産後の肥立ちとは?疲れやすいの?動悸の原因と対処法は?

記事監修 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 続きを読む

産後の体は、回復までに時間がかかります。産後は疲れやすく、動悸や息切れが起こりやすいにもかかわらず、育児や家事が気になってゆっくり休めないこともありますよね。しかし、産後の体調不良を軽く考えてしまうと、長引くこともあるので気をつける必要があります。今回は、産後の肥立ちについて、どんな状態なのか、いつまで続くのか、主な症状に加え、動悸の原因や対処法をご紹介します。

産後の肥立ちとは?

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産後の肥立ちとは、「産後、日を追うごとに体の不調が回復すること」を意味します。産後すぐは、出産で負った体へのダメージを回復しようとする「産褥期(さんじょくき)」に入りますが、この間、ママの体は主に以下のような状態になっています(※1,2)。

・ 子宮内の胎盤が剥がれて悪露が出ている
・ 子宮が急速に収縮して痛みを感じる(後陣痛)
・ 出産時に切れた膣や外陰部の傷がまだ治っていない
・ 妊娠中に分泌されていたホルモンが減少し体調が変化しやすい
・ 会陰部や帝王切開のあとに痛みがある
・ 出産時の影響で尿意を感じにくくなることがある
・ 血圧が変化する

また、子宮まわりの問題に限らず、乳腺炎になるなど、母乳まわりのトラブルが起きることも。

この時期に無理をすると、回復に時間がかかるだけでなく、その後も不調を引きずってしまうことがある、いわゆる「産後の肥立ちが悪い」状態になります。

赤ちゃんのお世話も始まりますが、できるだけ体を休めることを優先してくださいね。

産後の肥立ちはいつまで続くの?

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産後の肥立ちは、症状や個人の体力によって回復する時期に差があります。一般的には、回復するまでに6~8週間かかるといわれていて、最低でも1ヶ月は体を休ませる必要があります(※1)。

特に、母乳育児をしているママは、産後も女性ホルモンが低下し続け、回復まで2~3ヶ月かかることもあります(※3)。帝王切開や高齢出産も、回復に時間がかかる場合があるので、無理をしない生活を心がけてください。

産後の動悸の原因は?

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産後は動悸や息切れが気になる女性もいますが、出産時の出血による貧血で起こることがほとんどです。

貧血になると、体が疲れやすくなることもあれば、些細なことでもイライラしてしまうこともあります。倦怠感も残りやすく、慣れない育児と重なって体調不良を感じやすくなることも。

産後は赤ちゃんのお世話で生活リズムや食生活が崩れやすい時期ですが、少しずつでも栄養のある食事を摂り、鉄分のサプリメントなどを活用するのもおすすめです。

また、妊娠時の自己免疫疾患である甲状腺の病気が動悸を引き起こしている可能性もあり、産後に悪化しやすいという特徴があります(※3)。

甲状腺機能の異常

妊娠中にお腹の赤ちゃんを異物としてとらえないよう、自己免疫に変化が生じます。女性ホルモンが変化するときに自己免疫疾患が悪化しやすい状態になり、甲状腺疾患になるケースも。

この甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、動悸や疲れっぽいといった症状が現れます。イライラしたり、食欲はあるのに痩せたりするのが特徴です。

もともと甲状腺疾患の体質がある場合、産後2~3ヶ月頃に甲状腺の機能が一時的に低下することがあります。ほとんどの場合は一過性のもので、しばらく様子をみると正常な状態に戻っていきます(※3)。

産後の肥立ちが悪い状態や対処法は?

? 疑問

産褥期に無理をしてしまうと、体の状態が悪化し、産後の肥立ちが悪くなってしまいます。

ここでは、産後の肥立ちが悪いといわれる主な症状と、その対処法についてご紹介します(※1,2,4)。

子宮復古不全

産後、子宮壁や産道の傷から出た血や子宮内膜の残りが混ざった「悪露」がでます。初めは真っ赤な血で量も多い状態ですが、徐々に色も薄まり、量も減っていきます。

しかし、産後1ヶ月過ぎて、減っていた悪露が多量に増加するなどの場合は、子宮が回復しきっておらず、子宮復古不全の可能性があります。症状によって、授乳を進めて回復を促す、子宮収縮剤を使用する、子宮内の残留物を取り除く、などの対処法が検討されます。

産褥熱

悪露が続いている時期に湯船に浸かったり、不衛生な状態が続いたりすると、子宮や産道の傷から細菌が入って発熱することがあります。分娩後24時間~産後10日頃に、2日以上に渡る38度の発熱とともに、下腹部痛、悪露の悪臭をともなうのが特徴です。

悪化すると重い症状を引き起こす恐れもあるので、抗生物質を投与するなどして治療が行われます。

産褥期精神障害

産後にホルモンバランスが乱れた状態が長く続くと、産褥期うつ病などの産褥期精神障害につながる可能性もあります。涙もろくなったり、不眠、不安、イライラ、集中力の低下などの状態がみられます。

こういった症状を体に感じたときは、早めに病院を受診して医師の判断を仰ぎましょう。

産褥乳腺炎

産後に母乳量や乳管の開通が安定していないと、乳腺で作られた母乳が溜まってしまい、炎症を起こすことがあります。特に、産後は赤ちゃんも母乳を吸うことにまだ慣れていないので、母乳がうまく体の外に出てこない状態です。

母乳が乳腺に溜まる「うっ滞性乳腺炎」の場合は、赤ちゃんに母乳を吸ってもらったり、母乳外来などで母乳マッサージをしてもらったりして対処します。乳頭が傷つき、細菌感染した「化膿性乳腺炎」の場合は、乳房を冷やし、抗菌薬を服用するなどして治療が行われます。

血栓性静脈炎

高齢出産や帝王切開、肥満気味の場合、産褥期に起こりやすいのが血栓性静脈炎です。血管の中で血が凝固して詰まってしまう状態で、足にうずくような痛みやしこりが現れ、発熱や寒気が起きることも。

患部に湿布を貼るなど、症状に合わせた治療が行われるので、早めに病院を受診しましょう。

産後の肥立ちは休むことを最優先に、適度に体を動かそう

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産後の肥立ちを悪くしないためにも、この時期は赤ちゃんのお世話と体を休めることに専念しましょう。

しかし、全く動かないのもストレスが溜まってしまいますよね。体に負担にならない程度に手足のマッサージといった軽いストレッチをしつつ、家事や上の子の送り迎えなどは、パパや家族、地域のファミリーサポートに頼れるよう体制を整えておくのがおすすめです。

また、気になることは、産後の1ヶ月検診で質問できるようにメモしておくと良いですね。ただし、体調が悪く、病気が疑われる場合や赤ちゃんのお世話に支障がありそうな場合は、1ヶ月健診の前でも、早急に病院を受診しましょう。

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