おたふく風邪で保育園にはいつから行ける?登園禁止期間は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

その名の通り、顔がおたふくのように腫れてしまう「おたふく風邪」。感染が広がりやすく、特に保育園や幼稚園のなかで流行することが多い病気です。今回は、子供がおたふく風邪にかかったら保育園に行けない「登園禁止期間」はどのくらいあるのか、登園する際に登園許可証が必要なのかについてご紹介します。

おたふく風邪とは?

おたふく風邪 流行性耳下腺炎 顎下腺 舌下腺

おたふく風邪は、正式には「流行性耳下腺炎」、もしくは「ムンプス」という名前の感染症です。「ムンプスウイルス」という唾液腺に感染するウイルスが病原体で、ウイルスを持つ人の鼻や口から出た飛沫により感染します。

おたふく風邪は、ムンプスウイルスに感染してから12~25日、通常16~18日の潜伏期間を経て、筋肉痛や食欲不振、頭痛、発熱がみられます(※1)。

その後、耳の下にある「耳下腺」が腫れてきます。耳下腺の腫れは、片側だけのことも、両側のこともあります。また耳下腺のほか、あごの下にある「顎下腺」や、舌の下にある「舌下腺」が腫れることもあります。

おたふく風邪による耳下腺の腫れは、5~9日続きます。腫れが進行している間は、39.5~40度の高熱が伴うこともあり、その間は耳下腺が特に痛みます(※1)。

ただし、ムンプスウイルスは不顕性感染(感染しても症状があらわれないこと)が多いという特徴があり、感染者の20~30%は無症状です(※1)。特に2歳未満で感染した場合は、大部分が不顕性感染です。

耳下腺の腫れなどがあらわれた場合だけでなく、不顕性感染の場合も、ムンプスウイルスに対する免疫を得られます。一度免疫を得ると再びムンプスウイルスに感染することはほとんどないので、知らない間に免疫を得ていて、一生おたふく風邪の症状があらわれないという人もいます。

おたふく風邪は保育園で流行しやすい?

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おたふく風邪は、感染者全体の約60%を3~6歳の子供が占めており、特に未就学児に多く発症する病気です(※2)。

さらにおたふく風邪は、前述のとおり飛沫でウイルスに感染します。

たとえば、保菌者のつばが手につき、その手で口や鼻を触ることで感染します。

大人より感染対策が徹底しにくい子供がたくさん集まる保育園のような環境では、感染が広がりやすい病気といえるでしょう。

また、おたふく風邪は耳下腺が腫れる7日前から7日後まで、唾液中にウイルスを含んでおり、特に発症1~2日前から発症5日後までは強い感染力を持ちます(※1)。

そのため、おたふく風邪が発症する前に周囲に感染させてしまう可能性も十分にあり、これも、保育園で感染が広がりやすい一因となっています。

おたふく風邪の保育園の登園禁止期間は?

カレンダー 日付 期間

おたふく風邪は、学校保健安全法で出席停止期間が定められている、第二種の学校感染症に指定されています。

おたふく風邪になると、耳下腺、顎下腺、舌下腺の腫れがはじまってから5日が経過し、全身の状態が良くなるまでは、保育園に行くことができません。医師が感染のおそれがないと認めたときは、5日より早く登園することもできるものの、とても稀なケースです(※1)。

自己判断はできないので、5日より早く登園をさせたいときは、医師にきちんと確認するようにしてください。

おたふく風邪は保育園の登園許可証が必要?

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登園許可証は法律で定められているものではありませんが、厚生労働省によると、おたふく風邪は「医師が記入した意見書が望ましい感染症」に指定されています。

そのため、おたふく風邪が治った後に登園する際、登園許可証の提出を求められることもあるようです。

登園許可証の提出を求められるかどうかは、保育園や運営する自治体によって異なります。通っている保育園に直接問い合わせてみてください。

おたふく風邪に保育園でかからないためにはどうしたらいい?

おたふく風邪を予防するためには、ワクチンを接種するのが一番効果的です。おたふく風邪のワクチンは生後12ヶ月以上で接種が可能で、生後24~60ヶ月の間に接種するのが望ましいとされています(※1)。

ワクチンは、1回の接種で80%程度、2回の接種で90%程度、発症を防ぐ効果があります(※1)。2回目の接種はMRワクチンの2回目と同時の、5~6歳で受けることが推奨されています。

前述したとおり、おたふく風邪は発症する前から感染力が強く、不顕性感染もあるため、自身の努力で感染を防ぐのは難しいのが現実です。予防接種は早めに受けておきましょう。

おたふく風邪は保育園の登園禁止期間に注意

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前述したとおり、おたふく風邪にかかると、しばらくの間保育園に行けなくなってしまいます。ワクチンを接種するのが一番の予防策なので、予防接種を受けることを検討してみてくださいね。

また、感染したら自己判断で保育園に登園するのは控え、登園禁止期間は守るようにしましょう。

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