痛が起きます(※2)。多くの場合、これらの症状は7~10日で治まります。

膵炎

ムンプスウイルスが体内に入り、腹部臓器である膵臓で炎症が起きることがあります。

膵炎になると、発熱や嘔吐、膵臓がある上腹部の痛みが生じ、小児の入院が可能な病院での治療が必要となります。

精巣炎

子供に起こることはまれですが、大人の男性がおたふく風邪にかかると、30~40%の確率で精巣炎を発症します(※2)。

精巣炎は耳下腺の腫れの数日後に起こり、発熱や、精巣が腫れることによる激痛が伴います。

おたふく風邪の熱は長引いたら要注意

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おたふく風邪は、耳の下の腫れと発熱が代表的な症状です。高熱になることもありますが、耳下腺の腫れが引くと同時に熱も下がるようであれば、そこまで心配する必要はありません。

おたふく風邪の熱で注意が必要なのは、耳下腺の腫れよりも発熱が長引いたり、一度解熱したあとに熱がぶり返したりすることです。

そのときは合併症が発症している可能性があるので、おたふく風邪が発症してから病院で診てもらっていたとしても、もう一度病院を受診し、状態を診てもらうことをおすすめします。

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