おたふくかぜの予防接種は受けるべき?回数や時期、費用は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

「おたふくかぜ」と聞くと、子どもがかかりやすい病気の一つという印象を持つ人が多いのではないでしょうか。かかっても多くの場合は自然治癒しますが、稀に合併症を引き起こすことがあるため、ワクチンで予防することが推奨されています。

今回は、おたふくかぜの予防接種について、効果や接種回数、時期、費用、副反応などをご紹介します。

おたふくかぜとは?

2歳 男の子 ほっぺ

おたふくかぜとは、ムンプスウイルスに感染して、耳の下にある耳下腺(唾液を分泌する腺)や顎下腺が炎症を起こす病気です。正式には「流行性耳下腺炎」という病名ですが、耳の下が腫れて「おたふくのお面」のようになることから、この名前で呼ばれています。

おたふくかぜにかかりやすい年齢は3~6歳です(※1)。感染力は強いですが、感染しても症状が現れないケースがが30〜35%あります。

ムンプスウイルスに感染して耳の下が腫れると、口を開けたり固い食べものを噛んで唾液が分泌したりするときに痛みが生じます。症状があらわれてから3日目頃までが腫れや痛みのピークで、1週間ほどで治まっていきます(※2)。

おたふくかぜは軽い病気と思われがちですが、髄膜炎や脳炎、難聴、膵炎など、さまざまな合併症を起こし、後遺症を残す可能性があり、予防が大切になります。

特に、髄膜炎の合併は10〜100人に1人の割合でみられるとされていて、決して珍しいことではありません(※2)

おたふくかぜを予防する方法は?

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おたふくかぜを効果的に予防する唯一の方法は、ワクチンです。

ワクチンを1回接種している国ではおたふくかぜの発症者の数が88%、2回接種している国では99%減少していて、ワクチンの効果は極めて高いことがわかります(※2)。

ワクチンの副反応としては、接種後10〜14日後に微熱が出たり、耳やあごのあたりがはれたりする場合がありますが、自然に治ります(※2)。

40,000接種あたりに1人の割合で、無菌性髄膜炎を発症するおそれがありますが、おたふくかぜにかかった場合に比較すると頻度は低く、程度も軽いです(※2)。

おたふくかぜだけでなく合併症からも子どもを守るために、ワクチン接種を受けておくことが大切です。

おたふくかぜの予防接種の回数や時期は?

カレンダー

おたふくかぜワクチンは十分な予防効果を見込むために、計2回の接種が推奨されています(※2)。

接種する時期は、以下となります(※2)。

●1回目:1歳の誕生日を過ぎたら、できるだけ早めに
●2回目:小学校入学前の1年間

定期予防接種のMR(麻しん風しん混合)ワクチンなどと同時接種ができるので、一緒に受けるようにしておくと、予防接種のスケジュール管理がしやすくなりますよ。

おたふくかぜの予防接種の費用は?

おたふくかぜの予防接種は任意接種扱いなので、費用は自己負担です。病院によって金額は異なりますが、一般的に1回の費用は4,000~6,000円です。

地域によっては、おたふくかぜワクチンの接種費用を助成してくれるところもあるので、受ける前にお住まいの市区町村の保健センターやホームページなどで確認してみてくださいね。

おたふくかぜのワクチンは定期接種にならないの?

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現在、おたふくかぜワクチンは任意接種ですが、だからといって重要性が低いわけではありません。そのため厚生労働省は、定期接種化を検討しています(※3)。

かつては任意接種だったB型肝炎やロタウイルスなども定期接種扱いへと変わったので、おたふくかぜも将来的に定期接種へと変わる可能性があります。

ただし現時点では、いつ定期接種扱いになるか、はっきりとした情報はありません。

おたふくかぜの予防接種は集団生活が始まる前に

おたふくかぜは、接触感染もしくは飛沫感染によって子どもたちの間で流行することがあるため、保育園や幼稚園などの集団生活が始まる前に予防接種を受けておくことが大切です。すでに通い始めているという場合は、1歳の誕生日を迎えたらできるだけ早めに1回目の接種を受けることをおすすめします。

任意接種で費用が自己負担のため、「受けなくてもいいかな」「定期接種になるまで待とう」と思うこともあるかもしれません。しかし、髄膜炎や難聴などの合併症を引き起こすリスクを低減させるためにも、早めに予防接種を受けておたふくかぜから子どもを守りましょう。

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