一年を通じて発生する可能性がある「百日咳」。子ども、特に新生児や乳児が百日咳に感染すると、大人とは違ったリスクがあることをご存知でしょうか。
そこで今回は、子どもを持つママ・パパが知っておきたい百日咳の症状や治療法、予防法についてご紹介します。
百日咳とは?症状は?
百日咳とは、百日咳菌への感染によって起こる、激しい咳が特徴の感染症です。生後6ヶ月以下の子どもがかかると命を落とす危険がある病気で、咳やくしゃみによって他者に感染します。
百日咳は、カタル期、痙咳期(けいがいき)、回復期という3つの期間を通して、症状が変化していきます。
カタル期(約2週間)
百日咳は通常7〜10日ほど(最大20日)の潜伏期間を経て発症します。軽い咳や鼻水といった風邪に似た症状からはじまり、次第に咳の回数が増えて、咳込みが激しくなります(※1)。
痙咳期(2~3週間)
顔が赤くなるまで「コンコンコン」と短い咳が連続して出るようになります。息を吸い込むときに笛のような「ヒュー」という高い呼吸音が鳴るのが特徴です。顔面を紅潮させることも特徴となります
呼吸困難が起こって肺炎になることもあります。乳幼児ではこのような咳が見られず、息を止めているような無呼吸発作から、けいれん、呼吸停止などにつながることもあります。
回復期(2~3週間)
ときどき発作性の咳が起きますが、基本的に咳は徐々に治まっていきます。完全に咳がでなくなるまで2〜3ヶ月かかります。
子どもが百日咳になったときのリスクは?
免疫力がない赤ちゃんが百日咳にかかると、さまざまなリスクが生じます。
たとえば、赤ちゃんが百日咳によって呼吸困難になると、無呼吸発作や肺炎などをおこし血液中の酸素が不足して体が青紫色になるチアノーゼになったり、脳炎となってけいれんを起こしたりします。最悪の場合、命を落とす恐れもあります。
厚生労働省によると、子どもが百日咳にかかった場合に死亡する確率は0.2%、月齢6ヶ月以下の赤ちゃんがかかった場合に死亡する確率は0.6%、子どもが百日咳により肺炎になる確率は約5%、月齢6ヶ月以内の赤ちゃんが肺炎になる確率は約12%とされています(※2)。
また、百日咳によって脳症が起こると、赤ちゃんに脳障害が残る恐れがあります。
子どもが百日咳になったときのリスクは?
免疫力がない赤ちゃんが百日咳にかかると、さまざまなリスクが生じます。
厚生労働省によると、子どもが百日咳にかかった場合に死亡する割合は0.2%、月齢6ヶ月以下に限れば0.6%となっています(※2)。
百日咳により肺炎になる割合は約5%、月齢6ヶ月以内では約12%とされています。
肺炎以外にも脳症などの重い合併症を引き起こすこともあり、注意が必要な病気です。
百日咳にかかった子どもの治療法は?
百日咳になると、抗生物質で治療が必要になります。乳児が百日咳にかかり、ミルクが飲めない、顔色が悪い、無呼吸などの症状がある場合は入院することもあります。
最低でも5日間薬をしっかり飲むことで、感染した人から百日咳菌が排出されなくなります。早く良くなるためにも、医師から指示された間は用法用量を守って飲むことが大切です。
百日咳に子どもが感染しないようにする予防法は?
百日咳の予防のためには、五種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、ヒブ)あるいは四種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)を4回接種する必要があります。
ワクチン接種の時期は生後2ヶ月からで、自治体からお知らせが来るので忘れないようにしましょう。
ただし、百日咳のワクチン接種による免疫は小学校入学前に少なくなってくることがわかっていいます(※3)。
そのため、日本小児科学会は5歳以上7歳未満(小学校入学の1年前)の時期に追加でワクチンを任意接種することを推奨しています。
また、子どもの百日咳は、同居している家族から感染することもあります。子どもに百日咳菌を移さないように、手洗いとうがいを徹底し、咳が続くときは早めに病院を受診しましょう。
子どもの百日咳はかかる前に予防しよう
百日咳は、子どもの命を奪う可能性を持った危険な病気で、かかる前に予防することが大切です。
住んでいる地域の地方自治体から予防接種の通知が来たら、決められた期日内に必ず受けるようにしてくださいね。